14-8 そして、園美島へ ⑧・最終話
それを聞いて、驚くルミナリエは、わけを話した。
「実はね、私、ナリント国を作り出す時に、もう一つ、試していたことがあったのよ。それは、美のクルルド化といって、たとえば、この日本で言うならば、何億円という、とても価値のある美術品や、芸術品があるでしょう。
そういうレベルの価値を持つ美術品とは、普通の美しさというものを超越していて、ただ眺めているだけでとても満足できるというか、触ったりすることは、とてもできない、崇高で、とても恐れ多いという感覚があるの。それが、美貌の女性に対しても起こるという、実に不思議な感覚が起きる。それは、美のクルルド化という現象を起こしていて、すべての美のレベルを超えているのよ。
それを、このナリント国の最高美貌を持つ女性たちの中に、さらに、そういう女性を作り出したいと考えて、研究をしていたの。つまり、美術品を物ではなくて、生きた女性で、美のクルルド化現象を起こした女性を作り出したいと研究をしていたの。それで、もしもそれが実現していたなら、その女性たちは、クルルドレディと呼ばれて、その美しさは、人間でありながら、性別を超えた、まさに国宝級のものになったはずなのよ。
もしも、そういう女性たちが生まれていたら、ナリント国の美人たちとは、全く別の魅力を持つ驚異的な美人たちなのよ。その彼女たちは、普通のモデルでも持ち得ない、性別を超えた、最高の美を全身で表現している奇跡の美人たちなのよ。そして、彼女たちは、いくら男性がその魅力の虜になろうとも、女性でありながら、それを超えた芸術品としての魅力を持つ女性として、性的な対象とされることもない、その魅力は果てしない純粋の究極の魅力なのよ。」
それを聞いていた「Q」は、ルミナリエに続いて話しを始めた。
「私が知ってるクルルドレディのことについて話すわね。ナリント国が、多くの国から、様々な物資を輸入していたじゃない。そして、そのために、各国のその担当者たちをナリント人の美人たちの虜にさせて、その担当者たちから、その魅力を使って、様々なものを奪い取っていたのよ。
それが、自分たちから要求するのではなくて、相手にそういう気持ちにさせて、こちら側は全く悪くないという、そういう悪だくみをしていた張本人が、コトールとアルタだったのだけれども、その時に利用されていた美人たちは、クルルドレディだったのよ。各国の担当者の男性たちが虜になっていた女性たちとは、なぜか性的なトラブルに発展することは、全くなくて、彼女たちを鑑賞することで、担当者たちの満足度を完璧に満たしていたのよ。結局、それが、各国の担当者たちが果てしない魅力の犠牲になっていたということなの。
コトールとアルタは、美術品や芸術品に対する、その見極める能力が、かなり優れていて、クルルドレディを見極められたのだと思う。私も、2人がクルルドレディを見極められたのは、本当に驚いたし、でもね、そのクルルドレディは、ナリント国に、たった10人しかいなかったのよ。2人は、かなり探していたと思うから、本当にそのくらいしかいなかったんだと思う。でも、逆に、その人数だけでもよく存在していたと思うわ。だけど、ルミナリエ、あなた、そんなすごい彼女たちを、どうやって作り出したの?」
「そんな、まさか、私、今、そのことを聞くまで、ナリント国に、クルルドレディが存在していただなんて知らなかったわ。ナリント国は、ほぼ理想通りに出来上がったけど、クルルドレディは、あまりにも難しくて、最後までできなかったのよ。
実は、ナリント国を作り出す時に、1番難しかったのが、クルルドレディだったの。それに、正直言って、私は、ナリント国を作り上げるまでに間に合わなくて、結局作り出すことはできなかったので、とうとうあきらめていたのよ。ナリント国のすべての最高美貌の女性たちは、脳の小脳の代わりに、美の赤い水晶体ベリデリウムを入れ込んでいくことで、この世での最高美貌の実体化を実現したの。だけど、それよりも、高いレベルの美人であるクルルドレディを作り出すには、パラジウムが必要だったのよ。
美の赤い水晶体ベリデリウムは、とても希少価値の鉱石ではあるけど、時間と手間さえかければ、探し出して、作り出すことはできるものだった。だけど、パラジウムは、小脳と美の赤い水晶体ベリデリウムを入れ替えたあと、人間の身体を作り出している他の物質との化学反応によって、ごく稀に、パラジウムに変化するのよ。美の赤い水晶体ベリデリウムは、小脳の130グラムと、そのまま入れ替えればいいと思っていたのだけれども、それだと、のちに、美の赤い水晶体ベリデリウムは、多少、脳内で膨張するので、130グラムよりも抑えなければいけない。ただ、130グラムはなくても、100グラム以上あれば、ナリント人として最高美貌を実現できたので、だいたい110グラムにしておいたのよ。
そうね、稀に多くても、115グラムくらいかしらね。ただ、その女性の個体としての、様々な環境や、その時の肉体の条件が変化していく中で、その女性たちの中で、偶然、化学反応を起こして、突然、パラジウムに変化した女性がいたんだと思う。でも、ナリント国が出来上がったあと、そんな奇跡みたいなこと、絶対にありえないと思っていたの。でも、それが、起こっていたのね。それが、今回、見つかった10人だと思うのよ。
だから、私も、アンシャンテとして、生まれていた間、それまでに、クルルドレディをみたことはなかったし、私は、10代のうちに、ナリント国を去っていたからね。そののちにクルルドレディが生まれていたのは知らなかったのよ。
それにしても、私の生み出そうとしていた、クルルドレディ、まさか生まれていたのね。一度でもいいから、ぜひ会いたかったわ。究極レベルの美貌を持つ、美の最高峰の女性クルルドレディにね。」
それを聞いて、「Q」は、ルミナリエの肩を、ポンっとたたいて言った。
「でも、あなたの美を作り出す才能と努力は、大したものだわ。残念ながら、せっかくのクルルドレディは、コトールとアルタに悪用されて、残念なことになってしまったけど、今回は、本当に運が悪かったのよ。でも、いつか、きっとまた、クルルドレディは、世の中のために生まれてくる時がくると、私は信じてるわ。」
ルミナリエは、言った。
「今回は、長い間、様々なことで、「Q」には、迷惑をかけたけど、もうこのようなことは、2度起こさないように気をつけるわ。そのせいで、エンピュラスも巻き込んでしまって、本当に申し訳ないことをしたわ。」
それを聞いた「Q」は、
「いいのよ、ルミナリエ。私は、この世界に秩序を作り出した。だから、それが、私の仕事。
そして、その、自分で生み出した秩序は、自分でも守り続ける。そして、その秩序の中で、戒めが生まれ、自分を成長させるため、進化させるための環境が生ま れ、その中で、人は進化を続けていくわ。
しかし、時に、その秩序を破ってしまうものが訪れた時、私は、それを超える、新たなる、私の秩序を持って、その破ってしまうものを壊していく。そして、私は、どこまでも絶対的な秩序であり続けるわ。だから、すべての元は、私であり、すべて私の責任なのよ。
これからも、色々なことが、あるかもしれないけど、その都度、対処していくわ。それに、また、再び、人間界に下生しなければならない時もくるかもしれないけど、ここは、とりあえず、あなたたちにまかせたわ。でも、何か、どうしても、大変な問題があった時には、遠慮なく連絡してね。今度こそ、コスミックタッチで。じゃあね。」
すると、「Q」である、別名、クラリス・セメリタ・ナディアス・エスタニア・オリメラトス・リコーラル・バレンメリア・エコリコ・ワレントス・フラエリノ・カモンテスは、自分のいた第7世界に帰っていくのだった。
終わり




