死神の初恋(3)
これで死神さんは終了です。
死神さんはキーキャラその2になる、かも⁇
まあ、作者の気分次第です←
叉丸視点
あれから何十年、いや、何百年の月日が過ぎ去ったのだろう。
少女が死んでからは、俺は単純な程、己の世界が灰色に見えた。
少女を失った心の隙間を埋めようと、色んな土地へ行き、暇があれば女を誑かし抱くのだ。長居をした事もあったが、妖だろうが人だろうが女は決まってこう言って俺を出て行かせた。「本命の元へ行け。」と。
俺だって行きたいのだ。俺だって逝きたいのだ。
この世界の全てが無意味に見えてしょうがないのだ。
けれど、俺はまだ生きなければならない。
まだ、残っているのだ…
『ぽーん!!』
少女との繋がりが、まだ
ーーーーーー
ぽんちゃんは少女が死んだ後、咲良山とは別の山に移した。ぽんちゃんが咲良山にいても、他の動物たちに馴染めるはずもない。だからぽんちゃんには妖樹が多い山に移した。妖樹は気性は大人しく達観しており、異端を拒まない。だから、ぽんちゃんを受け入れると踏んだのだ。
もう、ぽんちゃんがひとりぼっちにならないように…
「おいおい、ぽんちゃん。お前、読み書き覚えてんのか。…よせよせ、時代と共に変わるのが字ってもんだ。」
『…ぽん。』
「拗ねるな、拗ねるな。まあ……気が済むまで頑張ってみろ。」
『ぽん!!』
時代は変わり続けた。少女の生死など関係もなしに、非情に、無情に、例え1人の人間が死のうが、この世界は何も変わらない。…何も、変わらない。
変わらないのは、俺と、ぽんちゃんの一途さ位だ。
ぽんちゃんは今でも少女を覚えている。少女が、生きていると信じている。
ぽんちゃんは見ていないのだ。少女だったモノを。俺がどんなに死んだと叫んでも、ぽんちゃんは目で訴え掛けるのだ。死んでなどいないと、少女は生きていると
だから、ぽんちゃんはあの山に戻ろうとする。少女と共に過ごしたあの山に、戻ろうとする。
俺の顔は、見ていられないようなものだったのだろうか。
ぽんちゃんは泥だらけの頬を俺に擦り寄せる。
……こんな汚ねぇ顔じゃもう、上、向けねぇよ。
ーーーーーー
ぽんちゃんの為だ。
ただ、それだけだ。
咲良山は冬だからだろうか。山の景観も、山の中も、酷く殺風景な…寂しい色をしていた。
ぽんちゃんはこの山に戻りたい。けれど、ぽんちゃんをこの山に戻す訳にはいかない。だからせめて、ぽんちゃんの寂しさを紛らわす為に、…菜の花を持って帰ろうと思ったのだ。
ーーーまあ、この様子じゃ咲いてるか分からないが
予想通り、菜の花が咲き乱れていた大地はもう何処にもなかった。緑の影すら見当たらない大地が、俺に囁くのだ。ーーーお前が求めていたモノは死んだぞ、と
それを、理解したなら話は早い。…ぽんちゃんのいる山へと帰ろう。此処にはーー何もないのだ。
ーーーそう、思っていたのだ。
「………え?」
菜の花も何もない大地に、ソレはあった。
「なんだ…?これ、は……」
それは余りにも酷い、あまりにも…惨い。
「これは………ダレ、だ?」
逆に何故俺は来てすぐに気付かなかった?こんな真っ赤に染め上げられているソレを、異様としか言いようがないソレを
それと同時に、こんな事が出来るのは彼奴しかいないと気付く。この咲良山に住む、彼奴しか…
「何を、しようとしてんだよ……」
次第に魂の声が聞こえてきた。それは何十匹ではない。何百、何千の罪の無い妖、人、の…叫びが。嘆きが。
そして、魂の叫びで俺は全てを理解してしまった。…この惨い酷いソレの意味も、ソレを誰がしたのかも、ソレの真ん中にいるのがーーー誰なの、かも
「あ、…あ、ああ…!!」
「あ"あ"ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
それは、俺と彼奴の縁を切り裂くには、十分なものだった。
次回は長い間放置してしまった不可解事件の真相が分かるかも⁇
まあ、作者の気分次第で(省略