みんなの色
突如して光った僕の手の甲。
何が起こっているのか、冷静に考えても微塵も分からなかった。
「なんなんだ……これは」
父の呟きに、僕は振り返る。
やはり何が起こっているのか分からない。
両親の手の甲も光っていた──僕とは違う緑色に。
「どういうことだ?」
僕の疑問に答えるように、首相は淡々と説明を始めた。
「えー、皆様。突然のことに驚いているでしょう。しかし、これは新たな法律なのでよく聞いてください。
まず、何故、殺し合いをするのかというと、それは人口抑制のためです」
首相は、日本は食糧不足でこのままでは全国民が飢餓で死ぬことがコンピューターで予測されたことを伝えた。
「次にルールを説明します。
まず、手の甲が緑色に光った方々に。
あなた達は、この一年間の間に一人、緑色の人を殺してください。そうすれば緑色の光が紫に変わります。紫色になれば殺す権利も殺されることもありません。
次に、手の甲が白か黄色に光った方々に。
あなた達は、この一年間殺されることも殺す権利もありません」
なんだよそれ、意味分かんねえよ。
人が人を殺す? そんな権利、あっていいのか?
「次に、青色に光った方々。
あなた達は選ばれし人間です。
約一億人のわが国で選ばれた百名です」
は? どういうことだよ。
「あなた達は、誰からも殺されることはありません。そして、緑に光る人を殺す権利をこの一年間、失うことはありません。
つまり、あなた達は何十人でも、何百人でも人を殺すことが可能なのです。
……しかし、あなた達がこの一年の間にひとりも殺さなかった場合は──」
「あなたを殺します」