第7話「見えていなかったものなのです>﹏<」
放課後の廊下。
私は、一人で書類をまとめていました。
「……風紀記録、整理完了なのです」
今日のチェック内容を丁寧に書き終え、ほっと一息つきます。
「……少し、疲れが出ているのです……>﹏<」
軽く目元を押さえる。
メガネの奥が、少しだけじんわりとするのです。
「……少しだけ、外すのです」
そっと、メガネを外す。
視界が、少しぼやける。
でも——
「……こちらの方が、負担が少ないのです」
そのまま、廊下の窓の方を見る。
夕焼けが、優しく広がっていました。
「……綺麗なのです」
自然と、声がこぼれます。
その時。
「——珍しいな」
後ろから、声がしました。
「ひゃっ!?///」
思わず振り返る。
そこには、クラスメイトの彼が立っていました。
「……あ」
一瞬、言葉が止まる。
「お前、メガネ外すとそんな感じなんだな」
「え……?///」
じわっと、顔が熱くなる。
「い、いつもは外さないようにしているのです……>﹏<」
慌ててメガネを握りしめる。
「なんで?」
「そ、その……視認性を確保しないと、風紀委員として問題があるのです」
風紀委員として。
適切に状況を把握しなければいけないから。
「……なるほど」
彼は、少しだけ納得したように頷く。
「でも」
「……?」
「今の方が、柔らかい感じするな」
「えっ……!?///」
一気に心臓が跳ねる。
「そ、それは適切な評価ではないのです……!///」
慌てて顔を逸らす。
「そういうのは、対応に困るのです……」
「悪い悪い」
軽く笑う声。
でも、不思議と嫌ではないのです。
「……いつも頑張ってるよな」
「……え?」
思わず、顔を上げる。
「風紀委員」
「……」
言葉が出ない。
「ちゃんと見てるやつは見てるって」
「……!」
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
「……そのようなことは、ないのです」
小さく、否定する。
でも——
「……ですが、少しだけ嬉しいのです」
本音が、こぼれてしまいました。
「だろうな」
彼は当たり前のように言う。
「無理すんなよ」
「……!」
その言葉に、少しだけ力が抜けました。
「……はい、なのです」
そっと、メガネをかけ直す。
視界が、はっきり戻る。
でも——
「……さっきの方が、よかった気もするな」
「えっ!?///」
また、顔が熱くなる。
「そ、それは認められないのです!!///」
思わず強く否定してしまう。
「風紀委員として、適切な状態を維持する必要があるのです!」
「はいはい」
軽く流される。
「……でも」
「……?」
「たまにはいいんじゃないか?」
その言葉に、少しだけ考える。
「……例外的な状況としてであれば……」
小さく呟く。
「許容範囲かもしれないのです……>﹏<」
「だな」
彼が、少しだけ笑う。
夕焼けの中。
さっきより少しだけ、世界が柔らかく見えた気がしました。
「……あの」
「ん?」
「これからも、風紀委員としての務めは継続するのです」
「おう」
「ですが……」
少しだけ、勇気を出す。
「状況に応じて、力の抜き方も必要だと判断したのです」
「……」
一瞬の沈黙。
「いいんじゃねえか」
その言葉に——
「……はいなのです」
小さく、笑えた気がしました。




