第三話
熊本さんは沢山の話をしてくれた。
それを簡単にまとめるとこんな感じだ。
・この世界にいるウィンドウが開ける人間、プレイヤーと呼ばれる人達は元は俺と同じ世界にいた人間らしい。
・NPCと呼ばれる元からこの世界に存在する人間もいる。
・この世界には沢山の迷宮が存在し、プレイヤーは会社に所属してその迷宮を攻略していく。
・会社には規模があり、強者がたくさん在籍する会社に入ったほうが効率的に強くなれるが基本的にレア職と呼ばれる希少プレイヤーしかそこには入れない。
・七大連合と呼ばれる7つの大きな会社が今は覇権を握っているらしい。
・聖女ジャンヌが率いる聖堂教会
・剣神ムサシが率いる武道連盟
・英雄アスランが率いる聖竜連盟
・魔術王ソロモンが率いる魔法商会
・吸血姫エリザベート率いる眷属連盟
・魔獣使いメイ率いる獅子王会
・勇者アルス率いる解放軍
・この7つの下に一級会社と二級会社そして一番下の三級会社と呼ばれる会社が何個もあるらしい
・新しくこの世界に来た人間は先程の大理石の広場、【転移の間】と呼ばれるとこに集められるらしく、先程のイベントはそのたびに行われる新人獲得行事なのだそうだ。
・新人獲得は七大連合から先に取れる権利があり、その後に一級と二級と三級の会社が新人を獲得できるそうだ。
会社と先程の出来事に関してはまとめるとざっとこんな感じだった。
「熊本さんは何級の会社に所属してるんですか?」
「僕は二級の万屋連盟というとこだよ。君に声をかけたのは僕と一緒に来てもらえないかと思ったからなんだ」
人のいい笑みを浮かべながら熊本たははと頬を掻く。
「うちは採用基準に職を入れてないんだ。日雇い形式で給料とかは支払う感じになるんだけど縛りとかも特にないし、沢山働けばいい装備とかも手に入れて条件の良い会社に所属し直すことも可能だよ」
こういうこと向いてないんだけどノルマがあってね……という熊本さん。色々教えてもらったし、治癒師なんて平凡職な俺は良い会社には入れないだろう。
「全然良いですよ、俺入ります」
そう思った俺は二つ返事で了承した。
日雇い形式で働いた事がないからちょっと不安だが、前の世界の社畜生活よりは遥かにマシだろう。
「おお、ありがとう!君ならそう言ってくれると思ったよ!」
そう言って立ち上がると俺の手を握りブンブンとふる熊本さん。
「よし、では加入の手続きとついでにうちの社長を紹介するからついてきてくれ」
「わかりました」
俺もヨイショと立ち上がると、俺は熊本さんの背中を追った。