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第34話 愛犬とともに

 私とロコは、自室に戻って来ていた。

 先程、アムルドさんから言われた言葉は私の耳から離れない。

 ずっと傍にいて欲しい。恐らく、その言葉にアムルドさんは特別な意図など持っていなかっただろう。だが、私にとっては色々と思ってしまう言葉なのだ。


「なんだか、ドキドキするね……」

「クゥン?」


 ベッドの上でロコを撫でながら、私はそのように呟いていた。

 正直、私はずっとドキドキしている。その感情がなんなのかは、薄々勘づいている。

 しかし、それを認めることが私にはできなかった。色々な理由から、認めたくなかったのだ。


「相手が、相手だもんね……」

「ワン!」

「え?」


 そんな私に、ロコは吠えてきた。

 ロコが、私に対して吠えるなど、滅多にないことだ。

 つまり、これには何か意図があるということなのだろう。


「諦めるなということ?」

「ワン!」

「ロコ……」


 ロコが吠えたのは、私がなよなよした態度だったからのようだ。

 簡単に物事を諦めるな。ロコは、そう言っているのである。


「ありがとう……ロコ」

「クゥン……」


 私は、ロコの頭をゆっくりと撫でる。

 この子は、本当に賢い子だ。私が間違った道を進もうとすると、すぐに正してくれる。

 ロコが一緒にこちらの世界に来てくれて、本当によかった。ロコがいなければ、私はとっくに駄目になっていただろう。


「私、頑張ってみるよ」

「ワン!」

「うん、ありがとう」


 私は、自身の気持ちを諦めないことを決めた。

 その気持ちを諦める必要など、どこにもないのだ。

 これから、私達にどのようなことが起こるのかはわからない。だが、それでも決して諦めてはならないのである。


「もし、悪い結果になったら、ロコは慰めてくれる?」

「ワン」

「そっか、それなら安心だよね……」


 私に悪い結果が降りかかった時は、ロコが慰めてくれるようだ。

 それなら、安心できるだろう。


「ロコ……これからもよろしくね」

「ワン!」


 私の言葉に、ロコは大きな声で返事をしてくれた。

 その返事に、私は笑顔になった。これからも一緒にいてくれるという愛犬の返事が、嬉しかったのだ。

 私とロコの異世界での生活は、これからも続いていく。だが、ロコと一緒ならどのような困難も乗り越えていけるだろう。

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