厄病神と死神
新キャラ登場‼︎
以上←
忌諱視点
お狂に鏡越しで誘われ、身体を重ね、気が済むまで犯し尽くした俺はとても気分が良かった。
お狂にとって、何か誤算が起きたが故の行動だったようだが、それでもお狂に求められるのは心が躍る。
瞳を潤ませ、恥ずかしそうに言葉を紡ぐお狂を思い出し、また下っ腹が疼く。
そんな欲を抑え込むように煙管を吹かせ、満月を見る。
久し振りに青い月を見れたと、益々気分が上がったが、それは束の間だった。
俺の煙管からではない、女が好きそうな甘ったるい匂いが、屋敷の無花果の木の上から匂う。
この匂いは嫌という程嗅ぎ慣れたものだ。顔を顰めながら木の上を見ると
まるで水墨画が似合う異国の色男……西の死神 叉丸がいた。
「よ、久し振りだねぇ……。」
「………」
「だんまりか、まぁ…それも良しとしよう。」
そう言いながら悠々自適に人の敷地にいる此奴が苛立たしくてしょうがないが、俺が此奴に勝てるものなんざ腕っ節くらいだ。口を開かない方が賢い選択肢だろう。
「あの子……。お前の大事な大事な少女は、何か又、面白そうな事を…始めてるそうじゃあないか。」
それは完全な皮肉だった。ようするに此奴が言いたいことは、「蠱毒の変に続き、何をやらかすつもりだ?」だろう。
あの時も俺はお狂を使った。
今思えば、蠱毒の変がお狂がお彼岸太夫と囁かれる切っ掛けになったと、染み染み思う。
「……まぁ、あんなハイエナみたいな妖が創立させた訳あり学園なんざ、命ほど興味ないが…」
そう《死神》と呼ばれた妖は、整い過ぎた顔で嫌味ったらしく笑う。
「俺の大事な大事な少女にまた、何かあるのであれば、話は別だ。」
そう、お狂を自分のモノのように言った途端、俺の中の何かが弾けた。
「俺のモンを、俺が使ってナニがワリィ?」
そう言いながら、彼奴と比べるまでなく醜い顔を更に悍ましくする様に、俺は口角を上げる。
「例えアイツを、利用しよウが、手元に置コうが、犯ソうが、コロそうが、……ナァ?」
俺は餓鬼を挑発するように叉丸を睨み、そして嘲笑う。
まあ、その挑発に乗る此奴も此奴だが…
「で?あの子に何を命令した……?」
「テメェが知っタことか?」
「…………ほう。」
彼奴は何かを考え込むように半目だった目を更に細める。
「…いつからだ。」
「………アァ?」
「いつから、あの子は……人ではなくなった」
「…テメェ、…なんでその事ヲ…?」
此奴がお狂の正体に気付いてるとは微塵も思わなかった。…お狂に与え過ぎたか
「質問に答えよ。あの子はいつ……」
「ガタガタがたがた五月蝿えナぁ……!」
無花果の木から烏が飛び立ち、気付けば生物の気配が消えていた。
そして気付く。此奴が化けの皮を剥がした事に…
「……テメェ、いい加減にしろや。俺が下手に動いて、好い気になるなよ……!!」
甘い、女に見せる顔を脱ぎ捨て、ついに本性を現した叉丸は、血よりも真赤な瞳をギラつかせ、俺の命を握ろうとする。
「…お狂がいつ人じゃア無くなっタか?……そんナの、……………テメェに教えルと思うカァ…?キヒヒヒヒ」
彼奴の殺気にしては余りにも泥のような空気の中、俺は、お狂に狂った男を見て、ニヤリと笑うのだ。
次回は新キャラとお狂ちゃんと馴れ初め‼︎
この小説、何話で終わると思います⁇