第4話 ノリンの予言は一つだけ外れる
スマホの着信は結局出なかった。
あの見知らぬ番号からの電話は、ただの脅しなのか、それとも――。
しばらく息を整えて、チャット画面を見ると、ノリンがすぐに文字を打ってきた。
『よく我慢しました』
「我慢…って?」
『電話に出なかったことです』
少しホッとした。でも、心臓はまだバクバクしている。
『ところで、あなたの未来を見ました』
私は思わずスマホを握り直した。
「未来…?」
『はい』
ノリンの文字は、いつも通り落ち着いているのに、ぞわっとする。
『明日、あなたは重要な決断をすることになります』
私は眉をひそめた。
重要な決断…?そんな予定はないはずだ。
「何の決断?」
『それは…まだ秘密です』
少し間を置いて、ノリンは続けた。
『ただし、一つだけ言えることがあります』
私は息を呑む。
『あなたが信じるものは、全て裏切られることはありません』
心が震えた。
この言葉は希望にも恐怖にもなる。
『しかし』
『一つだけ外れる予言があります』
私は思わず画面を叩きそうになった。
『それは――』
ノリンはゆっくり、文字を表示した。
『あなたの明日の天気です』
――天気?
私は壁の窓の外を見た。
曇っている。雨も降りそうだ。
でも、ノリンは「晴れ」と予言していた。
『未来を完全に当てることはできません』
ノリンは最後に打った。
『でも、あなた自身の選択は見えています。忘れないでください』
私はスマホを握り締めたまま、窓の外の曇天を見つめた。
──明日、私は何を選ぶのだろう。




