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異世界競馬  作者: y-ohsaka
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戦いすんで日が暮れて

ほぼ一線となって4頭はゴール前を通過した。そのため見た目では誰も優劣が判定できなかった。写真判定を示すランプとともにゴール前直線においての出来事について審議を行うとのアナウンスがなされた。

「多少ごちゃついためんはあったにしろ順位に影響するほどのものでもなかろう」

だいたいがみなそう思っていた。

「それにしては長いな」

なかなかランプが消えない。審議委員の間でも意見が分かれているようだ。

その一方で写真判定の方もなかなか結果が出ない。最終レースの出走馬がコースに入るようになってようやくランプが消えた。

「決勝線手前での出来事について審議をおこないましたが被害馬が加害馬より先着したため到達着順の通り確定いたします。なお当該事象は決勝線手前にて……」

そして写真判定の結果を見てどよめきが起きる。

まさかの一着同着、そして3着も同着。

「そりゃあ、時間がかかるわけだ」

その場にいた誰もが納得した。同着というのはできるだけ避けたい。できる限りはっきりさせための写真判定なのだがそれでも同着にせざるを得ない場合もある。しかし一着同着同着3着同着がおきるというのはかなりのレアケースである。

「腕をあげたな。ライバルかふえたわけだ」

「そう言ってもらえるのはありがたいですがね。あなたに勝った訳ではない。今の状態ではこれが限度ってことでしょう。まあ、またここで戦えるっていうのは……、」

お互いを称え合うイソダとイワザワ。ただイワザワは途中から思いを伝えることができなくなっていた。

「喜んでいいんだぞ。俺らみたいなのが出走できるんだからな」

感極まったイワザワを見ているうちにイソダにも感情が湧き上がっていた。

「やばい、おれもか」

慌ててイソダはイワザワを引き連れて、泣いているのを見られないように奥へと引っ込んでいく。そして

彼らと同じように感動に浸る者が

「よくぞやってくれた。もう思い残すことはない」

「オーナー、落ち着いてください。まだ予選を通過しただけです。本番はまだ先です」

騒ぎ出すオーナーを宥める調教師と騎手、そういう彼らも歓びを隠しきれない。

「やることはいっぱいありますが今日はよろこびを分かちあいましょう。まさかの引退間近にこんな奇跡がおきるなんて」

「なんだ、なんだ、あの人、あんな表情できたんだ」

普段からしょぼくれた雰囲気を漂わせていたその調教師はまわりから避けられていた。その雰囲気に巻き込まれるのを嫌がった。だがその調教師はこれ以降生まれ変わったかのように活き活きしだした。ダービーに自分の調教馬が出るというだけでこんなにも変われるのかと周りはその変化に驚いていた。

「これで出揃ったな」

出走権を確保した各陣営はそれぞれの動向を探りつつ作戦を練る。

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