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魔族

 その頃、勇者パーティの訓練は次の段階に進んでいた。

西の山脈にあるタナトス大迷宮の攻略中だった。

「くっ、こいつら倒しても倒しても復活しやがる」

それは骸骨の魔物だった。

いくらバラバラにしてもすぐに再生して襲ってくるのだ。

「私にまかせて」

「佐々木さん・・・」

「邪悪なるものよ、この光にて天に還れ!ターンアンデット!」

すると骸骨たちは光の中に消えていった。

「さすが神子だな!」

そして彼らは次のフロアに向かう。

「ここから先は俺たち王国騎士団も足を踏み入れたことがない領域だ。気をつけろ」

「はい!」

彼らは警戒しつつ迷宮の奥へと進んでいくのだった。


 僕は数々の苦難を乗り越えて、ようやくサバトの村へ辿り着いた。

しかし、そこはまるで廃墟と化していた。

「こ、これは一体・・・」

次の瞬間、複数体の人型の魔物が襲い掛かってきた。

身体は緑色で、手には剣を持っている。

「縮地!天歩!」

素早く後ろに回り込み、天歩で空中に足場を作り反転させると背後から一撃を入れる。

そして他の魔物もレオンがあっさりと倒した。

「鑑定!」

ゴブリン

と出ていた。

「まさかこいつらに滅ぼされたのか?」

やっと辿り着いた人里には人がいなかったのだ。

すると、今度は大きなゴブリンが三体現れた。

「鑑定」

オーガ

レベル85

レベル75

レベル87

と表示される。

「ゴブリンの進化系か・・・スキルは・・・」

スキル 豪腕

豪腕・・・魔力に応じて力を上げる

とあった。

「これは是非とも欲しいな。眷属召喚!」

リザを召喚し、取り敢えず一匹の相手をさせる。

「とらえる!」

そして一匹をとらえて「放つ!」。

一撃では倒せなかったためレオンがトドメを刺す。

リザは苦戦していたため、僕が手助けに入る。

「縮地!」

そしてその勢いのまま硬質化させた一撃を入れる。

「人型なら核はやっぱ左胸だろうな・・・。ビンゴ!」

三体の核を取り出すと、その場で肉を焼いて食べる。

「ウゲッ、まずっ!」

なんとか飲み込み、『豪腕』を取得した。

取り敢えず、生き残りがいないか村の中を見て回ることにした。

「誰かー。いませんかー」

叫びながら歩き回る。

しかしあるのは死体ばかり。

しばらく回っていると、どこからか声が聞こえてきた。

「助けて・・・」

それは井戸の中から聞こえてきた。

蓋を開けて覗き込むと、井戸の底には少女がいた。

「えっと・・・どこかにロープはーーいや、降りたほうが早いか」

そして僕は飛び降りて、少女を抱えて井戸を飛び出した。

「大丈夫?取り敢えず着替えなきゃね」

井戸の中にいたせいでずぶ濡れだった。

「君の家は?」

すると彼女は首を横に振った。

「私、この村の人間じゃないの」

ひとまずその辺の家から服を拝借し、着替えてもらった。

「一体何があった?」

「私の名前はクリス。見てわかるように魔族です」

いや、見て解かんないから!

まぁ、普通より肌の色が黒いくらいかな?

「私とお母さんは、魔族の国『ユーラザニア』から逃げてきたの」

「は?魔族って人間を襲うんじゃないのか?」

「え?まさか。私たち魔族は人間族や亜人族に比べてステータスが高い変わりに人数がとても少ないんです。それで、平和に暮らしていたら数年前のことです。突然人間族の軍隊がユーラザニアの土地を求めて攻めてきたんです」

どうやら聞いてた話とは全く違うようだな・・・。

「鑑定」

取り出すとクリスを鑑定してしてみた。

名前 クリス

職業 吸血鬼(真祖)

レベル5

HP 1650

MP 3980

力 820

魔力 4800

スキル 念話

「てゆうか、吸血鬼って・・・」

「え?はい。私の家系は吸血鬼族です」

「てゆうことは日光とかダメなんじゃないか?」

「そうなんですか?別に私は大丈夫ですけど・・・」

というよりステータスが高いというのはホントのようだ。レベルに対して桁外れだった。

「それで、お母さんはどうした?」

「お母さんは私を助けるためにゴブリンたちに殺されました・・・。ゴブリンは個々のステータスは低いんですけど、魔族のお母さんでも数の暴力には勝てなくて・・・」

なるほど。攻めてきた人間から逃げてきたら、今度は避難先がゴブリンに襲撃されたのか・・・。

「あの・・・」

そして、クリスが訊ねる。

「どうした?」

「貴方の名前は・・・」

「ああ、けーーじゃない。イガラムだ」

「イガラムさんは何故この村に?」

僕はクリスにこれまでの経緯を説明した。

「そんな・・・ひどい・・・。イガラムさん、可愛そう」

「それで、できるだけ追手から逃げるために冒険者をやりながら旅をしてるんだ」

「そうなんですね。・・・よし!あの、イガラムさん!」

「ん?」

「私もついて行ったらいけませんか?」

「いいのか?そりゃあ、僕はこの世界に詳しいクリスが一緒なら助かるけど」

「お願いします!」

「わかった。なら一緒に行こう!」

こうして僕に初めて仲間ができたのだった。




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