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ラハール峡谷

 その頃、アールスハイドの王都ではある事件が起こっていた。

「須藤!やめっーーぐふっ」

それは、須藤が中村の上に跨り殴っている光景だった。

「どうした!」

そこへ兵士たちがやってくる。

数人がかりで何とか取り押さえると、兵士長のイルマが何かに気付いた。

「これは・・・。鑑定!」 

イルマが須藤のステータスを確認する。

「なっ・・・。状態異常、憤怒だと?」

「兵士長、それって・・・」

「ああ。スキル『禁忌』の副作用だ」

そこへ中村が訊ねる。

「あの、須藤はいったいどうしちまったんすか?」

「スキルの副作用で一時的に理性を失っている。スキル『禁忌』は一般的に大罪を犯した者がまれに手に入れるスキルでな。ステータスが跳ね上がる代わりに理性を失い狂戦士バーサーカー化するんだ。何か禁忌を会得するような心当たりはあるか?」

「い、いえ・・・ないっす・・・」

そして須藤は拘束され兵士に連行されて行った。

その様子をこっそりと覗き見ている者が一人いた。

「はは〜ん・・・なるほど。そういうことだったっすねっ。こりゃスクープっすよっ」

それはクラスメイトの女子生徒『進藤茜』だった。

彼女はスキルで姿を消していたのだった。

「あ、茜!こんなとこにいた」

茜が部屋に戻ろうと廊下を歩いていたら、佐々木杏子が茜に話しかけた。

「何か騒がしかったみたいだけど、また何かあったのかしら・・・」

「そうっすね。ま、今言えることは五十嵐健人は無実かもしれないってことだけっすね」

「え!?それってどういう・・・」

「それ以上はまだあたしの口からは言え無いっす。じゃあね、杏子っち。おやすみ〜」

「あっ、ちょっと!?・・・行っちゃった」

(五十嵐くんが無実なんてそんなのは最初から分かってるわよ・・・)

心の中でそう呟く杏子なのであった。


 よく朝、僕は宿屋で朝食を終えると街を出ることにした。

ひとまず物資を色々買えたので次の街を目指すことにしたのだ。

「あの、ここから一番近い街はどこですか?」

ギルドで受付のお姉さんに訊ねる。

「そうね・・・一番近いのは北にあるサバトの村だけど、道中にあるラハール峡谷には強い魔物がたくさん出るの」

「わかりました。ありがとうございます」

「え?本気で行くつもり?」

「はい。僕には強い味方がいるから多分大丈夫です」

レオンがいれば何とかなるだろう。

それに今の僕には『とらえる』がある。

ただ、一回につき一体しか使えないのが欠点であり群れでこられたらあぶない。

でもこのままここに居たら直に捕まるかもしれない。

「そう。わかったわ。くれぐれも気をつけてね」

そして、僕は街を出て北に向かった。

レベルが上がったせいか、走っても疲れなくなっていた。

「よし、レオン!僕と勝負だ!」

「ニャー」

暇つぶしに獣化したレオンと競争することにした。

「ゴールっ!ちぇ、また負けた・・・」

さすがに全速力のレオンには勝てなかった。

とはいえ、僕も多分時速60kmは出ているんだけど。

そんなことをしていたらいつの間にか荒野に辿り着いた。

「ここがラハール峡谷・・・。ここからは気をつけて進まなきゃな」

すると、いきなり前方から魔物がやってきた。

小さい恐竜みたいな魔物だ。

「鑑定!」

サンドリザード

レベル81

と書いてある。

「レベル81!?」

すると、レオンがすぐさまサンドリザードに噛み付く。

しかし、サンドリザードはレオンを振り払い、逆に噛み付いてきた。

「レオン!!まずい・・・このままじゃやられる」

迷っている暇はない。

僕はスキルを発動した。

「とらえる!」

すると魔法陣の中にサンドリザードは消えた。

「レオン!大丈夫か!?」

僕はバックから道具屋で買った薬草を取り出し、傷を手当てした。

ひとまず軽傷で済んだようだ。

すると、そこへさらにサンドリザードがやってきた。

「またかよ!こうなったらーー放つ!」

先程のサンドリザードを放つと、それは敵のサンドリザード目掛けて突進し、倒すことができた。そして放ったサンドリザードも力尽きる。

「あ、そうだ!核を取り出さなきゃ。この生態なら多分心臓の位置は・・・」

そして手の片くらいの大きさの核を取り出してバッグにしまう。

お姉さんの話によると魔物の核も高く売れるらしい。強ければ強いほど魔力があるとのこと。

「なるほど。ホントに核を取り出すと消えないんだな。ちょうどいい、そろそろ保存食も飽きてきたところだからな」

僕は二体のサンドリザードをナイフで解体して、取り敢えず串に刺して焼いてみた。

見た目はなかなか美味しそうだ。

先にレオンが食べて、特に何もなさそうだったので僕も食べてみる。

「うん・・・なかなか美味いな。ちょっと臭みがあるけーーぐっ・・・」

突然身体中に痛みが走る。

「な、なんだ・・・これ・・・く、苦しい!?」

その痛みはだんだん酷くなり、身体中が熱くなってくる。

「ぐあっ・・・」そしてもう駄目だと思った瞬間、いきなりその異常は消えた。

「はあ・・はあ・・。い、いったい何だったんだ・・・」

取り敢えず自分に鑑定を使う。

少し前に気付いたことだけど、自分に対して『鑑定』が使えることに気がついた。

これだと、状態異常などの情報もわかるのだ。

「状態異常はない・・・か。え!?スキルが増えてる!?」

そこに表示されていたのはーー。

スキル あやつる 眷属召喚 とらえる 鑑定 獣治癒 ラーニング 硬質化

とあった。

ラーニング・・・魔物を体内に取り込むことにより、その魔物のもつスキルを得ることが可能

硬質化・・・体表面を固くすることができる

「てゆうことは、さっきのレオンの治療で獣治癒スキルを手に入れて、ラーニングのスキルでサンドリザードのスキルを手に入れたのか・・・」

そして、レベルも跳ね上がっていた。

レベル 95

HP 13000

MP 8400

力 10500

魔力 6800

となっていた。

「高レベルのサンドリザードを二匹倒したから爆発的に上昇したのか・・・」 

その後も、何度かサンドリザードの襲撃にあったが、僕の方がレベルが上になったため『あやつる』で自滅させたり、動けなくしてレオンに倒させたりと順調に進んで行った。

また、サンドリザードを一匹『眷属』にすることに成功した。

「よし、お前の名前はリザだ」

そして、取り敢えず召喚するまでは魔法陣に入っててもらうことにした。

いったい魔法陣の中はどうなっているのだろう・・・。

その後、空中でやたら飛び回るレベル98の兎の群れをリザとレオンとともに何とか倒し、それを食べることにより『天歩』を取得した。

これは空中で見えない足場を作ることができるスキルのようだ。

次に、めちゃめちゃ素早いレベル108のチーターに遭遇。

これはレオンの咆哮で動きを止めて、硬質化で拳を固くして一撃入れたらあっさり倒せた。

このチーターからは『縮地』のスキルを手に入れた。

一瞬で最高速度に達する移動スキルだった。つまり加速がいらない。

ちなみにチーターの肉はアンモニアみたいでめちゃめちゃ不味かった。

そんなこんなで峡谷を抜ける頃には僕もレオンもかなりステータスが上がっていたのだった。


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