34 甦りの魔法
ナルーがきょとんとした。
「完璧ではない、とは?」
「ご存知のように生命を呼び戻すことは普通は出来ません。この方法も、本来禁忌に触れるものです。例え成功したとしても、それなりの責を負わねばなりません。」
「責・・・?」
ザードはしゃがんで魔術の準備をしながら答えた。
「責は人によって様々です。手が不自由になるというものから、記憶を失ったりするということもあるそうです。」
兵達がざわついた。
「それに、必ずしも成功するわけではありません。それでも・・・願いますか?」
その問いにクナは迷いもなく頷いてみせた。
「記憶を失ったってどうなったって、テジン様はテジン様だわ。」
「・・・分かりました。」
ザードは地面に魔方陣を描き、そこへテジンを寝かせた。そして暫くかけて丁寧に小皿へ色とりどりの粉や水を入れ、線の上へ置いていく。
「お下がりください。」
ナルーやガリシクが一歩退くと、ザードは聞いたこともないような発音で呪文を唱え始めた。
地面に引いた線から、青白い光がぼんやりと見える。その光はだんだんとテジンの体を包み、遂には光しか見えなくなった。
ザードがまだ呪文を唱えている。そして、最後の一句を力強く唱えると、大空へ向かって両手を広げた。
ごおっという風が流れ込む。クナ達見ていた人々は皆、あまりの強さに顔を背けたり、手で庇ったりしている。
ふっと風が弱まり、クナは薄目を開けた。魔方陣の光も収まっている。
「ザード!テジン様は・・・!」
疲れてがっくりと膝をついたザードのもとに駆け寄った。
はっと息を飲む。




