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第10話 書庫での会合

 私はロコとともに書庫に来ていた。

 犬が食べられる物などを調べるためだ。


「なるほど……」

「クゥン?」


 机の上で大人しくしてくれているロコを撫でながら、私は一冊の本を閉じる。

 色々と本を読んでわかったが、この世界の食べ物は私がいた世界とそこまで変わらないようだ。

 犬についての文献も調べたが、そちらも食べられる物は変わらないようである。


「それはよかったことだけど……」

「クゥン?」

「気になるものを見つけたんだ」


 食べ物については、何も問題はなかった。

 ただ、他に気になる記述を私は見つけたのだ。

 それは、私の世界にはなかったものである。そのため、かなり気になっているのだ。


「魔法、魔力、そんなものがあるんだね……」

「クゥン……」


 この世界には、魔法や魔力というものが存在するらしい。

 そういうものがあることは、驚きである。


「でも、それがあるから色々と便利らしいよ」

「クゥン?」

「それで色々と賄えているようなんだ」

「クゥン」


 魔法や魔力といったものは、この世界ではエネルギーになっているようだ。

 それがあるから、この世界は色々と便利なものがあるらしい。


「どうやら、探していた本は見つかったようですね」

「え?」


 そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。

 その声は、私がよく知っている声である。


「アムルドさん」

「すみません、驚かしてしまいましたね」

「あ、いえ、大丈夫です」


 私に話しかけてきたのは、アムルドさんだった。

 アムルドさんの来訪には、少し驚いた。だが、ここはシェルドラーン家の書庫だ。アムルドさんが書庫に来ることは別におかしいことではない。

 もしかして、何か調べ物だろうか。アムルドさんは、領地の管理などの仕事を行っているらしいので、その関係かもしれない。


「何か調べものですか?」

「ええ、少々調べたいことがあったのです」


 私が予想した通り、アムルドさんは調べ物があったようだ。

 その言葉の通り、アムルドさんは本棚から一冊の本を取り出した。なんだか、難しそうな本である。


「ミナコさんは、どうしたのですか?」


 私の向かい側に座ったアムルドさんは、私に質問をしてきた。

 どうやら、ホーデインさんから事情を聞いていたりはしていないようだ。


「あ、実はロコが食べられる物を確認しようと思ったんです」

「ロコが食べられる物?」


 私の答えに、アムルドさんは少し驚いているようだった。

 もしかして、アムルドさんは犬が食べられない物があるということを知らないのかもしれない。

 アムルドさんは、犬の知識をある程度持っている。だが、こういうことまでは知らないのかもしれない。


「ええ、犬には食べられない物があるんです。人間には無害でも、犬には有害なものは結構あるんですよ」

「あ、はい。それは聞いたことがあります」

「あ、そうなんですね」


 どうやら、知っていない訳ではなかったようだ。

 それなら、あの驚いたような反応はなんだったのだろう。


「それなら、どうして驚いたんですか?」

「いえ、こちらの世界に来て、一番に調べるのが犬のことなのかと思いまして……」

「え、ああ、これだけは調べておかないと、ロコが大変なことになってしまうので……」


 アムルドさんが驚いたのは、私が一番に犬が食べられる物を調べたかららしい。

 だが、それは別にそこまで驚くことではないだろう。食べ物は、一番重要なものだ。これをきちんと知っておかないと、ロコが大変なことになってしまう可能性がある。


「本当に、ロコが大切なのですね」

「え? ええ、それはもちろんです」


 そう思っていた私に、アムルドさんはそのようなことを言ってきた。

 ロコのことは、もちろん大切である。そのことは言うまでもない。

 だが、アムルドさんはそれに驚いているようだ。これは、ペットを飼っているかいないかの違いなのかもしれない。


「私にとって、ロコは家族なんです」

「家族ですか……」

「ええ、だから、ロコのために色々と調べるのは当然なんです」

「なるほど……」


 私は、アムルドさんにロコのことを説明する。

 私にとって、ロコは家族だ。そのため、ロコのために色々と調べるのは当然なのである。

 その言葉に、アムルドさんは納得しているようだった。私とロコが家族であることを理解してくれたのだろう。


「ロコは、愛されているのですね」

「クゥン?」


 そこで、アムルドさんはロコに視線を向けた。

 その視線に、ロコは立ち上がった。そして、アムルドさんの方に歩いて行く。


「クゥン……」

「触れてもいいのですね……」


 アムルドさんは、ロコの体をゆっくりと撫でた。

 それにロコは気持ちよさそうにしている。基本的に、ロコは人懐っこい性格だ。視線が向いたことで、撫でてもらえるかもしれないと期待したのかもしれない。


「ミナコさん、ロコに何か必要なものがあれば、なんでも言ってください。僕達には、人間の対応はできますが、犬の対応はできません」

「あ、はい」


 そこで、アムルドさんは私にそのようなことを言ってきた。

 ロコに必要なものがあれば、言ってもいいようだ。

 その言葉は、私にとってありがたいものだった。なぜなら、私達が部屋で過ごすのにも、色々と足りないものがあるからだ。


「それじゃあ、色々とお願いしてもいいでしょうか?」

「早速、何かあるみたいですね」


 私の言葉に、アムルドさんは少し笑った。

 少々恥ずかしいが、今はそんなことを言っている場合ではない。遠慮なく、必要なものを伝えるとしよう。

 こうして、私はアムルドさんに色々と相談するのだった。

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