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4話

神の世界も、正直いって自由という訳ではない。一人の、そうたった一人の絶対的な神に秩序を決めつけられていた。私にしてみればバカバカしい。無駄に人間界と悪魔界を統治しようとしているのだから。

私はその絶対の神に成り代わり、全神の力を支配しようと思い始めたのだ。簡単に神である私を殺しとげようとし、産まれたそばからその力を奪われ、殺されかけてなお生きていたリューキにはそれができる力がある。私には直感として、実感としてそう思った。私は一番弱い神だと公言したものの、私も神は神だ。相手が人間だろうが悪魔だろうが普通なら負けるはずがない。

普通ならば。

神は便利な生き物だ。何が特別かというと、死ぬことがない。死は・・・死という概念は、厳密に言うと存在する。ただ神が死ぬとき、その魂をほかの神に預け、滅んだ肉体が再生するのを待つのだ。そうして魂は守り、死というものを回避できるのだ。

私はその特性を利用しようと考えた。考えていた。すべての神の魂を手に入れ、私が代わりに人間も悪魔も、すべての生物および、地球そのものを支配してやると、そう考えた。

俺のソードは、見るからに切れ味の悪そうな、誰が見ても分かるほどの年代物のソード。呪われた俺、リューキにはお似合いの、そもそも呪われていたソード。ある鍛冶屋が悪魔に作らされ、そのソードでその悪魔を殺し、気が狂った鍛冶屋もそのソードで自らの胸を突き破り自害した。

しかしなぜ、その鍛冶屋は悪魔を逆に殺してやったというのに自害したのか?理由は定かではない。なんせ本人が死んでいるから。思うに気が狂っていたのは確かだ。

もしかしたら、悪魔に最後の抵抗をしたのかもしれない。悪魔を殺した人間は、得てして悪魔の意思を継ぐように、まるで自身が悪魔になってしまったかのように生き物を無意味に殺してしまう。そうなると悟り、自殺したのかもしれない。すべて憶測にすぎないが。

その後、そのソードは回り回って俺の手の内に収まるのだが、その間にこのソードは無限の死を見てきた。そしていつしか、そのソードからは切れ味が無くなっていた。あるいは鍛冶屋が自害した時、その魂と一緒にソードの性能もすべて道連れにしたのかもしれない。もしくは殺した悪魔に、ソードの力も奪われてしまったのかもしれない。すべての機能を失ったソードにはもちろん、深い呪いだけはしっかりと残っていた。

俺がソードを手に入れたのは、鍛冶屋が死んでから100年以上経った後。公明な騎士の噂を聞き、会いに行った。目的は一つ。殺しに行ったのだ。だが、その騎士を殺したのは俺じゃなかった。俺と会ったとき、公明な騎士はすでに死にかけていた。そして俺のことを見た瞬間、すがるように託すように、或いは不幸を負わせたかったがためか?単に死ねという意思で・・・。俺はこの呪われたソードをこの時託されたのだ。

そんな呪われた武器、兵器と言っても過言ではないそのソードを俺は、一目見て気に入った。その通り、一目ぼれだった。一目見てわかったんだ。このソードなら、貫けるって。手に持つといっそう実感した。こいつなら神だろうが悪魔だろうが、なんでも貫ける実感があった。

ならば人間にはどうだろう?人間にはほとんど切れ味はない。ないが、人間を殺すときもとどめには必ずそのソードで無理やりでも心臓を突き刺し、ソードに血を吸わせる。そうしてソードの切れ味は増していく。


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