2話
悪魔と神の全面戦争・・・なんてことは欠片も起こっていない。神を殺していったのは何を隠そうとはいえ、勘づいている人も多いと思うが俺、リューキだ。俺が一人で一体ずつ。勘違いしてもらっては困るが、いくら神を殺していたといっても。俺は単なる人間だ。説明する必要もないと思っていたから今まで言わなかったが、一応しておくよ。
俺にはリューキ以外にいろいろな呼び名があった。それは悪魔殺し・・・神殺し・・・人間殺し・・・鬼殺し、人によってさまざまに呼んでいた。人間だろうがなんだろうがお構いなしになんとでも戦っていた。そういう人間なのだ。
そう、強き者がなぜか俺を殺そうとするので代わりに殺し、いつの間にか俺は1番強き者になっていた。それがリューキにとっての絶対であり、宿命そのものだった。そうやって、俺はあいつに近づいたのだ。
名無しの者・・・アン・ノウンとでも呼ぶか。呼んでるけど。ノウンは俺と出会ったとき、その時はただの神だった。野心もなく、そんなに力もなく、順応な神だった。それはそのままやる気のない表れでもあったのかもしれない。
俺には神も悪魔も人間も、ほぼ問答無用に戦いを挑んできた。こと、神と悪魔はほとんど出会った瞬間に殺しにかかってきた。俺はすべての者に命を狙われる。そんな運命を背負っていたらしい。
何故、この俺、リュークがすべての存在から命を狙われていたのかというと・・・俺はこの世に生を享けた瞬間に、神の審判により早速殺されかけていた。その時、俺は両親に一命を守られたが、その際に・・・当然だが俺の両親は死んだ。その時の記憶など当たり前にないが、魂がそのことを覚えているようだ。
神は、両親の死と、俺から人間をはるかに超えた力奪い取ることにより、俺のことを生かしておくことにした。生贄・・・身代わり・・・なんとでも言える。けど、本当のところは、神が俺が死んだと勘違いしただけ。でもそれは神が間抜けだったからではない。それこそが俺の両親が命を懸けてくれたお陰だ。
俺の信念は、神のことは見つけたら殺す。当然、そこは両親の仇だ。その為に強き者とも戦い、勝ってきた。自分の血も相当に流れたが、俺以外の血はその倍以上に流れて消えた。流れた血の量はそのまま力になり、その都度、俺は強くなっていった。
そんなリューキに私は詰め寄った。その日は、心地の良い暖かさのある、晴れた気持ちのいい日だった。何事も起こらない。ただいつもより少しだけ気持ちの良い・・・そんな日だと思っていた。
読んでくれた方、ありがとう。




