37 緑の瞳
テジンはクナから小皿を受け取り、一気にあおった。
「うあああああああっ!」
叫び声と共にテジンが目を押さえた。
「テジン様、落ち着いてください!深呼吸して、そう、ゆっくり・・・。」
テジンは荒い呼吸を落ち着かせようと努力し、大丈夫です、と繰り返した。ほっと息を整え、顔をあげた。皆が驚いた。
「テジン様・・・目が!」
「ああ、なんだか以前よりよく見える気がする。」
「いえ、目が、緑です!」
テジンの瞳はキナリのような緑だった。
ため息ついた人々は、今度はよく帰ってこれたものだ、と話し合った。
「ああ・・・不思議なものだった。城が崩れて石の下敷きになって死んだはずなのだが・・・。体が単に軽くなったような感じだった。しばらくそこにいるよりなにもすることがなかったのだ。すると、父上がいらっしゃったのだ。お前はここに来てはいけない、今すぐ帰れとおっしゃるのだ。でも、帰れと言われてもどうしようもないのでそこにいると、ザード殿の声が聞こえて、吸い寄せられるような感じでもとに戻っていたのだ。あの時の父上はなんだか蜃気楼のようであった。」
テジンは改めてザードに礼を述べた。
「よかった・・・。」
クナがテジンの手をとる。テジンは安心させるように微笑んだ。
その時、影の森の方から馬の蹄の音がした。全員が体を固くする。蹄の音はだんだんと近づいてくる。
ばっと飛び出してきたのは、ダルキアの伝令だった。三騎いる。
「何事だ!」
ナルーが尋ねる。三騎はなんとか息を整えようとしている。
「テジン様・・・一大事でございます!」
一人がはあはあと荒い呼吸をしながら言う。
「何だ、申せ。」
「はっ。」
三人は跪いた。




