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シャッフルワールド!! 番外編集  作者: 夙多史
【時系列】第二巻~第三巻
4/18

それゆけ!異世界研究部!

「説明しよう! 異世界研究部とはこのオレ――桜居謙斗が創設した文字通りの未知なる世界を探求するオレ得でオレ得でオレ得な部活である! 略して異界研! ん? 非公認じゃないかって? だからどうした。部費なぞいらん。元よりオレはポケットマネーのみで活動していたからな」

 オレはふさっと前髪を手で払う。決まった。いや、ちょっとキザっぽ過ぎたか? でもこの癖毛はオレのチャームポイントだからちゃんとアピールしないとな。たまに馬鹿にしてくる白峰はこの絶妙な癖っ毛加減の素晴らしさが全然わかってないんだよ。

「部長、なに得意げなキメ顔をした自分をビデオカメラで撮ってるんですか?」

「それよりも部長、こんな時間に集合かけるなんて一体どんな活動をするんですか?」

「カァァァット!! 部員A&部員B! 勝手に雑音を入れるんじゃない!」

 オレはそこで真っ白な視線を向けてくる部員たちを怒鳴った。二十一時を回った夜中だが、大声を出したところで近所迷惑にはならない。なぜならここは街郊外の自然公園だからだ。迷惑をかける相手がいないんだよ。

「いいかよく聞け部員A&B」

「略称が酷くないですか?」

「名前で呼んでくださいよ」

「黙らっしゃい!」

 己らの名前なんて覚えてなどいない。異世界人ならともかく、なんの変哲もない地球人の野郎の名前を二人も記録するほどオレは脳内データベースを無駄活用したくないんだ。もしオレが自分の人生を漫画で表現するとしたら、こいつらの容姿なんてモブキャラ以下になるだろうね。肉つきのいい棒人間って感じに。

「なんや知らへんけど、今度の学園祭に向けて短編映画を撮るんやて」

 怪しい関西弁でそう言ったのは、我らが異界研の紅一点にして副部長――稲葉レトちゃんだ。ボーイッシュな短髪は紫がかった黒髪で、好奇心旺盛そうな瞳は宝石のような赤紫色をしている。服装は上下ともに動き易い赤のジャージで色気はイマイチだが、彼女が『美少女』のカテゴリーに属することは誰が見ても明らかだろう。

 レトちゃんは白峰と同じで異世界人の血が半分流れているんだ。つまりハーフ。しかも戦闘能力のあるレトちゃんは、高等部に進学する少し前に正式な異界監査官として認められてるんだ。おっと、なんで異界研に入部したのかと聞くのは野暮ってもんだ。そんなの異世界に興味があるからに決まっているだろう? ちなみに微妙な関西弁を喋るのは関西出身の母方の祖母が原因らしい。

「そうだったんですか、稲葉さん!」

「それならそうと部長も言ってくれればいいのに」

 レトちゃんに声をかけられて感激したように目を輝かせる部員AとB。この野郎どもはレトちゃんが目的で異界研に入ったようなもんなんだよな。あ、雑用を任せるために入部を許可したことは秘密にしてくれよ。

「ほんで桜居先輩、ウチらはどないな映画撮るんや?」

「フフフ、言うまでもないだろう、レトちゃん。無論、『次元の門プレナーゲート』の観察映像だ」

「それ、映画なん……?」

「もしも異獣とか異世界人が現れた時、映画と言っといた方がレトちゃん的にも都合がいいだろう?」

「おお、流石やな桜居先輩! でも本来ならウチはそれ自体を止めなあかん立場やねんけど」

「細かいことは気にしない! あと、今は『部長』と呼びたまえ」

「せやったな、桜居部長」

 ケラケラと無邪気に笑うレトちゃん。オレとレトちゃんが楽しげに会話してるもんだからか、部員ABから殺意と羨望の混じった視線を感じる。気にしないけどね。

「ところで部長、なんで今日のこの時間にこの場所で門が開くってわかったんや? 監査局もまだ把握してへんことやのに」

 きょとり、とレトちゃんは可愛らしく小首を傾げる。流石は異界研の副部長。オレが訊いてほしい質問をわかってらっしゃる。そこでオレたちの会話についていけてない地球人のボンクラどもとは格が違うな。

「それはな、オレが独自に開発した『次元の門』感知システムのおかげなのさ」

「ほえぇ、部長が個人で監査局より高性能なシステム作ったとか信じられへんわ」

「そのシステムとはずばり、これだ!」

 オレは鉤状に曲がった銀色の針金を一本ずつ両手に握ってみせた。

「そうそう、これ一組あったら金銀財宝ざっくざく――ってそれダウジングやんかぁ!」

 バチン! 楽しげにノリツッコミをしてくれたレトちゃんに背中をしばかれた。

「痛いよ! 普通に背中痛いよ! そしてこれボケじゃないから! こう見えて割と正確なんだぞレトちゃん。今だってこう、ビビビ! って感じにオレに門の出現方向を教えてくれてるし」

「部長、今さらやけど変な電波でも受信しとるんとちゃうん? ホントに埋蔵金とか温泉とか掘り当てるオチやったらウチも大歓迎やけど」

 レトちゃんのあの目はオレを信じてない目だ。くそう、こうなったら意地でも『次元の門』の出現場所を特定してやる!

「部長、映画じゃなくて宝探しになったんですか?」

「この辺に徳川の埋蔵金が埋まってるなんて聞いたことないですけど」

「いいからABはカメラと照明を持ってついてこい!」

「「ついに『部員』とすら呼んでもらえなくなった!?」」

 なんか野郎どもがショックを受けてるみたいだが、知ったこっちゃない。

「でもまあ、これはこれで冒険みたいで面白そうやな」

 やる気になったらしいレトちゃんもニヤリと笑い、ABと共に昔のRPGみたくオレを先頭に縦一列に並んで歩き始めた。


        ――三十分経過――


「嘘や……」

 レトちゃんがポカンとしている。それもそうだろう、自然公園のきっちり整備された歩道を歩き回って幾年月(三十分)、ようやく目的のブツを見つけたのだから。

 埋蔵金をな!

 おっと、『オレにとっての』をつけ忘れた。つまるところは『次元の門』ってわけですよ! レトちゃんにしか見えてないけど、彼女の反応からして目の前にあることは間違いない。

「いよっしゃぁああああ! 早速ダイブだぁああああ!」

「あかんて! 流石にそれはウチも止めるわ!」

 門があると思われる場所に突っ込みそうになったオレは、危ういところでレトちゃんに引っ張り戻された。いかんいかん、嬉しさのあまり一瞬我を忘れていた。今日はあくまで撮影だったな。

 頼むから、なにも出てこないなんてつまらない展開にだけはならないでくれよ。

「あ、はい。せやから、ウチがなんとかしますんで……」

 オレがこないだ新調したハイビジョン対応CMOS1/4型のビデオカメラで門を凝視している間に、レトちゃんの携帯に異界監査局から連絡があったみたいだ。普段なら門出現前にはとっくに観測されていて、最も近い位置にいる監査官へと指示が飛ぶ仕組みになっているらしいのだが、ここはどうも電波が悪くて通達が遅れてしまったようだ。

 白峰から聞いたところによると、『次元の門』の出現平均時間は約十分だとか。それまでになにか異世界絡みのアクシデントとか起きないかなぁ。後ろで照明を支えている部員二人は欠伸なんかして暇そうだ。

 気持ちはわからんでもない。オレだってただじっとしてるのは性に合わん。いっそのこと異世界に飛び込もうか。……いや、今度やったらレトちゃんに本気で気絶させられそうだから自重しよう。

 仕方ないから白峰に電話かけてやるか。あいつも入院生活で退屈してるだろうしな。

 Prrrrr! Prrrrr! Prrrrr! ガチャ。

「やあ、白峰、元気か?」

『入院生活してる人間に言う言葉じゃないよな。それと院内は携帯禁止だ。俺がたまたま屋上にいたからいいものを』

 電話の向こうから激しくウザったそうな声が返ってきた。こいつは白峰零児。オレの中学以来の悪友だ。そしてリーゼちゃんといいレランジェさんといいセレスさんといい誘波さんといい、異世界人の美少女に囲まれてウハウハしているオレの――否、世界の敵! うん、そう考えただけで殺意的な波動に目覚めそうだ。

「白峰、ちょっと屋上から飛び降りてみようか」

『え? なんでいきなり俺に自殺を薦めてんのお前?』

 チッ。やっぱダメか。

『心の舌打ちが聞こえたぞ桜居』

「まさか、親友に向かって舌打ちなんてするわけないじゃないか」

 舌打ちに関しては地獄耳を通り越している白峰だった。

『んで、こんな時間になんの用だよ。俺、そろそろ病室に戻らねえといけないんだけど?』

「ああ、実は今オレ、自然公園にいるんだが――」

「自然公園って郊外のアレか? なんでまたそんなところに?」

「――『次元の門』が目の前にあるんだけど飛び込んでもいいかな?」

『よーしそこで待ってろすぐ行くから! いいか、絶対早まったマネすんじゃねえぞ!』

 プツッ。ツーツー。

 さてさて、我らが白峰くんが監査局の医療機関を無事に抜け出せるかどうか見物だ。入院生活ってもんは本気で退屈だからな。これくらいの刺激があってもいいと思う。オレ、入院したことないけど。

 まあ、丁度いい暇潰しになったよ。

「ぶ、部長!」

「なんですかアレは!」

 部員たちが慌てているな。でもオレの心は高揚している。動悸が収まるどころか早鐘になっていく。


 目の前の空間が、水に石を投げ込んだみたいに強く波打ったんだ。


 こうなると一般人のオレや部員だって門の見分けがつく。それだけ波紋の広がり方が激しいってことは、異世界のなにかがこちらの世界へ来る予兆に他ならない!

「キタァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 オレは感極まって叫喚していた。そして魚が水面で跳ねるようにそれが門から飛び出してきたのと、部員たちが情けない悲鳴を上げて逃走したのはほぼ同時だった。

 部員たちなど勝手に逃げていればいい。オレはここぞとばかりに脳内データベースに接続し、来訪者の一瞬一瞬の姿をビデオカメラと共に焼きつける。

 ギョロリとしたまん丸の目玉!

 平たい円盤型の体!

 上下に突き出したヒレみたいなもの!

 空中を魚のごとく泳ぐその姿!

 …………はて?

 このマンボウに似た生物、どっかで見た記憶が……?

「あーっ! 確かリーゼちゃんの世界で見たやつとそっくり!」

 しかもあの時のマンボウよりも二回りほどでかい。明らかにボス級モンスターだ。――ん? ちょっと待てよ。てことはこの『次元の門』はリーゼちゃんの世界に繋がってるのか?

「桜居先輩!」

 ぐいっとレトちゃんに腕を引っ張られた。瞬間、さっきまでオレがいた場所をオレンジ色の劫火が焼き尽くした。

「だぁああああああオレの『次元の門』感知システムと照明器具がぁあああああっ!?」

 そこに置きっぱなしにしていたそれらが炎の中でドロドロになっていく。感知システムはぶっちゃけただの針金だけど照明器具は高かったんだぞ!

 マンボウの化け物の目がギョロリとオレたちを捉える。そしてその牙の並んだ口がオレンジ色に光ったかと思えば、凄まじい火炎流を吐き出した。またもレトちゃんに引っ張られて火炎を避ける。カメラだけは、このカメラだけは絶対に放してなるものか!

「ダンボウゥ~」

 なにその鳴き声!? 温め過ぎ!

「よし、あいつの名前は仮に『ダンボウ』としよう」

「なに暢気なこと言ってるんや先輩! アレはどう考えても異獣やで! 危ないから安全なとこまで離れとき」

「いや、離れるならレトちゃんも一緒だ。もうちょっと待てば白峰が来るから」

「そんなん待っとったら門が閉じてまうやろ。あと先輩、ウチも監査官ってこと忘れてへんか?」

 ニッとレトちゃんの唇が笑みの形に歪む。忘れてたわけじゃないけど、女の子に戦わせるのはなぁって思ってたんだよ。

「残念やけど、白峰先輩の出番なんてないで」

 パシン!

 自分の掌に景気よく拳を打ちつけたレトちゃんが異獣――ダンボウの前に出る。ダンボウもレトちゃんが戦意を見せたからか、警戒するように空中で静止する。

 数秒の睨み合い。

 先に動いたのはダンボウの方だった。

 灼熱の火炎放射をレトちゃんは横に飛んでかわすと、そのまま地面を強く蹴って一鼓動のうちにダンボウへと肉薄する。

赤雷装纏せきらいそうてん――」

 バチチィ! と激しいスパーク音を響かせ、レトちゃんの全身に赤色の光が宿った。バチリバチリと弾けるそれは、彼女が自らの魔力を変換して纏った電気。

 レトちゃん――稲葉レトは帯電能力者なんだ。本人曰く、電気ウナギみたいな人種だとか。

「――臥龍天衝がりょうてんしょう!」

 ダンボウの真下に潜り込んだ赤雷纏うレトちゃんが、掌底で突き上げるようにしてヒレの付け根辺りを打った。瞬間、ダンボウは打ち上げ花火よろしく凄まじい勢いで夜天に昇る。

青雷装纏せいらいそうてん――」

 天を仰ぐレトちゃんの纏っていた電気が赤から青に変化する。そうして力を溜めるように一度腰を屈めると――フッ。レトちゃんの姿が消えた。

 彼女の能力を異界研部長として一応知っているオレは、すぐさま上空を見上げる。レトちゃんは先に打ち上げられていたダンボウのすぐ傍まで迫っていた。

 彼女の能力はただ帯電するだけじゃない。帯びた電気に攻撃力があることはもちろん、その色によって様々なボーナスが自分自身に付加されるんだ。赤なら腕力アップ、青なら跳躍力アップってな感じに。

「――空月崩牙くうげつほうが!」

 ついにダンボウを追い抜いたレトちゃんは、オーバーヘッドキックの要領でその巨体を叩き落とした。さらにあろうことか空中を蹴って自分も上昇から下降に運動を切り替える。

 落下中にもう一度蹴りを入れられ、超加速したダンボウは隕石のごとく地面に叩きつけられた。……気のせいか、オレにはダンボウさんが涙を流していたように見えた。

 だが、ダンボウさんも伊達にボス級の体格をしているわけじゃない。落下地点からすぐに浮遊し、未だ空中にいるレトちゃんに向けて火炎を吐いた。

 迫る炎に対し、青い電気を纏ったレトちゃんはまたもそこに見えない壁でもあるかのように大気を蹴って避ける。空中をジグザグに移動しながらストンと着地したレトちゃんは、スポーツを楽しんでいるような爽やかな笑顔だった。

「これでしまいや。紫雷装纏しらいそうてん――」

 レトちゃんの纏う電気が青から紫に変色する。それがレトちゃんの右掌に収束したかと思えば、長大な槍の形に固定された。

「――紫電滅槍しでんめっそう!」

 野球のピッチャーよろしく大きく振り被り、槍を投擲するレトちゃん。雷速で飛来する紫電の槍をかわすことなどできず、貫かれたダンボウは吹き飛んで空間の歪みに消えていった。『次元の門』の向こう側にある世界へ戻ったんだ。

「あちゃー、ちょいやり過ぎてもうたかなぁ。まあ手加減したし、頑丈そうやったからあのくらいじゃ死なんやろうけど」

 苦笑して頭を掻くレトちゃん。彼女の能力は知っていたオレだけど、実際に戦ってるところは見たことなかったんだよね。なんというかそのう……感動したぜ。

 オレはビデオカメラでしっかり、というかちゃっかり撮影できていることを確認してレトちゃんに歩み寄る。

「レトちゃんって実は白峰より強いとか?」

「いやいや、白峰先輩には敵わへんて。ウチはまだまだ勉強中の身や。最後の技も白峰先輩の能力を参考にして思いついたもんやし」

「あの厨二臭い技名は?」

「え? かっこええやん」

 むむ、否定できん。

「ところで先輩、あ、いや部長、『次元の門』閉じたけどまだ撮影続けるん?」

 無邪気に訊ねてくるレトちゃんは、『続ける』と言えば一晩中だって付き合ってくれるだろう。

 オレは、ふむ、と唸った。

「門が閉じたのならもうここにいる必要はないな。無駄な時間を使わないのがオレの趣味だ。早く帰って映像の編集もやりたいし」

「あははは、異界研の活動自体が世間一般では無駄なんやろうけど」

 失敬な!

 手分けして部員二人がいなくなった分の荷物を持ち、オレとレトちゃんは帰路についた。その途中、オレはふと疑問に思ったことを口にした。

「今さらだけど、レトちゃんはどうして監査官になったんだ?」

 帯電能力のことや異界研に入部した理由については真っ先に訊いていたけれど、監査局絡みの話はなにも聞いてないんだよね。あまり一般生徒がいる前でぶっちゃけていい話でもないし。そういうところはオレだって『知った者』として分を弁えてるんだよ。

「ウチな、昔は自分の異能が嫌いやったんや」

 レトちゃんは昔を懐かしむように星空を見上げた。

「自分の中に異世界人の血が流れとることは別にどうでもよかったんやけど、この力だけはなぁって。白峰先輩みたいに完全に自分の意志が関わらないと使えへん能力でもないし、無意識で発動して友達を傷つけたら嫌やろ」

「じゃあ、力を制御できるようになるために監査官にってこと?」

「ちゃうちゃう、そんなんやない」

 レトちゃんは笑いながら否定した。

「ウチが監査官になったんは憧れや。中二の頃に一度だけ監査官の人に助けられたことがあってな。ウチもその人みたいに自分の能力と向き合い、共に生きられるかっこいい人になりたかったんや。ほんで能力使うて人助けやってみて、たまたま助けた人が異世界人やって、怖がられることなくお礼まで言われて、それがまた気持ちよくって、気づいたらあの人と同じ監査官になっとった」

 彼女は自分の目的のために異界監査官になったわけではないらしい。白峰や迫間や四条みたいな特殊な存在だと言える。日本本局ってそういうやつら多いなぁ。

「時にその人って男?」

「んや、ウチとそう歳の変わらへん女の子やったけど……にひひ、部長、まさか嫉妬しとるん? ウチは女の子相手でも全然オーケーやで」

 くふふ、とレトちゃんは嫌らしい笑みを浮かべている。嫉妬? 冗談じゃない。嫉妬なら常にしている。どこぞのハーレム野郎にね。あ、そういえば白峰の野郎はどうなったんだろう? ……どうでもいいか。

「部長をからかうもんじゃないぞ。やろうと思えばビデオを編集してレトちゃんだけを水着にすることだって可能なのだ!」

「それおもろいなぁ! 他にはどんなことできるんや先輩?」

 あれ? 予想外の反応。

「フッフッフ、だったら今夜は部室でオレの編集テクをとくと見ていくがいいさ!」

 一度帰宅するという選択肢もあったけど、オレとレトちゃんはその足で学園にある部室へと向かうのだった。署名だけを集めて公式認定させた映画研究部という仮の名をした部室に――。



 その頃、異界監査局の医療施設。

「だからあのアホが門の近くにいて大変なんだって! 俺が行くしかねえんだよ!」

「ダメよ。怪我人は一歩も院内から出さないわ。大人しく病室で寝てなさい」

「うわっ!? なんでただの看護婦に残像ができるほどの素早い動きがぎゃああああああああああっ!?」

 施設を抜け出そうとしていた白峰零児は、なんかやたらと強いナースさんに捕まって病室のベッドに三日間ほど縛りつけられていたとか。


二巻後、三巻前のレージが入院している間にあったお話です。

無意味に技名とか叫んでますけど、そういうの嫌いな人がいたらすみません;

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