7-1 与えられた仕事①
すると、その声は、
「コトール、そして、アルタ、2人とも、その空間をもう一度よく見てごらんなさい。」
そう言われて、辺りを見回す2人。
すると、壁に、突然、白い扉が現れた。
「えっ!部屋が増えたの?!!」
「2人とも、そこの扉を開けて、今できたばかりの部屋に入って。」
ゆっくりと、扉を開ける2人。その目の前には、複雑な機器が多数並んでいて、かなり、広いスペースとなっていた。
「こ、ここは、何?なんだか研究室のような。こんなに複雑な道具や機械が並んでいて、いったい、どういうつもり?」
そこには、見たこともない機器が並んでいて、よく見ると、それは、すべてつながっているように見える。
「今日から、あなたたちは、この機械を使って、あるものを作るのよ。」
2人は、それぞれ、別の部屋で別の扉を開けて、それぞれ別の研究室のような場所で、全く同じ機械を見ていた。
そして、その複雑に絡み合って、部屋いっぱいに広がってつながっている機械をみて、あっけにとられていた。すると、
「今日から、あなたたちに、プレゼントがあるのよ。それは、時の区切りよ。これまでは、その部屋には途切れない明るさがあったから、日にちの区切りを与えなかったけど、今日からは、部屋を暗くする時間を与えるので、1日の区切りをあげるわ。それは、なぜなのかというと、そこにある機械を使って、あなたたちは、これから、毎日仕事をするのよ。1日10時間、この機械を操作して、あるものを作り出すことを今日からやってもらうわ。」
ここまでの50年間、全く区切りのない、毎日と感じることのない生活。それは、もはや生活ではなかった。
今日から行なっていく製造作業は、その複雑な機械を使用して1日にあるものを一定量作り出していくという、1日の区切りを与えられるという、これまでの50年間と比べれば、人間らしく過ごして行かれることとなる。
「それでは、その製造過程を説明しましょう。それでは、その機械の1番最初のところから、順を追って、説明するわ。」
その声の主は、最初のメインスイッチを入れるところから、最後まで、その複雑な行程と操作手順を細かく説明していった。それは、最後までやり遂げると、約10時間要するものであった。だが、それは、過酷なことでもなく、ただボタンを押したり、途中、数分のカウンターをみつめて、待ち、次のスイッチを入れて、その次のカウンターを待つ、という、穏やかに進めていかれるという、とてもシンプルで簡単な10時間の作業であった。
「そして、最後に、このノズルから、下にある特殊なガラスでできた瓶に、一滴、注がれるのよ。つまり、1日に一滴だけ、この機械で作られる。」
「なんですって!こんなに、大きな複雑な機械で、丸一日かけて、たった一滴しかできないというの!」
「そうよ。そして、この瓶が、できた水がいっぱいになるためには、50年かかるのよ。」
「そんなバカなこと!ありえないわ!この水は、いったいなんなの?何のために作るのか、教えてちょうだい!」
「それは、50年後、一つ出来上がったら、またくるから、その時に教えてあげる。とりあえず、2人とも今日から始めるのよ。それ以外のことは、今日は教えられないわ。」




