ハイシンさん
「ハイシンさんは配沢信子さんなの?はイエスと」
◇◇◇◇
私の名前は配沢信子、登録者数一桁の底辺配信者です。そのうちの一人は自分ですが。
いつもの田舎道を散歩配信しながら「都会で配信した~い」等とグチっていると足元に魔法陣が現れ異世界に飛ばされました。
異世界配信はチャンスと思いましたがネットには繋がりませんでした。
それならばとこの王城を撮影したのですが、行動範囲が制限されていて良い絵が撮れません。
窓の外には王都が見えるのですがソコにも行かせて貰えないのです。
クラシックタイプのメイドさんを撮影しているとスキルについて聞かれました。
戦闘タイプは貴重で持っているなら王妃様に外に出る許しを貰えるだろうと言われました。
私はアサシンのスキルを持っている事や出来る事を包み隠さず伝えました。
もうスマホの充電が無くなりそうなのです。
早く外に出たかったのです。
何日か後スマホの充電も無くなり無気力になっている私の元に王妃様(第二王妃)が来ました。
外に出るにはコレを付けて貰います。と首輪を付けました。配信は出来なくても王都を歩いてみたかった私は二つ返事で了承したのです。
それが隷属の首輪だと知らずに。
それからの私は悪夢を見ているようでした。
自分で考える事も出来なくなり、命令されるままアサシンスキルを使い偽の王妃(と聞かされている)を病死に見せかけて殺しました。
罪の意識で壊れた私には隷属の首輪も効かないようで用済みだとダンジョンの下層に送られました。
凶悪なモンスターに一撃で首チョンパです。
首輪が取れ正気に戻った私が思ったのは「あぁ王都を散歩配信したかったな」でした。
死ぬ瞬間まで配信の事を考えるくらい配信が好きだったんだな私。
◇◇◇◇
「ハイシン」
女の子の声で呼ばれた私は今、浮かんでいる。
教会のような場所で…
すぐに情報が流れ込んで来て全てを理解した。
私はこの子のスキルなんだと。
私の見ている映像がそのまま地球に配信されている。すでに登録者数が十人以上になっているなんて凄い。やっぱり異世界配信は需要がある。
それに登録者が増えるとスパチャが貰えるのは追放されてしまったこの子にとっても良い事だろう。
まずは登録者百人を目指してコメントを見られるようにしてあげよう。
その為には…今はセクシー路線で登録者を稼ぐのか…コンプライアンス?センシティブ?過剰な暴力や性的な表現はダメ…うん。ギリギリを攻めてみよう。
この子が配信を好きになってくれたら嬉しい。
まずはクソコメントを削除とブロックね。
なにが『髪が汚い』だの『肌がガサガサ』よ。
私も『声がブス』なんてコメントに病みそうになったからね。こういうのはブロック。
この子には楽しくリスナーと会話して欲しいと思っているんだ。




