14-3 そして、園美島へ ③
そして、オリメラトスからの依頼を受けて、惑星解放のための扉を、瞬く間に開けた解放石エンピュラスは、その世界での最後の仕事をやり遂げ、オリメラトスと共に、その宇宙から、去っていく途中であった。途中で少し休んでいこうと、地球に寄ることにした2人は、地球に降りたとうとしたが、そこは、たまたま海ばかりであって、1番近くにあった陸地、そこが、偶然、園美島であった。
園美島は、日本の領土であるが、その多くの島の中でも、ほとんど知る人のいない、特別な島であった。その降りたところは、緑が生い茂る森のような場所で、解放石エンピュラスは、本来の石の姿のままで降り立ち、オリメラトスは、周りを少し見回っていた。すると、少し目を離したすきに、たまたま通りかかった少女に、石の姿のままでいた解放石エンピュラスは拾われてしまった。すると、すぐに、姿を変えるわけにもいかず、拾われたまま、逆に、拾った自分をこれからどうするのか、ちょっと興味があって、様子を見ることにした。
その時、その石を拾った少女、遠藤敦子は、仲間たちと共に、武道の修練に勤しんでいた。仲間は、10人ほどいて、全員女性、彼女たちは、その島の日本人の中でも、生まれつき、特別に運動能力や知能が優れていて、おまけに、類稀なる美貌の持ち主であった。その中で、1番の武術の有段者であった敦子は、その武術を活かして、時々、警察からの依頼で、様々な仕事を請け負って、悪人たちの様々な秘密をあばいたり、秘密裡に、活動を続けていた。そして、昔の忍者に憧れていた彼女たちは、まるでくの一のような存在となって、様々な事件を解決していたが、それは、まだまだ彼女たちにとっては、副業であり、本業にするには、その腕前も、知識も充分ではないと思っていた。それに、もっと修練を積み、もっとプロとしての組織作りをしたいと思っていた。そのためには、もっと多くの困難な問題や事件解決ができるほどの能力や技などを身につけなければならない。彼女たちの代表的な存在であった敦子は、完全にプロとして、活動するためには、様々な壁があり、なかなか先に進めないと思っていた。
ある日、敦子は、一日の修練を終えて、仲間たちと解散した、夕方帰り道に、森の中を歩いていると、道端にあった何か光るものを拾った。それは、ボーっと光り輝いていて、何だか神秘的に感じたが、とても神々しく感じて、思わずポケットに入れて家に持ち帰った。
翌日、この日は、たった1人で、誘拐事件解決の仕事を受けていて、早朝に出掛けていった。
やっと、犯人と人質が潜んでいるという場所を調べだして、現場にやってきた。まもなく警察からも数人きたのだが、入り口には頑丈に鍵がかかっていて、びくともしない。敦子は、もう一度、入り口に立つと、入り口の鍵を思い切りひねりながら、心の中で、思わず、無意識のうちに、開いてえ!と叫んだ。すると、なぜか、壊れることもなく、簡単に鍵は外れ、扉が開いた。警察と共に駆け込む敦子。だが、またもや、その中の扉もガッチリ鍵がかかっていて、開かない。
ええ、またなの!
実は、敦子は、本当は、とても気性が激しく、今では、人にその気持ちをぶつけるわけではないが、心の中では、すぐに、感情的となり、無言のまま、心で叫ぶというくせがあった。以前、ここでの修行を始める前には、はっきりと、人に対してとか、物に対して、口に出して、怒鳴ったり、その感情をぶつける性格であった。
しかし、その気持ちを抑えたいという理由からも、修行を始めていた。そして、今では、感情が荒だった時でも、ぐっと抑えて、心の中で、怒鳴ったりすることで、表面では、山奥にひっそりとたたずむ湖の水面のように、全く静かで落ち着いていた。
だが、しかし、今回も、もう開かずに焦ってる敦子は、開いてよう!と、また、心の中で叫びながら、鍵をガチャとひねった!すると、再び、その鍵は難なく開いて、扉も開いた。再び、扉を開け、犯人と人質の少女を見つけると、犯人を押さえ込んだ。少女は、警察で保護され、そして犯人は逮捕された。
今回も、私たちの活躍があったからこそ、早期解決ができたけど、今回は、何だか変な感じがするわ。
敦子は、いつものように、大活躍をして、犯人を捕まえ、早期解決をした。
うーん、なんだか変な感じ、、、いや、そんなこと、気のせいかも、、、やっぱり、いつものことでしょ、、、
しかし、よく考えてみたら、敦子は、やっと、いつもとの違いに気がついた。
それは、犯人と人質のいる建物に突入した時のこと。当然、いつもは、その隠れ家には鍵がかかっていて、それを壊したり、あるいは、改めて、何か道具とか用意して、開けたりと、突入は簡単ではない。しかし、考えてみれば、敦子は、今回、また、ここで、鍵があるの、めんどくさい、と思って、思わず、心の中で、開けて!と叫んだだけで開いてしまったことを思い出したのだった。
それを思い出して、そうだわ、今回は、鍵が簡単に開いた。それも、2箇所も開いた。そこで、敦子は、思った。
これは!絶対に、そうよ!間違いない!私は、超能力者になったんだわ!きっと、これまでの修練が身を結んだんだわ!
そして、敦子は、考えた。
これは、これから、事件を解決していくのに、すごい武器になるわ。そうだ、色々と試さなきゃ。
すると、敦子は、いつも修練を行なっている、森の奥にある広場に行った。そこで、敦子は、大木を、上がれ!とか、岩に向かって、砕け!とか、色々とやってみたが、結局は、一つもできなかった。
おかしいわ。超能力が身についたはずなのに。
しかし、その後、以前、地震による崖崩れで崩れて落ちてきた岩で塞がっていた洞窟に向かって、開いて!と叫んだ時、その岩は見事に動いて、洞窟は開いた。
驚く敦子。
なんだ!できるのは、塞がっているのを開けることだけなのね。そういえば、あの時も、閉じていた扉の鍵をあけてたわ。2回とも、扉だったわ。
すると、敦子は、閉じていて、開けられない扉などを探して、色々と試してみると、どんな扉も開けることができた。それなのに、回数を重ねる毎に、ただ自分から開けることのできるものまでも試し始めた。
解放石エンピュラスは、とりあえず、敦子の言う通りに、望むままに開け続けた。そして、思った。
人間は、今まで普通に自分の力でできていたことを、能力を得ると、なんでそれに頼るのだろう、と。そして、さらに、人間は、手で取ってをひねれば簡単に開けられるものでも、開ける能力があると、その能力を使って開けたくなってしまう。
なるほど、これが、全宇宙の多くの生物たちの中でも、地球の人類が未だに進化が立ち遅れている原因なのだと納得した。
そして、気分をよくした敦子は、帰宅すると、ポケットに入れていた、拾った石のことを思い出した。
その石は、変わらず光っていた。
その時、もしかしたら、扉を開けられたのは、この石のせいかしら、と思って、家に石を置くと、出かけ、再び、さっきの扉のあるところへ行って、再び鍵をかけて、開けて!と叫んだ。
ところが、今度は、何も起こらない。そこで、もう一度、あの石を持ったまま、扉に鍵をかけ、もう一度、開いて!と念じた。すると、壊れたりすることもなく、カシャ、と開いたのである。
そこで、敦子は、あの石のせいだと気がついた。
そこで、エンピュラスは、再び驚いて、
あら、やっと自分の力じゃなかったことに気がついたわね。




