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砂漠の月  作者: 沖津 奏
34/41

34 甦りの魔法

 ナルーがきょとんとした。

「完璧ではない、とは?」

「ご存知のように生命を呼び戻すことは普通は出来ません。この方法も、本来禁忌に触れるものです。例え成功したとしても、それなりの責を負わねばなりません。」

「責・・・?」

 ザードはしゃがんで魔術の準備をしながら答えた。

「責は人によって様々です。手が不自由になるというものから、記憶を失ったりするということもあるそうです。」

 兵達がざわついた。

「それに、必ずしも成功するわけではありません。それでも・・・願いますか?」

 その問いにクナは迷いもなく頷いてみせた。

「記憶を失ったってどうなったって、テジン様はテジン様だわ。」

「・・・分かりました。」

 ザードは地面に魔方陣を描き、そこへテジンを寝かせた。そして暫くかけて丁寧に小皿へ色とりどりの粉や水を入れ、線の上へ置いていく。

「お下がりください。」

 ナルーやガリシクが一歩退くと、ザードは聞いたこともないような発音で呪文を唱え始めた。

 地面に引いた線から、青白い光がぼんやりと見える。その光はだんだんとテジンの体を包み、遂には光しか見えなくなった。

 ザードがまだ呪文を唱えている。そして、最後の一句を力強く唱えると、大空へ向かって両手を広げた。

 ごおっという風が流れ込む。クナ達見ていた人々は皆、あまりの強さに顔を背けたり、手で庇ったりしている。


 ふっと風が弱まり、クナは薄目を開けた。魔方陣の光も収まっている。

「ザード!テジン様は・・・!」

 疲れてがっくりと膝をついたザードのもとに駆け寄った。

 はっと息を飲む。


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