其れは必然だった(2)
みなさん、人物紹介っていります⁇
いや、最近ちょっと登場人物がごちゃごちゃしてきたなーと思いまして(私のせいですが)
もし、分からないことや教えて欲しいことがあればコメントして下さい。
誤字脱字がある場合も、お手数ですがコメントお願いいたします。
修道院 道成視点
あの山を降り、俺たちはあてもなく歩き続けた。
修道院に戻れるとも思わなかったし、それ以上に戻りたくないと心が壊れるほど、叫んでいるのだ。
だから俺は昭道をおぶって、あてもなく歩き続ける事しか出来なかったのだ。
昭道は未だ寝ている。ぐったりと死んだように眠る昭道を見て、俺は一抹の不安を感じる。
もしこのまま昭道が目を覚まさなかったら、もしこのまま昭道がこのまま
ーーー死んで、しまったら?
背筋が凍りそうになる。怖い、あの女と話していた時の恐怖よりも、よっぽど恐ろしい。
誰でもいい。助けてほしい。俺はいいから昭道を、昭道を……!!
「此処で何をしてるんだい?童たち……」
突然、本当に突然だった。
俺たちが通った…誰もいなかったはずの道から男の声が聞こえたのは。
「だ、れ……」
「誰?だれ…ねぇ。…誰だと思う?」
「不審者。」
「半分正解だねぇ。」
半分正解なのかよ、と思いながら俺は暗闇に慣れた目でじっと男を睨む。
その男はかなり美人だった。美人って言葉は女の人(女の妖も含む)に使う言葉だと思っていたが、そんなの関係なしに美人だった。
けど、その男の目は何処か仄暗く、あの女とはまた違う恐怖に襲われる。
「今、お前は俺を畏怖しているねぇ。それは良いことだ。俺との差を知らず突っかかってくる馬鹿よりかは好きだねぇ。」
「あんたは、何が言いたいんだよ…?」
「何が言いたい?そうだねぇ。俺が言いたいことは唯一つだ。」
「今の状態では、お前の大切な大切な弟君は…狂ってしまうよ?」
「……は?」
「その子………あの子にアッてしまったのだろう?」
「あの子………?」
「言わなくても分かる筈だよ。咲良山には…あの子と、…化物しかいないからねぇ。」
「…!!」
男が指を指した山は、俺たちが下りてきた山の方角を示していた。そして気付く。この男の言うあの子とは……俺たちを利用して、俺たちに警告したあの女だ。
「ああ、後は化物が女に孕ませた黒い妖蜘蛛がわんさかいたか?…まあ、それはいいとしよう。」
その妖蜘蛛に俺たちは殺されそうになったんだが…と思ったが、もう反抗するほどの体力が無かった。
「あの子はね、童。狂わせるんだよ。狂わせてしまうんだよ。……それは麻のように、それは金のように、それは毒のように、それはハナのように、可哀想な程、あの子は狂わせてしまう。」
「………」
「それが弟君と何の関係がある、と言った顔をしてるねぇ。」
男は非道く楽しそうに、酷く哀れだと言うような目で昭道を見る。
「俺が死神だから、としか言いようがないねぇ。……弟君からあの子への想いが、強い想いのカタチが見えてしまうのさ。」
死神?想いのカタチ?…この男は何を言ってるのだろう。そんな事関係なしに、男は訳の分からない話を進める。
「あの子は老若男女関係なく狂わせる。…まだ男の欲を知らない弟君でも、…ね?」
「よく、分かんねぇけど……昭道が、危ないって事か?」
「短絡的に考えれば、ねぇ。」
「っ!…どうすればいいんだよ。…どうして昭道ばっかり……!!」
「どうすればいいかは分かるが、どうして弟君ばかりと言うのは、それは彼が不幸体質だからかもねぇ?」
「……昭道は助かるのか!?」
「助かるよ。…しかし童よ、少し警戒心を持った方が良い。一応、俺と童は初対面なのだから。」
「まあ、その純粋さは何も知らぬ童特有の夢幻なのだから…良しとしよう。」と笑う男は、俺のおでこに中指を立て、スッと目を細める。
「記憶を、消せばいい。弟君の記憶を…すべて無かった事にすれば良い。」
「無かった……こと?」
「そう。……だが、代償は払えよ童。代償は……そうだなぁ。
ーーーその膨大すぎる霊力をもらおうか。」
さて、どうする?と言ったように笑う男
俺は首に回っている昭道の手を結ぶ。
俺がこの決断をするのは
すべて、そうすべて
すべては昭道の幸せを
身勝手な程
見苦しい程
願っているからだ
「じゃあな、昭道。
ーーーもう、会うことはねぇだろうが。」
次回もお兄ちゃんターン…だと思ったか⁇
残念、次回は久しぶりに登場させるよ‼︎キーキャラその1を‼︎