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砂漠の月  作者: 沖津 奏
23/41

23 策略

「一気に攻め落とせ!」

 テジンの声に、ダルキア軍はますます勢いづいた。地面の骨は砂と化し、もうもうと埃が舞う。

 トルキア軍の最初の騎兵が林を抜けた。あと少しで林が終わる。こんな弱い兵、さっさと勝ってしまおう。


「なぜだ・・・!」

 司令官が愕然とした。

 骨の林を抜けると、キナリ様が直々に軍を率いてダルキア軍を迎え撃つ。そう聞いていた。だが、人の気配などない。まさか。だが、林の安全な出口は限られている。場所を間違えるなんて筈はない。

 バチッと嫌な音が耳元でした。青ざめて振り返る。杖を構えたダルキア軍が疾走するスナアシに跨がっている。隣で兵がスナアシから落ちた。動かない。

「ナーロク様!このままでは全滅です!」

 部下が怒鳴る。

 そんなことわかっている!だが、どうすればいい?キナリ様の作戦と話が違う。骨の林を抜けたら、部隊がいると言っていたのに・・・。

「はめられたのか・・・!!」

 最初から捨て駒だったのか!こんな弱い兵を与えておいて、忠臣であるこの私を、キナリ様は裏切ったというのか!

 絶望の中の叫び声と共に、その司令官も地に伏した。


「いやあ、楽勝でしたね、テジン様。」

 兵達に笑顔が見える。トルキアに勝てるのかという不安が少しは解消されたようだ。

「ああ。少し時間がかかるが、このままトルキア王城に行く。無駄な争いは避けるからな。街で略奪なんか働くんじゃないぞ。」

 そう言って再び軍を進める。


 恐ろしい奴だ、キナリという男。味方をも欺き、そうまでして何を求める?

 足下には倒れたトルキア兵。毎年少しずつ骨の林は広がるという。いつかここも林の一部になるのか。


 あと二つの山を越えればトルキア王城が見える。ジラルガンは上手くやっただろうか。


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