表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

二回目:大和東

 俺は大和(あずま)。生徒会で会計をやってるぜ。

 だが、これは影の姿!実際は……


――着替え中につきしばらくお待ち下さい。


 弱きを助け、悪を挫く!正義のヒーロー、大和レッド!


「……なにキテレツな格好をしながらゆうとるんや」

「出たな、大和レッドの邪魔をする西嘉(さいか)め!」

「……大和レッドとか痛いしダサいで?」

 こいつはいつもこうだ。ヒーローの素晴らしさを分かってない。

 会計としてもヒーローとしても、俺は学園の平和を守ってるんだ。西嘉とは違って貢献してるってのに。

「……東、聞いとるんか?」

「ななな何を言ってるんだ!俺は東じゃなくて大和レッドだぞ!」

 な、なぜバレた……!

「制服に仮面着けただけやないか。ましてや声がまんま東やで。あとせめて口調ぐらい変えたらどうなんや」

「オレハ大和レッドデス☆」

「高い声気色悪っ!敬語も気持ち悪っ!」

 西嘉め……、ああ言えばこういって直せばケチつけやがって……。

「じゃあどうしろって言うんだい!」

「……自分、今東って認めたも同然な行動とりおったなぁ」

「……へ?」

 こいつ、何言ってるんだ?とうとう頭までおかしくなったか……?

「俺は最初(はな)から東だとは確信があったのはわかっとったと思うがな……。さっき俺は“声がまんま東やからせめて口調変えたらどうや”って言ったんやで?」

「それがなんなんだよー」

「自分が大和レッドだのふざけたヒーローだと主張するならするでそれでもええ。勝手に一人で好きにしぃ。けどな、さっき俺が言ったのは“声がまんま東やから”なんやで?もし自分が正真正銘の大和レッドなら“たまたま声も口調もそっくりなんや”と弁解すればええやろ」

「ひ、ヒーローにそっくりな奴はキャラ立ちしないからな!こうしてヒーロー自ら東くんとキャラがかぶらないように変えたのさ!」

 西嘉は「へぇー」とか「ほぉー」とわざとらしく言っている。

 どうしてもこいつは大和レッドが俺、東だということを認めさせたいようだ。

「それならば、西嘉!俺がお前の双子の兄である東じゃなくて大和レッドだと証明してやる!」

「やれるもんならやってみぃ。……あと、兄はお前じゃなくて俺やからな」

 まったくこいつは俺が東だと言う上に兄だって主張し始めたじゃないか。

 ま、兄の座もヒーローの座も譲る気はないけどな☆

 ……お、さっそく何か困ってそうな人を発見したぞ!

「お嬢さん、何かお困りかい?悩みだったらこの大和レッドが……って、あ」

「誰がお嬢さんなんですか!確かにボクは小さいし男っぽくないけどれっきとした男子です!男子の制服着てるんですから把握して下さいよ!」

 話しかけた女生徒と思っていた人は小柄で少女かと思っていた。でもこいつは男だ。目の前の彼の言う通り男子の制服を着ているし、何より知り合いというか友人というか仲間だ。

「よお、四夜(よつや)やないか」

「あ、西嘉くん。相変わらずの下手な関西弁ですね」

 この小動物的外見から出るとは思えない毒舌を吐いた少年、四夜は俺たち生徒会の書記だ。

「あのー……西嘉くん。東くんはどうしてあんな変な格好を?」

「な、四夜まで何言ってるんだ!俺は東じゃなくて正義のヒーローの大和レ……」

「はいはい、ヒーローさんとやらは黙ってて下さい」

 四夜……ヒーローを差し置いて西嘉に聞くとはー!

「こいつが言うには東やなくてヒーローの大和レッドらしいで?」

「ヒーローさん、ですか……」

「どっからどう見たって東やのにな、自分が東やなくてヒーローだって言う証明をしてくれるんやて」

 うっわぁ……四夜の目線が突き刺さるようで痛いぜ……。でもヒーローはめげないぜ!

「じゃあヒーローさんはどうやって証明しようとしてたんですか?」

 四夜の笑顔を見たらなんだか寒気が……。

「と、当然、人助けさ!今キミが困っているように見えたからな!」

「ふうん、そうですか。……ヒーローさんには困っているように見えたかもしれませんが、実はボクは今そこまで困ってないんです。けれど、その代わりに本当に困っている人を知っていますよ?」

 ナイス、四夜!

「一体誰なんだい?ヒーローの助けを呼んでいる人って言うのは!」

「では付いてきて下さい。案内しますよ」

 クスと笑って歩きだしたのでついていくことにした。

「四夜があの笑い方するってことはなんかよくないことを考えとるな……」

 西嘉がなんか呟いた気がしたけど、まあいいか。


 しばらく歩いてると、というかなんだかよく知っている道を歩いている気がする。

 まるで、役員会議に行く時みたいな――――

「着きましたよー」

 上を見て部屋の名前を確認したら生徒会室と書いてあった。

 ……どおりで慣れた道だと……ん、生徒会室?

 確か生徒会役員は5人。そのうち3人はここにいる。

 残りは副会長と会長だが、副会長は今日は用事があるからと言って帰ったはず。

 ……と、言うことは……

「失礼します」

 ドアを開けた先に、会長はいた。

 どす黒いオーラを出してこちらを睨んでいるのがわかった。

「ほう……これはこれは……」

「は、はいっ!?」

 思わず変な声が出た。

「虐めがいのある奴が来たものだな……」

 会長はどこからか鞭を取り出して邪悪な笑みを浮かべていた。

「ひ……」


 ――――生徒会室に悲鳴が響き、しばらくの間大和レッドが放課後の学校に現れることは無かったという。


今回のメインは自称ヒーロー東くん。彼は放課後の学園の平和を守っています(自称)。全校生徒にはレッド=東ということはバレています。新年初の更新がこれでいいのだろうか……←

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ