「おやすみなさい、」
皆様初めまして、郷海 黎依と申します。
今回、初めてこのような場所に小説を投稿させて頂きます。
拙く、また短い文ではありますが、どうか皆様の読書生活を彩るものとなれば幸いです。
今後続けて小説を投稿していけるかどうか、正直自信がありません。
勇気を出して初めて投稿したこの一作だけでも、沢山の方に届き、そして楽しんでもらえれば嬉しいです。
何卒宜しくお願い致します。
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___ 歌が、聴こえた。
微かな音ではあった。が、それは確かに、私の耳に届いたのだ。
その聲を、その鮮やかな音色を。探すように、辿るように、
既に夜闇に沈んでしまっている、私だけのこの世界を 唯、ひたすらに歩いていく。
やがて、私は音に出逢う。
眼の前に広がるのは、月の下で気持ち良さそうに歌っている独りの少年。
その姿はとても美しかった。
ガラス玉のように丸い形をした空色鼠の瞳と、さらさらと揺れる金の髪が、月明かりに照らされ、彼の儚げで幻想的な雰囲気をより一層際立たせている。
『どうして、こんなところに居るの?』
私は問いかけた。
私の問いかけで此方に気づいた少年は、歌を止め、私を真っ直ぐに見据えた。
そして、柔らかく微笑み、こう答えてくれた。
『君の毎日を、少しでも彩る為さ。』
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何気ない日々がこの先も永遠に続く、そう思っていた。
朝起きて、支度をする。
そして向かうべき所へ向かい、役目を果たし、一日を終える。
その繰り返しの中で、私は彼に出逢った。
彼は、言葉にしてくれた通り、その歌聲で、その美しい姿で、間違いなく私の日常を彩ってくれていた。
嗚呼、今日もまた彼に出逢えますように。
「おやすみなさい、」
 ̄
朝起きて、支度をする。
そして向かうべき所へ向かい、役目を果たし、一日を終える。
外の世界が夜闇に染まる頃、此処からは「私の時間」。
瞼を閉じ、幻想に身体を沈ませていけば、
何度だって繰り返すの ___ 。
「また逢えたね、」
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