1 -12 究極の美の称号ネオビーナス12
【クラリスの復活】
すると、ゆっくりと手を開くヴィクトリア。そこには、透明に輝いている出来立ての空気弾があった。
「これを逃したら、もう時間切れになってしまうわ。これしかもうチャンスはないわ。」
すると、右手を軽く握り、空気弾を用意すると、準備完了!!!
かるく、目を閉じると、精神集中をしているヴィクトリア。心の中から、そのターゲットを探して、そこに焦点を合わせていく。
さっきの「レインボージュエル」の脳内の神経麻酔の集中力を再び思い出して、その精度をあげていくヴィクトリア。そこには、ヴィクトリアが持っているイメージである、針の尖と、目的の針穴が、だんだんと近づいていく。そんな状態を想像しながら、焦点を合わせる精度を上げていくヴィクトリア。そして、その2つがぴったりと重なった!その時、ヴィクトリアは、無意識のうちに、親指を弾いていた。
一直線に、エレンシアの方に勢いよく飛んでいく空気弾。すると、急に弧を描いて、その軌道は、エレンシアの首の後ろでUターンをして、ビダーリングの留め金に当たると、そのかけた圧力で空気弾は、勢いよく弾けて、その金具を外していった。また、その砕き方は、金具にあるバネを、わざと、勢いよく弾かせるような砕き方をしたことから、リング全体を首から、前方へと勢いよく弾かせて、リングは、宙に舞った。
そこまでの流れを、空気弾が金具に命中したと同時に、悟ったミレニスは、舞台の中央に飛び出すと、宙に舞ったリングをつかみ取り、おもわず、そのスイッチをオフにした。
そして、舞台に向いて、振り返り、エレンシアと目があうと、呆然とした表情のエレンシア。
すると、みるみるうちに、エレンシアの美貌が変化していく。彼女は、もともと美の極みの称号のプレミアミリストにまで上り詰めてきたので、その美貌が低下するということにはならないのであるが、ビダーガス3によって、生み出された、各個人にとって、最高の美貌と感じられた姿は、消え始めていた。
その変化する姿をみたフランソワ高木は、自分の目から見て、ただ、エレンシアの単なる美のエネルギーの低下による、その美貌の不調なのだろうと感じていた。
そこで、やむなく、その数分後、フランソワ高木から判断がくだされた。
「只今の対決は、「レインボージュエル」、アリアンナ・ヴォルフハートの勝利といたします。よって、エレンシア・アイヴォリーは、敗退となりました。」
すると、ミレニスは、クラリスの方に駆け寄ると、
「お疲れ様、クラリス。エレンシアは、ここでビダーガス3を使っていたのよ。すぐに、抗議した方がいいわ。あなたの対決の時もよ。はい、これが、証拠よ。」
そう言うと、ビダーリングを手渡した。
「そうだったのね、ミレニス。ありがとう。」
そして、クラリスは、フランソワ高木の下に駆け寄り、今の対決に対して異議を申し立てた。
「先程の、「レインボージュエル」と、エレンシア・アイヴォリーの対決に対して、異議を申し立てます。」
すると、クラリスは、手に握ったものを掲げながら、
「これは、ビダーガス3という、誰からみても最高の美人にみえてしまうという特殊なガスを仕組んだネックレス型のボンベであります。実は、たった今、これを対決に、エレンシア・アイヴォリーが使用していたので、取り上げたところであります。これを、どうか、今の対決や、前回の対決で使われたことを報告させて頂きます。今回の対「レインボージュエル」との対決でも使用されたことと、私、クラリスとの対決にて、使用されたことは、ビデオにて確認をして頂き、どうか対処して頂きたく、お願いする次第です。そして、たった今、皆さんの目の前にいるエレンシア・アイヴォリーの顔の姿と、先程までの皆さんが目撃してきた姿とを思い出されて、対比して頂くこともあわせて、ぜひとも、その参考にして頂きたい。どうか宜しくお願いいたします。」
すると、ジャッジのフランソワ高木は、
「わかりました。只今、以上の申し出により、内容確認をいたしますので、しばらくのお時間を頂きますので、只今の休憩時間の延長をいたしますが、確認にかかる時間が、特定できないので、その間どうか会場の皆様も、こちらからの報告ができるまでお待ち下さい。宜しくお願いいたします。」
クラリスは、少し驚きを隠せない表情で、
「最新のビダーガス3、今回は、私にもその存在に気づけなかったわ。ミレニスは、とうとう、特殊ガスの完全無臭化に成功したのね。あれだけ、難しい無臭化をよくやり遂げたわ。今では、改心して美麗隊の研究開発チームにいると聞いたけど、きっと心を入れ替えて、努力したことが実ったのね。もう、私の監視も必要なさそうね。それじゃ、たった今、かけておいたロックを解除してあげるわ、おめでとう、ミレニス。」
すると、その後、休憩時間は、さらに30分延長されたのち、フランソワ高木より、発表となった。
「皆様、大変お待たせいたしました。前回までの対決や、その詳細などをビデオ確認いたしました結果、エレンシア・アイヴォリーは、その特殊ガスを、対クラリスにおいても使用し、不正を働いて勝利を得ていたことが判明いたしました。もちろん、先程の、対「レインボージュエル」との対決においては、使用が判明することを抜きにしても、敗北はしておりましたが、この対決においては、敗北ではなく、失格となり、そして、クラリスは、先程の対決において不戦勝という扱いとなります。そして、すでに、「レインボージュエル」は、勝利しているので、あらためて、ここで、ナナとクラリスの対決に進ませて頂きます。そして、この後の流れとしましては、クラリスとナナのうちの勝者は、「レインボージュエル」との対決となり、その対決の勝者が、決勝に進むということになりました。」
その発表に、会場は、割れんばかりの拍手に包まれた。それは、モデルラボの双璧である、ナナとクラリスの対決という、これまで、世間では、絶対的に実現不可能であった夢のカードが、今、ここで、実現することの奇跡を、皆、信じられない思いで知ったからであった。同じ事務所内のメンバーが、1対1で対決ということは、決してありえないことなのであり、それが、モデル業界においても、頂点に立つ2人とは、なおさら考えられないのであった。
実は、その発表で安堵している人物がいた。
それは、誰であろう、次の対決のあとで控えている「レインボージュエル」に他ならなかった。なぜなら、ナナとクラリスと、それぞれに対決の機会がもしも実現していたなら、2人に勝利することは、さすがに不可能かもしれないと思い、どちらか1人になったからであった。
とにかく、「レインボージュエル」にも、どちらが勝利するかは、全く予想がつかない。そして、その展開を、自分との対決であるかのような気持ちで、決して気が抜けない気持ちで見始めるのであった。それは、紛れもなく、その勝者の戦いぶりが、そのまま、次の自分との戦いそのものになるのだと感じているからであった。
「それでは、ナナとクラリスの対決を開始します!」




