第5話:魔人さんが産まれました
今日も寒いですね。
皆さん風邪などひいてませんか?
「王笏で魔人を示して『ステータス』と念じれば良いのね」
「はい! そのとおりですわ」
初めて産み出した魔人さんたち。
果たしてどんな魔人さんなのでしょうか。
「なんか、ドキドキしますね」
「レンカ様、ガンバですわ!」
イーロインがキラキラした目で私を見守ってくれる。
この子、見た目はちょっよ “アレ” な――エロ小悪魔――子なんだけど、すごく良い子なのよね。
良し!
ここは、イーロインや、みんなのためにも勇気を持ってご対面しましょう。
まずは、こちらのEランクの魔人さんからです。
さてさて、どんな魔人さんが産まれたのでしょうか?
「ステータス、オープン」
────ステータス────
名前:Non–named(EGb1)
種族:ゴブリン
属性:火
職種:剣士 / 小隊長
装備:銅の剣 / 鉄の胸当て
生命:❤︎❤︎
武力:E
魔力:F
知力:F
運気:F
特性:――
功績:――
スキル:
【鼓舞/1部隊】
ユニーク:――
指揮スキル:
【物理耐性上昇(小)】
──────────────
ほぉ、こんな子が産まれたのですか!
確かに、指揮スキルがついていますね。
しかし……【物理耐性上昇(小)】ですか。
これは、イーロインが言うほど有用なスキルなのでしょうか。
それにしても、どうでしょう?
うーん。我が子ながら、あまり強そうには見えませんね。
こちらは確かにEランクの魔人さんですよね?
イーロインもF<E<D……の順で強くなっていくって言ってました。
だとすると、Fランクの魔人さんはもう少しレベルが落ちるということですよね?
いやはや、いやはや……私が召喚主であることを棚上げするようですが、これは過度の期待は禁物ですね。
一応、Fランクの魔人さんのステータスも見てみましょう。
ステータオープン……ポチッとな。
────ステータス────
名前:Non–named(FGb1)
種族:ゴブリン
属性:水
職種:槍士/一般兵
装備:木の剣/皮の胸当て
生命:❤︎
武力:F
魔力:F
知力:F
運気:F
特性:――
功績:――
スキル:
【武力上昇(小)】
ユニーク:――
指揮スキル:
【突撃】
──────────────
おお?
あれれ……
ステータスは推して知るべし……でしたが、なんか強そうな指揮スキルがついていますね。
【突撃】ですか……なんか勇ましいですね。
もしかして、ステータスよりスキル優位なら、Fランさんでも侮れない感じかもしれませんね。
これが【指揮スキルが付与 / ランダム】の性能ってことでしょうか。
ふむふむ……
結果を観ると、8人の魔人さんのステータスは、だいたい同じぐらいですね。
もちろん、Eランクの魔人さんの方が、能力値は高いのですが……
若干でしかありません。
残念ながら、ステータスに特記することはないですね。
いやいや、愛着は湧いているのですよ。
私のお腹を痛めた子ですから……すみません、嘘をつきました。
ただ、やっぱり戦争で無駄死にはさせたくはないですね。
ヤバくなったら、速攻リセットをかけますよ……って、これはゲームじゃなかったですね。
うーん、きっと、なにか魔人さんを強化する方法があるはずです。
それらしいユニークスキルもあったので、なんとかなるはずです。
そう信じていますよ! 本当に。
って、誰に言ってるのでしょうか?
それは、ひとまず置いておいて、新しく産まれた魔人さんのスキル獲得には、傾向がありましたね。
Eランさんは、2人ともスキルを持っていましたので、100%のスキル獲得率でしたが、Fランさんは、スキルを持った魔人さんが、6人中3人しかいませんでしたので、50%のスキル獲得率でした。
偶然かもしれないので、なんとも言えませんが、ランクの高い魔人コインの方が、スキル獲得には有利なのかもしれません。
こういうところで、魔人コインの性能の差が出るのかもしれません。
そうなると、私の加護である【指揮スキル付与 / ランダム】は、やはり有用であり、異色なのかもしれません。
イーロインが興奮するのも無理はないのかもしれませんね。
──魔人リスト(スキル)──
No.0001 EGb1(剣士)
指揮スキル:
【物理耐性上昇(小)】
スキル:
【鼓舞/1部隊】
No.0002 EGb2(槍士)
指揮スキル:
【槍衾】
スキル:
【威圧/敵1部隊】
No.0003 FGb1(剣士)
指揮スキル:
【突撃】
スキル:
【武力上昇(小)】
No.0004 FGb2(斥候)
指揮スキル:
【隠密】
スキル:
【気配察知】
No.0005 FGb3(槍士)
指揮スキル:
【鉄壁】
No.0006 FGb4(火術士)
指揮スキル:
【ファイヤー/単体】
No.0007 FGb5(水術士)
指揮スキル:
【ウォータパレット/範囲】
No.0008 FGb6(治術士)
指揮スキル:
【治療/部隊】
スキル:
【治療/個】
──────────────
「イーロイン、魔人さんたちのステータスを書き出したよ」
「ありがとうございます……うっ? やっぱり、これって本当なのですよね」
な、な、何ですかその疑惑の目は!
嘘なんて書いてませんよ。
「なんか、不味かった?」
「い、いえ、違いますわ。ただ、本当に凄すぎると言うか……」
イーロインは呆けたまま動かなくなった。
しかし、敵が迫っているので、次のステップに進むことを促すと、ハッとしたように顔を赤くしていた。
段々とイーロインが可愛く見えてきたのは気のせいでしょうか。
それよりも、このままでは軍とは言えませんよね。
「次は小隊を組むのよね! はやく組み方を教えて」
「は、はい……失礼しましたわ。まず、小隊を作るには小隊長以上の役割を持った魔人が必要ですわ」
ふむふむと頷き、Eラン2人の職種を見る。
確かに小隊長と書いてある。
「大丈夫ね、Eランの魔人さんは、2名とも小隊長と書いてあるから」
「そうですか。では、王笏を手に持ち【編成】と念じて下さい」
私がイーロインの言う通り【編成】と念じると、8人の魔人達がほんのりと輝きだした。
背景も若干暗くなったようで幻想的だ。
そして、中空にボードが現れる。
それは、ステータスを表示したときとは違う画面だった。
「レンカ様、良いですか、この【編成】ボードは将官以上であれば共有化されます。特に我々3臣下は特殊で、軍においては参謀格扱いになりますので【編成】ボードが見えます」
「なるほど、その方が手っ取り早くて良いね」
中空の【編成】ボードには、8人の魔人の記号がリストとなって並んでいた。
その隣には、空欄となっているツリーが見える。
「まずは、小隊長の資格のある2名の魔人を、小隊長に任命して下さい。具体的にはEランク2名の記号を未登録ツリーの先頭にドラッグするだけですわ」
「なるほど、こうね……できたわ」
指先で、Eランクの魔人をドラッグする素振りをすると、ツリーの先頭にカチリとハマった。
思った以上にサクサクと操作できる。
「その次に、兵隊となるFランクの魔人の記号をツリーの下に加えるようにドラッグして下さい。後で変更できますので最初は適当で良いですわ」
「分かったわ……こうね」
全ての魔人をツリーにはめ込むことに成功したが、果たしてこれでいいのだろうか。
まるでゲームのような画面に、あまりにも現実味が薄くて不安になる。
「次に、【総軍リスト】と念じて下さい」
「えーっと、【総軍リスト】ね」
すると、構成画面が更新されて【総軍リスト】の画面に変わる。
切り替えは、かなり早くストレスがなさそうだ。
──総軍リスト──
【レンカ軍】
本陣 / 未設定
小隊1 / GbSwS1
小隊2 / GbMxS2
──────────────
画面には、シンプルな記号が表示されていた。
イーロインの説明では、最初のGbがゴブリンを表し、Swは剣士隊、Mxは混成隊で、最後のSは小隊を意味するとのことだった。
なるほど、こう見えるわけですね。
うーん、今更ながらですが、我が軍は2個小隊のみですか……少々寂しいですね。
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【A little extra sweet】
またまたブックマークが増えました。
やったね!
ここまでお読みになっていただき、ありがとうございました。
明日も元気の投稿します。