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其れは偶然だったのか(2)



ながーーーーーーい、お付き合い(震声)







修道院 道成視点




俺が監禁されて、早くも3年の月日が経った。




昭道には会えない。それどころか、最近は両親とも会えていない。なんでも、四大古妖のキ……キなんとかを討ち取ろうとしてるらしい。




四大古妖のキなんとかは昔、何処かの陰陽師の一族を滅ぼしたらしいが、そんな相手をなんで討ち取りたいのだろう。……親父は誰よりも利己的なのに




だが、その頃の俺は両親に愛想を尽かしてたので、疑問が湧くだけであまり興味が無かった。興味があるのは昭道だけだ。





会いたいのに会えない





こんなに会いたいのに





あれから3年だから、もうすぐ6歳か


顔は俺に似てるだろうか


身長は、体重は


ちゃんと飯を食えてるだろうか


一族の奴らに虐められていないだろうか


…傷付いていないだろうか





何も出来ない自分が歯痒い。ただ此処で無駄に時を過ごしている自分が憎い。こんな生活、もう嫌だ。頼むから出して。






俺を此処から……!!






ーーーなあ、弟の話聞いたか?




弟…………昭道?




障子の向こう側から声が聞こえる。




ーーー聞いた、いなくなったんだろ




…………





え?





ーーーいなくなってから3日経ってんだろ?…死んだんじゃね?




ーーー死んだだろ、まだ6歳だし…最近ろくに食ってなかったし




ーーーおいおい、死んで大丈夫なのか?




ーーー大丈夫だろ、むしろ葬式面倒い。密葬になんねぇかな




ーーーなるだろ、もともと要らねぇ餓鬼だし




ーーー行方不明届出してねぇの?




ーーー出さねえだろ、探してるフリはしてるっぽいが





ーーーそれだけだ





「…は?」





昭道がいなくなった



3日前から



昭道は最近…飯を食ってなくて



彼奴らはろくに探そうとしなくて



それで……



それで……





俺の唯一無二あきみちが…いなくなる?






「あ、あ、ああ…………」









「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」









ーーーーーー




その姿はまさに《鬼》でした



霊力を暴走させ、障子をかき破るその姿は



爪が剥がれ落ち真っ赤な真っ赤な指で障子を汚すその姿は



障子がかき破られるたび、あの鬼の真っ赤な真っ赤な赤い目が此方を睨むのです



奇声は最初だけでした



それが返って不気味でした



障子が破られ、あの鬼が此方をゆっくり見やるその姿に



己の死を確信いたしました



あの鬼がやってくるのです



真っ赤な鬼がやってくるのです



ですが、わたくしめは助かりました



7代目が、やってきたのです



わたくしめは、7代目があの鬼を殺めて下さると信じておりました



ですが7代目は心優しく、あの鬼を説得なさるのです



しかし、鬼は聞く耳を持ちません



あきみちはどこだ、あきみちはどこだ



そう唸るように問い掛けるのです



あきみち、とは誰でございましょう



わたくしめは分かりませんでしたが、7代目は心当たりがあるような、そんな顔をしておりました



鬼がやってくるのです



鬼がやってくるのです



7代目は鬼を拘束しようとします



ですが鬼の霊力は悍ましく、7代目の術が効きません



鬼がやってくるのです



鬼がやってくるのです



鬼は何かを持っております



鬼は何を持っているのでしょう



鬼が何かを7代目にふるいます



しかしながら、鬼は背が低い為、それは7代目の腹に突き刺さりました



7代目が倒れます



7代目が倒れてしまったのです



鬼は笑わず泣かず、まだ言うのです



あきみち…と



鬼が門を出ます



それだけは駄目だと思いわたくしめは



鬼の腕を咄嗟に掴みます



鬼は此方をゆっくり振り向き



血に塗れたそれをわたくしめの手に刺します



わたくしめは骨が砕かれた様な激痛にみまわれます



いえ、実際に手の骨を砕かれていたのでしょう



鬼が遠ざかります



鬼が遠去かります



あきみち、あきみちと狂ったように乞うのです



わたくしめの手に刺さっていたものは



えんぴつでございました



7代目は動こうとします



7代目は動けません



鬼が見えなくなりました



鬼が見えなくなりました






鬼は、何処に






ーーー修道院物語《鬼才と呼ばれた鬼》第5章より








次回もお兄ちゃんが活躍する…か⁇

お兄ちゃんとお狂ちゃんは互いに同族嫌悪してると思うのです。




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