表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/34

第27話 不審な人物

 私はロコを抱えながら、廊下を歩いていた。

 昨日の夜は、ラナリアちゃんと眠ることになった。

 結局、その後は何も起こることはなく、ぐっすりと眠ることはできたが、まだ色々と気になっている。

 昨日の夜何かあったのか、それを聞くために、私はアムルドさんの所に向かっているのだ。


「あれ?」

「クゥン?」


 そんな私の目に、とある人物達が入ってきた。

 それは、アムルドさんとブルーガさんだ。

 二人は、真剣な顔で何かを話している。それが何を話しているのかは、中々気になるものだ。

 もしかして、昨日のことを話しているのではないだろうか。状況を考えると、そのように思えるのだ。


「少しいいですか?」

「え?」

「おっ……」


 私が声をかけると、二人は少し驚いたような顔をした。

 その反応は、話していたことを聞かれたくなかったというような反応だ。

 やはり、二人は昨日のことを話している気がする。私の直感が、そう告げているのだ。


「二人とも、何を話していたんですか?」

「いえ、なんでもありません。たわいのない話をしていただけです」

「おう、ただの世間話をしていただけだ」


 私の質問に、二人はそのように答えてきた。

 その反応は、明らかに何かを隠している反応だ。

 それなら、少し質問を変えてみた方がいいかもしれない。この質問への反応で、二人が昨日のことを知っているのかどうかは、わかるはずである。


「昨日の夜、何かあったんですか?」

「えっ……」

「ほう……」


 その質問に、アムルドさんとブルーガさんは驚いたような反応をした。

 この質問にそのような反応をするということは、昨日の夜のことを知っているということである。


「知っているんですね?」

「……ええ」


 私がさらに問い詰めると、アムルドさんはそのように呟いた。

 やはり、二人は昨日の夜のことについて知っているようだ。


「昨日の夜、何かあったんですね? 一体、何があったのかを教えてもらえますか?」

「実は、昨日の夜、この屋敷の庭に侵入者がいたらしいのです」

「侵入者?」


 アムルドさんの言葉に、私は少し驚いた。

 しかし、それはある程度予想できていたことだ。ラナリアちゃんやロコと予想した通り、侵入者がいたのである。


「俺が対処して、侵入者は追い払うことができた。だが、そういう奴がいたということは、色々と問題なんだ」

「ブルーガさんが……」


 私達の予想は、さらに当たっていた。

 不審者とともに、ブルーガさんがいたから、ロコは吠えなかったのだ。

 恐らく、ロコはブルーガさんがいれば、不審者を追い払ってくれると思ったのだろう。そのため、あのような反応をしたのだ。


「あなたに、不安を与えないように伝えないことも考えていたのですが、気づいていたのですね」

「ええ、私ではなく、ラナリアちゃんもこのことは知っています。そもそも、最初に不審者に気づいたのは彼女なんです」

「そうですか……それは、驚きですね」


 私がラナリアちゃんのことを伝えると、アムルドさんは驚いたような顔をした。

 ラナリアちゃんの勘の良さには、私も驚いている。恐らく、アムルドさんも同じように考えているのだろう。


「これからしばらくは、警戒態勢を続けます。だから、そこまで問題はないと思います。ただ、ミナコ様も充分に気をつけてください」

「ええ、そうしようと思います」


 アムルドさんの言葉に、私は頷く。

 侵入者の目的が何かわからないが、計画しておく必要はあるだろう。


「あ、アムルドさん、それなら、今日の散歩について聞いてもいいですか?」

「散歩ですか……とりあえず、警戒はしているので大丈夫だとは思います」

「そうですか、それならよかったです」


 そこで、私は散歩について聞いておいた。

 もしかしたらできないかと思ったが、問題はないらしい。

 それなら、この後すぐに散歩に行くとしよう。少々怖いが、見回ってくれている人も多いと思うので、きっと大丈夫なはずだ。

 こうして、私は庭に侵入者が入ってきたことを知るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ