14-5 そして、園美島へ ⑤
ある時のこと。琥珀の翼のメンバーたちが、武術の修練をしていると、いつのまにか、すぐ近くで、それを見ていた少女がいた。
敦子は、その少女が、熱心に自分たちの練習を見ているのを、最初のうちは、ただ微笑ましく思っていたが、その日から、練習があるたびに、少女は見学にきていたのをみて、自分から声をかけた。
「こんにちは。あなた、どこからきたの。いつも、私たちの練習を見ていて熱心なのね。武術とか、興味あるの。」
「はじめまして。私、円美乱子といいます。実は、私も、メンバーになりたいの。」
驚いた敦子、
「あら、入団希望なんて珍しいわ。だけど、私たちは、ただ武術をしているわけではなくて、多くの事件を解決したり、なかなか危険なこともあったりして、簡単にメンバーになれるわけじゃないのよ。もっと実戦的な練習なのよ。」
その少女は、それを聞いても、顔色一つ変えずに、
「それは、練習の仕方をみていれば、よくわかります。私も、それを知った上でお願いしているんですが、もしよかったら、試してもらってもいいですか。」
まさか、この子、なんてことを言うのかしら。私たちと手合わせしたら、懲りてしまうかもしれないわ。あまり、本気でやって怪我でもしたらいけないし、かといって、手を抜いて軽くみられてもいけないわ。どうしよう。
すると、その少女から、敦子に、
「早速、お願いしてもいい?」
「ええ?私が相手をするの。」
すると、仲間たちの1人が、
「まさか、リーダーじゃない方がいいでしょう。代わりに、私がお相手をしますよ。」
だが、その少女は、
「大丈夫です。じゃあ、お願いします。」
そう言うと、スッと、身構えた。すっかり、1番上級者である自分とやる気である。
仕方ないわ、、、、怪我をさせないようにしなくちゃ。
そして、構えた途端、その少女は、呼吸を整えると、かまえたままであった。
敦子は、あっと、構えなおし、身構えた。
すると、少女は、もう微動だにしない。
ええ、いったいどうしたの。
敦子は、少女が、その後動かないのを不思議に思っていたが、その横で、仲間たちが呆然としていた。
な、何、いったいどうしたの、皆。
ところが、仲間の1人から、
「敦子!首に巻いていたリボン、とられたわ!」
「な、なんですって!」
敦子は、首の辺りをさわってみたが、たしかに、リボンがなくなっていた。
そして、ふと見ると、その少女の手には、敦子のリボンがにぎられていた。
「い、いつのまに!リボンが盗取られたのもわからなかったけど、それどころか、近づいたことすらも、わからなかった。」
その少女は、少し微笑むと、
「これで、私、入団を許可してもらえたかしら?」
その時から、円美乱子の姿となった解放石エンピュラスは、メンバーの1人として、迎えられただけではなく、敦子を遥かに超えた武術の腕前を賞賛されて、一気にメンバーたちの指導者となった。エンピュラスにとって、人間の姿での指導は、これまでよりもやりやすくなった。
このシリーズを、ここまでお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。いよいよ、残すところ、数回となりました。約2年という長期間、ご愛読頂きまして、感謝しております。そして、いよいよ、新作の「異次元の女優たち」を今回から、配信いたしました。どうか、引き続き、お楽しみ頂ければ、ありがたいです。どうか、宜しくお願いいたします。




