5 新たなる国
「私?私は、名乗るのも、もはや必要ないわ。この世の全ての秩序が、私。私が、この世の秩序を生み出して、それを管理するのが私。」
「いったい、私たちを、どうするというの。」
「まず、ナリント国は、もはやここまでよ。こんなに、自分たちに、生まれつき、素晴らしい美貌を与えられながらも、それを悪用するなんて、あなたたちは、その自分たちの美しさに狂わされたのよ。あなたたちには、その美しさを持つ資格はない。この、世界一の美貌の国は、たった今、終わりを告げるのよ。
そして、ナリント国は、その現在の美貌の価値を思い切り下げるために、たった今、2国に分離されるという罰を受けるのよ。
2つの国は、それぞれ、あなたたち2人の名前から名付けることにするわ。
まず、一つ目の国は、コトール、あなたの名前から、コトールルミナス国と名付けるわ。その名前の意味は、コトールの奢り。そして、もう一つの国は、アルタ、あなたの名前から、アルタコーネス国と名付けるわ。その名前の意味は、アルタの慢心、という意味よ。あなたたち2人の恥ずべきところをそのままにした名前よ。2カ国の名前に相応しいわ。そして、両国の国民は、今から私が作り出した、それぞれの国の過去の数百年の間の歴史の記憶を持って生をうけるのよ。そして、その理由は不明のまま、代々、大罪を犯してきたという後ろめたい記憶に苦しむ国民となるのよ。
そして、それぞれの国においては、何よりも大切なものは、女性の美貌ね。あなたたちが、何よりも大切にしてきたもの、1番世界を相手に最大の武器としてきたもの、女性の美貌を命よりも大切にする国民にしてあげる。これで満足でしょう。何よりも、どんな時でも、命よりも何よりも、女性の美貌を第一に考えた人生を送る国民にしてあげる。そんな国民たちが、どんな人生を送るのか、女性の美貌だけを考えた人生を送ることが、どういうことになるのか、その小さな部屋のモニターで見物するのね。
まあ、私だって、そこまで鬼じゃないから、暗くて汚い洞窟に閉じ込めるなんて、とてもそこまではやらないわ。だけど、この白くておしゃれな部屋なら、これから、無限に年を過ごしても大丈夫よ。
そうそう、言っておくけど、あなたたちは、もう死んだり、消滅したりしないからね。そして、もうすでに、気がついたかもしれないけど、この部屋には、続く別室は存在しない。つまり、もう肉体のないあなたたちは、もちろん食べ物もいらないし、排泄なども、もはやありえない。
ここから、それぞれ自分たちの罪によって生まれた、あらたな国の行く末を、永遠に見続けるがいいわ。」
すると、コトールは、
「何を言うかと思えば、そんなこと、ありえない!扉を叩き割ってでも、でてやるから!」
すると、すぐに、部屋中を見回し、まず、この部屋には、ドアがないことに気づくと、焦りの表情をかくしながら、壁に向かって、おもいっきり体当たりをした。
しかし、その壁は、鉄よりも硬く、体当たりしたコトールは、その衝撃で倒れてしまった。一方、別の部屋で、同様の抵抗をするアルタだったが、やはりびくともしなかった。
すると、逆上したコトールは、叫んだ。
「ナリント国がなくなるなんて、そんなこと、ありえない!ナリント国がなくなってしまったら、他の国々から怪しまれるに違いないわ!」
だが、その人物は、2人よりも、遥かに上をいっていた。
「そんな心配をしなくても大丈夫よ。世界中の国々のナリント国についての記憶は、たった今、すべて消してしまったから。そして、ついでに、あなたたち、美人チーム・オリヴィアが、他国から手にしたものは、今、すべてそれぞれの国に戻したわ。とにかく、今、ナリント国のことを知っているのは、この私だけなのよ。」
「そんな、、、信じられない!」
すると、2人は、まだ訳もわからず、そこまで状況が飲み込めないようではあったが、確信していたことが、ただ1つだけあった。
それは、もう2度とこの部屋からは、出られないということだった。
そして、それが理解できた2人には、次に、襲ってきたもの、それは、絶望であった。
その、2人の目の前にある大画面、そこには、ただ白い画面から、ゆっくりと、街並みが映し出されてきた。
2人の前にある画面には、それぞれ別の街並みが映し出されて、そこには、大勢の人たちが、ゆっくりと現れると、皆、普通に動き始めた。
それぞれの景色や人たちに、見た目の多少の違いはあったが、どちらの国もとても似ているのであった。
すると、コトールは、これがたった今、ナリント国から分離して生み出された、コトールルミナス国であると、すーっと理解した。それは、今、与えられた白い部屋と同様に与えられた情報であった。
そして、もう一方の部屋でも、アルタが、モニターに映る街並みをみて、これが、新たな国、アルタコーネス国であることを、すっと理解した。
そして、再び、2人に、声がかけられた。
「今から、2人のいる部屋、この特別な空間、ホワイテリアは、時が動くことはありません。どこまでも、他の時が過ぎようとも、たとえ、1秒たりとも、ここだけは、時が先に進むことはありません。だから、ここにある寝るためのものや書くもの、そして、あなた自身は、もう汚れることも、朽ちることもありません。それらは、使っても使わなくてもかまわない。ベッドにみえるものも、実は、あなたたちは、もはや睡眠もとらないので、必要もないけどね。その空間の中のものは、何も変化しない。
つまり、時間が止まっているから、時間の経過とともに、劣化したりしないからなのです。ただ、これから、自分たちの罪により生まれた国を、何代にも渡って、国民たちが、その背負った罪に苦しみながら生きる人生をいつまでも見ていくのです。」
そう言うと、なぜか、その声の主は、2人の下から消えてしまった、そのように2人には、感じられた。




