荒野の道は波乱が一杯!!〜3〜
遅くなりました。
本編をどうぞ
「た、拓斗くんは恥ずかしくないのですか?」
「なにが?」
「…………女の子と一緒に寝ることが」
「はい?」
なにを言っているのだろう? 僕の話を聞いていたよね?
とりあえず、もう一度さっきのセリフを復唱する。
「だから、テントの中には心さんが寝て僕は見張りをするんだってば」
「…………そういうことですか(…………バカ)」
少し不満気だけど了解はしてくれたらしい。
「じ、じゃあご飯の準備をしょうか」
「…………はい」
「うん。じゃあクウガ! 食材を出してくれ」
「なんで?」
「なんでって夕食の準備だよ」
「夕食? (すたっ)なにを出してほしい?」
「いきなり、やる気出すなよ!」
食いしん坊なのかこいつは!!!!
「…………じ、じゃあ、玉ねぎとじゃがいもとキュウリをお願いします」
僕が腹をたてていると、心さんが話を進めていた。
「OK! ピカー」
クウガは心さんの意見に了解した直後に両手の指をそれぞれ二本立て、右手は右目に左手は左目の前に持ってきて、目を開いた瞬間に二本の指も開きチョキの形を作った。
どこのアイドルだよ・・・・・・
そんな僕の心からのツッコミをつい知らずクウガは目に神経を集中していた。
目はライトのように光って、その光の中から心さんの望み通りの食材が出てきた。
「相変わらず、凄いな」
「こんなの朝飯前だ」
クウガはドヤ顔をしていた。少しイラって来たので「夕食前だろ」ってツッコミを入れておく。
さてと…………。
「それじゃあ、心さん。お願いしていいかな」
「………………はい。で…………でも」
「?」
まだ、野宿をするのが嫌なのかな?
僕が説得する言葉を探して――――――
「…………お風呂に入りたいです」
――――呆気にとられた。
こんなところにお風呂があるわけがない。
「い、いや、一日ぐらいは――――――
「何を言ってるんですか!」
しまった。怒りの沸点に達してしまったと思ったときはもう遅かった。
本日二回目の説教を受けることになり、僕はその場で正座という形になる。
さすがのクウガも「……うわぁ」僕にフォローを入れられなかったようだ。
「拓斗くん! 聞いてますか!」
「はい! 聞いています」
このとき、僕は男と女の価値観の違いをもう少し考え直そうと思った。
「灼熱煉獄!!」
説教を受け始めて、三十分。
ようやく、解放されたと思ったら、
「じゃあ、準備をしてくれますよね?」
と笑顔|(闇のオーラを感じたけど)で言われてしまい、仕方なくテントを張った近くの岩山の頂上の真ん中を火球で穴を開けて温泉を作っているわけで……。
いろんな意味で悲しくなります。
まぁ、頂上が平らで温泉を作るには最適だったのがせめてもの救いだけど。
「んで、どうすんの?」
「クウガ、悪いけど俺の荷物から水を取ってきてくれ」
「分かったって言っとかないと怖いもんな」
そういいながら水を取りに行った。
同感だ。
話が分かると嬉しい。
それが例え動物でも………………動物?
「………………!?」
今のいままで自然にしていたけど、どう考えても不自然じゃん! 全然気付かなかった!
僕が頭をかかえていると、クウガがペットボトルの水を持って戻ってきた。
「おーいどうした?」
「お、おま、おまお」
「オマールえびか?」
「いや、違うよ! なんで? お前喋れたの?」
「え!? 今さら?」
今さら扱いされた…………。
少しショックを受けているクウガがめんどくさそうに説明をし始めた。