第1話:女王禅譲?
新年、あけましておめでとうございます。
「知らない天井……」
意識を手放してらどれくらい経ったのでしょうか。
私は、姫宮恋華。
それと、乙女の秘密情報は……
うん、記憶の改ざんはありませんね。
残念なことに、ごくごく普通の女子高生でした。
であるなら、ここは何処でしょう、見覚えがありませんね。
お布団の上なのは理解できますが……拘束されているわけではなさそうですね。
「女王様! お目覚めですか。皆さま、女王様がお目覚めになられましたぞ」
「「おお!」」
歓声に近いどよめきが聞こえてきました。
私の他に、さっきの女王様も近くのベッドで寝ていたみたいですね。
意識を取り戻されたみたいで、何よりです。
だとしたら、ここは臨時に作られた仮設治療施設とかでしょうか。
禅譲の儀でしたっけ……
あれはパニックになったせいで見た幻だったのですね。
いまいち状況が掴めませんが、最悪の事態というわけではなさそうです。
体が怠いけど、ちょっと無理して起きてみましょうか。
いたたたた……
なるほどなるほど、完全復活するにはもう少し時間がかかるかもしれませんね。
まぁ、起きるぐらいはできそうですけど。
「女王様、ご無理をしてはいけません」
「そ、そうですわ。無理は……」
「おかラダを大切にゴブ」
あらあら、あちらは大変ですね。
さすがは高貴なお方、御付きの者達の心配も半端ないですね。
さて、あちらは、あちら。
庶民の私めは自力で起きるとしますか。
よっこいしょ!
「あれ?」
なぜ皆さん、こちらを見ているのでしょうか?
てゆうか、一大事ですね。
「ななななな、何ですか! あなた達は! きゃっーー!」
「「「?」」」
“姉さん大変です”モンスターに囲まれてしまいました。
私に姉さんはいませんけど。
これ分かる人いるのでしょうか。
心配になりますが、ちょいちょい混ぜていきます。
それにしても、ちょっと酷いですね。
緑色の小鬼、エロい格好をした小悪魔と……骨? ですか。
「嫌! こっちに来ないで、お願い、助けて!」
「どうされましたか、女王様」
骨が喋りましたね……それも流暢に。
肺も喉も声帯もない骨が、なぜ喋れるのでしょう?
「嫌っーーーーー!」
「「「女王様 (ゴブ)」」」
うーん、参りました。
感情が上手くコントロールできませんね。
思わず布団を頭から被ってしまいましたが、これでは根本的な解決にはなりませんね。
しかし、これはいったいどう言うことでしょう。
キーワードは「女王様」ですね。
私を示しているであろう名詞が「女王様」であることに問題が発生しているように思えますね。
何とか気を取り直して情報収集をする必要がありますね。
果たして今の私のできるでしょうか?
まぁ、頑張って見ましょう。
「何なの! 貴方たちは」
「女王様、何かお気に召さないことでもありましたでしょうか?」
まずは、この紳士的で心地よい音色の声の持主は誰でしょうか。
布団の中からではそのお姿が見えませんが、なかなか話が通じそうな方なので、取り敢えずの交渉相手はこちらが良いですね。
ただ、落ち着いた口調には好感が持てるのですが……
困ったことに、小鬼、エロ小悪魔、骨の中からの3択なのですよね。
状況証拠だけで、犯人がだいぶ狭められるのが嫌ですね。
「女王様、ドうか起きてくダさいゴブ」
「あ、あのぉ、だいじょうぶですかぁ」
認めたくはないですが、確定ですよね……やはり。
消去法でナイスミドル的ウイスパーボイスは骨ですね。
女言葉はエロ小悪魔でほぼ決まりだと思いますし、「ゴブ」などと言う、ふざけた終助詞――いいえ、ただの役割語ですね――を発する存在は、恐らくゴブリンさんが鉄板ですね……イメージ的に。
しかし、その「ゴブ」設定をいつまで続けるのでしょうか?
早めに卒業しないとめんどくさいことになりそうですね。
えっ? 「誰が」ですって。
そりゃ、安易に設定した人が、でしょ。
「嫌っーー! 食べないで」
「安心してくださいませ、女王様。我ら神に誓って、女王様に危害など加えません」
怖がる振りはここまでにして、情報の整理に入りましょうか。
さてさて、私の生存確率は何%でしょうか?
まぁ、この雰囲気だと意外に勝算はありそうですね。
ただ、骨とエロ小悪魔は良いとしても、ゴブリンは要注意ですね。
なんと言うか、貞操的にですが……意外と良かったりして。
なんて冗談ですよ! 本当に。
私、そう言うの興味ないですから。
いやいやマジですよ。
「あのぉ?」
「はい、なんでございましょうか、女王様」
「本当に食べませんか?」
「イエス、ユア・マジェスティー」
骨の癖にキザですね。
惚れてしまい……ませんよ、絶対に。
骨ですから。
「分かりました。起きますから、少しだけ離れてください。その……失礼ですが、皆さんが怖いんです」
「はっ! 承知いたしました女王様。ゴバブリン閣下にイーロイン公女、女王様が怯えになられていますので、少しお下がり下さい」
「分かったです。ゴブ」
「し、失礼しましたわ」
うー
ゴブリン風情が閣下ときましたか?
私の記憶では、モンスターカースト最底辺の存在だと思うのですが……貴族ってことでしょうか。
それにエロ小悪魔は公女ですか、悪魔公とか後々出てくるのでしょうか?
本当にココはどこでしょう?
夢にしては、やけにリアルなんですよね。
視覚や聴覚だけでなく、臭覚も触覚も唾の味も、私の五感全てがこの状態を現実と認めてしまっています。
それにしても、骨の勘違いは酷いですね。
私が一番びびっているのは骨ですから。
それを、どこかでハッキリと言っておいた方が良いでしょうか。
見た目より中身が大事ってよく言いますが……限度があります。
「あのぉ?」
「はい、何でございますか女王様」
「ここはどこですか?」
「……女王様、もしかして何も知らされていませんか?」
「知らされるって?」
「ですから、前女王様であらされるカミラ様から」
「カミラ様?」
「はい、セプティミス第6代女王陛下のカミラ様でございます」
ああ、確かに記憶がありますね……アキバを聖地とかのたまった海外系王族の、あの女性の名前がセプティミス第6代女王カミラとかでしたね。
ならば、ここはセプティミス国? ってことになるのでしょうか。
拉致ですか?
ならば、国際問題になりますよ?
「すみません、ここは、その……セプティミス国とかでしょうか?」
「その通りでございます。そしてあなた様はセプティミス国の第7代女王陛下であらせられます」
ほうほう!
そうきましたか。
「いきなりそんなことを言われても困ります」
「し、しかし……失礼ですが、あなた様はカミラ様から禅譲の儀をお受けになられたのではないでしょうか?」
「禅譲の儀?」
「はい! その左手にご顕在されている聖痕が何よりの証拠かと」
左手?
おお、何やら手の甲に杖のようなマークがありますね。
カミラ……もう呼び捨てで良いですね。そのカミラが私の左手に押し付けてきたやつですね。
あれは、かなり痛かったので、次に会ったら厳しめにクレームを言おうと思っていましたが、それでは温いようですね。
一見、刺青のように見えますが、意識すると理解できました。
これは、私の魂に刻まれたデータベースのインターフェイスですね。
これって、一生消えないわけではないですよね?
女子高生が手の甲に刺青なんて……「あの子に何があったのでしょう」とか言われそうですね。
状況的には、代々の女王陛下が引き継いでいるように聞こえましたので、ババ抜きのババ的に、私も引っこ抜いて誰かに押し付けられるのでしょうか。
禅譲の儀とやらをすれば良いのでしょうが……
気が重いですね。
「何これ!」
「それこそが、我がセプティミス国の女王であることのレガリアである王笏の聖痕でございます」
「あのぉ、私って本当にこの国の女王様なの?」
「もちろんでございます」
「その通りです。ゴブ」
「はいですわ」
おうふね!
泣いても良い状況かしら。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【A little extra sweet】
な、な、なんと!
ブックマーク登録してくれた人がいました!
ありがとうございます。