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ユーカリの誕生日
今日はユーカリの誕生日です。
彼も苦労人ですが、こういう日ぐらいは笑顔でいてほしいですね。
「兄様、食堂に来てくれませんか?」
シンシアに呼ばれ、ユーカリは首を傾げながら食堂に向かう。ニコニコしているが、どうしたのだろうか?
食堂に着くと、そこには大きなケーキやユーカリの好物が並んでいた。
「……これは……」
「今日、誕生日なんでしょ?ユーカリ」
恋人であるアイリスが微笑みかける。
「ほら、早く来て」
義姉であるアネモネも笑顔だ。それを見て、胸が温かくなる。
大切な人と、姉と、妹と。皆から祝われるだけでも夢だと思っていたのに、その三人にも祝ってもらえるとは思っていなかった。
「これ、誕生日プレゼント」
アイリスが箱を渡す。それを開けると、青いバラが刺繍されたハンカチが入っていた。
「……ありがとう」
ユーカリはその幸福感に包まれて、笑った。




