7-2 与えられた仕事②
すると、それ以上、その声は、しなかった。
2人は、呆然として、しばらく、その機械を見つめていたが、やがて観念したのか、作業を始めた。
その日、1日、10時間の作業が終わり、やっと最後の機械のところにきて、最後のスイッチを入れた。
そこには、下から、ゆっくりと迫り上がってくるガラスのような瓶。その口が、自動的にアームによって開かれると、同時にその上からノズルが降りてきた。そして、ゆっくりと、ノズルから水が絞り出されて、その瓶に一滴落ちていった。そして、そこには、再びアームによって蓋がされた。
すると、突然、
「本日の作業は終了しました」
という声がした。突然の声に驚く2人。
だが、2人は、その時、これが1日の作業のすべてであり、これが、50年続くことを認識すると、鳥肌が立つのであった。
それから、約30年が過ぎたある時、いつものように、作業をする中で、コトールは、途中の機械の操作をしていた時、いつも操作したことがない小さなパネルを見つけた。
それは、これまで、全くの飾りのように見えていたもので、気がつかなかったのだが、そのパネルは、蓋のように開けられるような気がして、とても触ってみたい衝動にかられた。そして、触ってみると、そのパネルは、上向きに上げられるように思い、ゆっくりとめくり上げてみると、その中には、ボタンのようなものがみえた。
この30年間、作業をやってきて、すでに瓶には、半分以上、水は溜まっているので、今ここで何かあったとしても、なんとかなるのではないかと、少し、楽観的に思いすぎたのではあるが、コトールは、この30年、いや、この作業を始める前の、さらにやることのなくつらかった50年と合わせて、実に、80年もの間、なんの楽しみも娯楽も、なんの変化もなかったことを考えると、今、ここで何か自分にとって、マイナスになることが起ころうとも、かまわない。それでも、そのボタンを押すことにしか、今は何も考えることはできなかった。




