気付き始めた者達
懺悔していいですか⁇
勝手に懺悔しますね。
咒君のキャラがブレました。
シリアスかシリアルか分からない話になりました。
滅茶苦茶懺悔します(土下座)
修道院昭道視点
佐鳥純平の自殺未遂、それは鈍器で殴られたような気分だった。
佐鳥純平は咒が、あの不可解な事件の黒幕として目を付けていた妖だった。
種族は妖の鬼、だが鬼は力が全ての、いわば腕っ節が強い荒くれ者。
そんな妖が脳を使うとは思わないし、サッカー部元主将を陥れる能力も皆無な筈なのだ。
それを理解した上で咒は佐鳥純平を疑っていた。
その理由は主に2つ、1つ目はサッカー部を煩わしく思い、グラウンド争いで時間を潰していた事に何時も苛ついていた事、その程度で殺すような真似はしないと、普通の人間は言うと思うが、これこそ、妖と人との境界線の1つだと俺は思う。
鬼は「イライラしたから」「肩がぶつかったから」…その程度で殺害する事がざらにあるのだ。咒も其処に目をつけたのだろう。
なら、何故あのような回りくどい事件を起こしたのか…、鬼ならば、自分の力で捩じ伏せるものではないか。その事は2つ目の理由に繋がる。
調べた結果、佐鳥純平の鬼としての力はコントロールが上手い反面、下級だった。
下級の鬼は、言わば人間寄り、つまり理性的なのだ。
理性的な妖…、これはこれで意外と厄介なのである。
頭を使い、物を使い、…まるで人間のように人や妖を殺す。
この2つを合わせ持てば、佐鳥純平黒幕説の信憑性が些か上がってしまい、俺も咒が佐鳥純平を調べる事に抵抗しなかったのだ。
だが、そんな時に…この事件だ。勿論、責任は俺にある。あの不可解な事件に集中し過ぎ、佐鳥純平が未だ黒幕だと決まったわけでもないのに、あらぬ噂を野放しにしてしまった挙句、このザマだ。
「イインチョ…、今、帰ってきたッスよ」
「…あぁ」
咒が部屋に入ってきた。その足取りは重い。
責任を感じているのだろう。風紀委員が調べたところ、噂の発信源は此奴が話しているところを盗み聞きした生徒が広めたのだから。
「…イインチョ…、佐鳥純平は白だと思うッスよ。」
「それは、…あの事件が原因か?」
「…違うッスよ。」
「……そうか……」
咒は俺と目を合わせようとしない。
咒は意外と仕事は完璧だ。自殺未遂の話を聞いても、佐鳥純平を調べ続けていた。そんな彼奴が調べ上げた結果が、白だったんだ。信憑性は、はるかに高い。その分、ショックは大きいだろう。
「イインチョ…」
確かに、佐鳥純平が自殺未遂を起こした原因はこいつの所為だが、それを責めるつもりはない。後で、佐鳥純平に土下座しに行こう。こいつを連れて
「S⚫︎xFriendのみーちゃんにフラれたッスゥ……!」
やっぱこいつ1人で行かそう
ーーーーーー
「で?S⚫︎xFriendのみーちゃんが佐鳥純平の自殺未遂時に別れと平手打ちを頂いて「騙されるかよ!豚野郎!」と中指を立てられた、どうでも良い話は置いといて、振り出しに戻った不可解な事件に話を戻そうか」
「イインチョ、俺を慰めて下さいッス…」
「まず、解剖の件だが、漸く遺族の許可が降りた。現在専門の医師に解剖を進めてもらっている。次にお前が調べた佐鳥純平含む情報が知りたい。」
「イインチョが慰めてくれるなら、提供しても良いッスよ…?」
「ほざけ。こんな大事な時に自分の下半身の緩さで傷心した馬鹿を慰めてやる程優しくない。さっさと吐け。カツ丼奢るから。」
「そんな事言いながら不器用な優しさで包んでくれるイインチョ大好き!!俺天丼が良い!」
「天丼でも親子丼でも何でもやるから、さっさと吐け。」
「ハイハーイ♪」と音符が見えるほど機嫌が良くなった咒が単純すぎて心配になってくる。
「えーとですね。佐鳥純平はほぼ白だと分かった事と、この不可解な事件とあんま関わってないんスけど、チョーーット、いや、かな〜〜りヤバイ事が分かってしまったと言うか〜」
意外とバッサリと物言う咒にしては、とても言いにくそうな顔をしながら俺の顔を伺う。
「…とりあえず、この写真見てもらっても良いッスか?」
そう言って胸元のポケットから出したのは、四つ折りにされた4月に撮ったクラスごとの新入生集合写真だった。
「…?これが如何したのか?」
「あと、この写真も…」
そう言って取り出した写真は、5月に行ったレクリエーションのクラスごとの新入生集合写真、笑いながら写ってる生徒たちの姿、これが如何したのだろうか?
「……、パッと見て、分からないのも無理ないッスよ。」
そう言った後、咒は細長い指で写真の人数を数え始めた。黒妖学園はマンモス校だ。新入生の数は、今年が定員割れしそうになったとしても600人はいると言うのに、咒は数え続ける。
「585、586………599、600人、この4月に撮った集合写真は、ちゃーんと、600人いるんス…、けど…」
次に数え始めたのは5月に行ったレクリエーションのクラスごとの集合写真、今度も順々に数えていくが、どこか違和感を感じる。だが、何に違和感を感じているのかが、分からない。
「575、576………582人」
「………は?」
18人も、いない?
そんな馬鹿な、退学になった者なんていなかった筈だ。
俺は咒が数えていた集合写真を全て集め、丁寧に、丁寧に、数え間違いがないように数えた。咒は何も言ってこない。それが、かえって不気味だった。
「582人しか、いない………」
「俺、だって、何度も数えたんスよ。けど、結果は、582人しか、いないんス…」
「な、んで…」
「んなの、分かんねぇスよ…!けど、クラスに不自然な、誰も座ってない机、名簿にも不自然な空欄があって…」
「違う、そうじゃない……」
「違う、って…何が…」
「1番不自然なのは、…どうしてそれを気付かなかった…!?」
「18人も、いなくなっているのに、何故気付かない…!」
思わず机に怒りをぶちまけた。咒は静かに、静かに、彼奴らしくない声で、爆弾を落とし続ける。
「ねぇ、イインチョ…、これ、今年だけじゃないんス…」
そう言った咒は、何処から出たか分からないくらいの写真をばら撒いた。
「この気味悪りぃ現象、学園の設立時から、あるんス」
落ちた写真を拾い上げる、余りにも人数が少ないクラスがチラホラあり、背筋が凍る。
「…ハハッ、シリアルがシリアスに逆戻りっスね」
「笑い事じゃないぞ、咒…」
「…今すぐ生徒会のクソ共を連れてこい。今すぐだ……!!」
次回、生徒会と風紀委員会がまさかの和睦⁇‼︎をお届けいたします。多分暫くの間は新キャラは出ない…ハズ‼︎