4-8 ナリント国の崩壊⑧
そんな中、貿易専門担当美人チーム・オリヴィアの総管理官となった2人の女性は、もはやナリント国の代表格にまで登り詰めていた。
ある日、代表管理官室に秘書を呼び出した2人。2人のいるデスクに、秘書のミランダがやってきた。
「どんなご用でしょうか。」
すると、今後のナリント国の大改革のための計画書を手渡し、
「これをプリンセスに届けてきてちょうだい。」
そう言って書類を渡そうとすると、返事がない。
よく見ると、秘書のミランダは、目の前に立ったまま、固まったように動かない。
その顔は、表情まで固まったままで、微動だにしない。
「ミランダ!どうしたの!」
2人で、秘書に駆け寄って身体をゆすってみたが、全く反応がない。
「おかしいわ!全く動かないし、呼吸もしていないわ!」
すると、何気なく、窓を通して見えた景色。
その外に見えた人たちは、1人残らず凍りついたように、止まっていた。
「ええ!いったい、何が起こったの!」
すると、部屋にある時計も、その秒針も止まっていた。そして、何気なくみた水道の蛇口から落ちる水。
「大変よ!あの水!水滴が空中で止まっている!時間が止まっているんだわ!」
すると、突然響いてきた、ある声。
「もはや、これまでよ。あなたたち、ずいぶんと、ご活躍のようね。」
すると、その時は、もはや、ナリント国を、その経済を活性化させて、その内状では、プリンセスをも操るほどの権力を身につけ、美人チーム・オリヴィアを最大の武器として、世界をも手に入れんばかりとなっていた女性2人は、すべてが止まっていることに驚き、突然の声に、さらにうろたえていた。
「だれ、誰かいるの?姿を見せなさいよ。いったい、何が起こっているの!なぜ、時間が止まっているの!」
すると、再び、姿なき声、
「残念だけど、あなたたちに、とても大事な用があるのよ。最近、あなたたち2人の活躍が、とても評判になっている。まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いとは、このことね。あなたたち、多くの女性たちの美貌をこんなことに使うなんて、恥ずかしいとは思わないの。本当になげかわしいわ。」
「何を言うの。誰だか知らないけど、言いがかりはいいかげんにしてちょうだい。言っておくけどね、私たちは、人から騙したり、無理矢理奪ったり、そんなこと、一度もしたことはないのよ。今まで手に入れたものは、すべて相手からの好意によるもの。私たちと交流を持てて、むしろ喜ばれているくらいなのよ。間違えないでちょうだい。」
「そういえば、あなたたち、クルルドレディのことを知ってるだけでもすごいのに、その女性たちを見極めて、見つけ出したなんてね。
美のクルルド化は、もともと、美術品や芸術品のような物質に対して起こりうるもので、今回、美のクルルド化を起こしている人間は、初めてよ。なぜ、そんな人間が、この世に存在しているかは、私にもわからない。だけど、欲を出して、美のクルルド化を起こしている女性たちを使って、世界をすべて牛耳ろうだなんて、その綺麗な顔からは、想像できない悪行だわ。だけど、クルルドレディたちを見極めて、集められたことだけは、私から言わせれば、賞賛に値するほどのことなのに、その能力が活かされないとは、とても残念だわ。」
「私たちだって、美のクルルド化を起こしている美人たち、クルルドレディがこの世に存在するなんて、初めて見た時は、とても信じられなかったわ。これが、普通に、どんなに素晴らしく、女性としてだけ異性に感じさせる魅力だけの美人たちであったなら、おそらく、そんなやり方で男性を誘惑したら、それは、どろどろとした色恋ざたとなって、最後には互いに破滅してしまったはずよ。
でも、それは、絶対に起こしてはならないことでしょ。だけど、クルルドレディたちは、どこまでいっても、その美貌を鑑賞することが、相手の担当者たちにとっては、それが、もはやこの関係性のゴールであって、それ以上のことは、決して起こらない。そして、それが果てしなく続いていく、終わりのないゴールなのよ。それに、各国の担当者を見てごらんなさいよ。皆、クルルドレディの魅力に取り憑かれて、迷惑どころか幸せそうじゃない。
だから、これ以上のトラブルは起こらない。たとえ、相手の担当者が、今後変わろうとも、新たな担当者たちは、必ず美人チーム・オリヴィアの虜になり続けるしかないんだわ。これからの担当者たちも、何代も変わっていこうとも、彼女たちの魅力からは、決して逃れることはできないのよ。
それに、この美人たちは、まさに、生きる芸術品なんだわ。それに、彼女たち、クルルドレディの人生には、結婚という選択肢がないから、もはや彼女たちは誰のものでもない。本当に鑑賞のための芸術品そのものなんだわ。そして、これからも、私たちのため、この国の、ナリント国の繁栄のために、この国の武器となって、一生幸せにくらすのよ。そして、皆、幸せになるのよ。」
「そんなこと、許されると思っているの!」
「誰がなんと言おうとも、皆が幸せになるんだもの。私たち2人が許すから、いいじゃない!」
「そう、なるほどね、わかったわ。」




