表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

この満たされた日々に閉じ込めて

第三部の話です。

相変わらずシンシアちゃんが切ない……。

「兄様!」

 シンシアがユーカリを呼ぶ。彼は振り返り、「どうした?」と首を傾げた。

「実は、教えてもらいたいところがあって……」

「珍しいな、お前が教えを乞うなんて。……どこだ?」

「これです」

 シンシアはアリシャ教の教典を見せる。

「あぁ、そういえばお前はアリシャ教をよく知らないんだったな」

「えぇ、その……神学はどうしてもよく分からなくて……」

「なるほど。まぁ、あまり関わっていなければ仕方ないことだな」

 ユーカリがそれを受け取り、教えていると、

「おー、兄妹で何やってんだ?」

 グロリオケが中に入ってくる。ユーカリが「少し教えているだけだ」と答えた。

「それなら、後で俺の作った薬の実験台になってくれよ」

「断る。……と言うより、また作ったのか」

「あら、珍しいわね。三人で集まっているなんて」

 そこにアネモネまで入ってきた。級長組が集まるとは、と思いながら「私が兄様に教えを乞うていたんです」と笑った。

「そうなのね。シンシアにも分からないことがあったのは意外だわ」

「私も完璧ではないですよ。分からないことだって多々あります」

 ――この先の「未来」とか。

 今はこうして笑い合っているが、もうすぐで目の前の姉は戦争を始める。そして……己の誕生日の日に敬愛する先輩が行方知れずになるのだ。

 ――嗚呼、全てを忘れて閉じ込められていたい。

 この、幸せな日々に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ