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プロローグ
プロローグ
すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
この言葉は我が国の憲法に記されていることらしいが、どうやら我が社には適用されないらしい。
「おい相原!営業先の資料まだできてねえじゃねえか!一時間前までに終わらせろっつったろ!!!」
「す、すいません!今すぐ終わらせます……」
奥の方から聞こえてくる部長の怒鳴り声に声を絞り出して答える。
もう三日ほど家に帰ってない。
なのにやるべきことはたまっていく一方だ。
「修也さん、その資料自分変わるんでちょっと休んでください。もう当分寝てないでしょう」
フラフラの俺を見かねたのか隣の席の後輩が声をかけてくれる。
「す、すまん、ちょっとだけ任せるわ」
流石に社畜生活五年目の俺も限界だったので、作成途中の営業資料を後輩に送った。
「あっ……」
その瞬間、気が抜けたのがまずかったのかもしれない。俺の意識は暗転した。