蜘蛛の糸 噂の行方
私が言いたいことはただ一つ、話をどう持ってこよう。ヤバイヨヤバイヨー、話が迷走してしまう〜。助けてー、アルプスのそこら辺に歩いてるおじーさーん!
え、いない(白目)?ヤベェどうしよう、お狂ちゃんを幸せにしたいけどお狂ちゃんが死亡する未来しか思い浮かばない。詰んだ(チーン)せめて、せめてメリーバッドエンド(学園崩壊エンド)を書きたい……!!
「ねぇ、知ってる?あの事件の噂……」
そんな風に話しかけて来たのは、派手なグループ、と言うよりも目立つグループの1人の…とある噂好きだった。こう言う目立つグループは1人が喋ったら全員がこっちに耳を傾け、最終的には話に加わる。
現に今、「知ってる知ってる〜」や「解決したんじゃないの?」と言う声が隣から聞こえてくる。
話を振った女の子は注目されたのが嬉しいのか、話したくて話したくてウズウズしているのか、顔をニタニタしながら周りを見渡す。
「あれさぁ、真犯人がいるんだって〜」
「真犯人?」
「そっ!なんか、サッカー部の主将を操って、あの事件を起こした、し・ん・は・ん・に・ん!!」
「え!?何それ!?てか、だれだれだれ!!」
「えー、…知りたーい?」
「もー、もったいぶんないでよ〜!」
「ふふ、…なんと!野球部の主将!人気者の佐鳥純平君でーす!!」
「えー!うっそ〜!?」や「マジで〜!?」などの声が上がる。
その噂話を見守るお狂は苦笑いをしながら思った。
…舞台はそちらに転がったかと
野球部の主将、佐鳥純平は乙女ゲームのキャラクターであり、主人公の幼なじみだ。主人公に片思いをしている佐鳥純平は主人公の身を案じスポーツ推薦で黒妖学園に入学する。だが佐鳥純平には秘密があった。それは、自分が人ではないこと、佐鳥純平の正体は鬼、高等妖怪ではなく、どちらかと言えば下等妖怪側だが、自分の能力を上手く使える天才と⚫︎ikipediaに書いてあった。
…正直に言うと、公式では主人公の幼なじみと言うスペックを持ちながら周りのキャラが濃すぎてマイナー扱いされるという不憫キャラクターとして有名である。
そんな佐鳥純平が真犯人扱いされたのかというと、理由は2つある。1つ目はサッカー部主将、と言うよりもサッカー部が消えて1番喜ぶのは紛れも無い野球部だからだ。
ならば野球部全体が真犯人扱いされるのではないのかと思う方もいるだろうが、それは2つ目の理由と関係が繋がる。
乙女ゲームのキャラクターである咒凪が彼を真犯人だと思っているからだ。咒凪は風紀委員の副風紀委員長であるが、その緩い性格と格好、それに似合わない重たい過去と家系で「私が守ってあげたい!」「私は味方だから!」などの声が上がった為、とても上位にランクインしたキャラクターでもある。…ちなみに風紀委員長とはペアとしてよく共にいる。主にツッコミ(仮)とボケとして、………そのせいか一部の女子から違う意味で人気である。
まあ、その話は置いといて、咒凪が何故、真犯人が佐鳥純平だと疑っている噂が流れているかは定かではないが、恐らく事実だろう。何故かって?お狂に事情聴取している時、「俺的にあの野球部のサトリジュンペーが怪しいと思う訳〜」と言っていたからだ。
…お狂はこの一言を聞いた生徒が噂を広めた事を知らない。
「咲良田、居るか?」
お狂は教室の前廊下から聞こえた声の方向を向いた。そこには担任の式部嵐先生がいた。
「ちょっとこっち来い。」
ーーーーーー
前廊下に出たら、先生は何を言えば分からないという顔をしていた。
「あー、…体調は平気か?」
「はい、大丈夫です。」
「あーと、精神的にやられてないか?」
「私、そこまで弱くありませんよ」
「その、…悪かったな、中々様子が見れなくて…、」
バツが悪そうな顔をして頭を掻く先生を見て、お狂が事件に関わっている事を知っていたのだろう。だが先生は生徒会顧問だ。それなりに事件後の仕事も回ってきて、会いに行く暇など無かったのだろう。
「そんなこと、ありませんよ。……大丈夫、大丈夫」
「…咲良田」
「大丈夫、大丈夫、先生、私はまだ、ーーー戦える」
その言葉で我に返ったように目を見開く先生、その後優しそうな顔でお狂を見ながら頭を撫でる。
「…悪い、そうだよな。…戦っているのは、俺たちだけじゃないよな。」
「お前だってあの時、戦ったんだよな。」とらしくもない微笑みを向ける先生に、お狂は笑う。お狂は嗤う。
《戦える》……何に?
私が戦っているのは貴方達なのに
何故、不自然さに気が付かないのだろう。
何故、たやすく信じるのだろう。
何故、勘違いするのだろう。
何故、何故、何故?
蜘蛛の糸は千切れても尚惑わし続ける
蜘蛛の糸は千切れても尚求め続ける
次は誰?
次は誰?
「次は貴方」
お狂の目の先には……
次回は乙女ゲームの主人公ちゃんと新キャラ登場、学園の秘密が分かる!少し!
次回もよろしくお願いします!!