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異世界競馬  作者: y-ohsaka
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勝負の行方②

勝負の行方は写真判定に持ち込まれた。と同時に審議の表示が出る。ゴール前にてミヤナカがやらかした斜行についての審議であるとアナウンスされる。

その結果はなかなかでない。判定員の判断にも迷いが出るほどきわどい勝負であった。だがキタイだけは自分が敗者であることを感じ取っていた。にもかかわらず不思議と悔しいという気持ちが沸かなかった。

「全力を出し尽くした上での僅差の勝負、悔しくないはずかない。なのになぜこんなにすがすがしいのか?」

キタイは自分の気持ちに戸惑っていた。その上で思う。こんなに楽しんだのは久しぶりだと。なかなか結果がでないことにイラつき始めたふたりをよそに一人自分の世界に入り込んでいた。

あんたの勝ちだと言われたシバヤマはまだ半信半疑だった。一流の騎手はどんな僅差であっても勝ち負けがわかるという。キタイは俺の勝ちだと言った。信じていいのか? ベテランでありながらも大舞台に縁のなかったシバヤマもまた戸惑いを隠せなかった。

写真判定にはなっているがまさか自分が勝っているとは思っていないオシタニは早く結果を出してほしいと思っていた。この重苦しい雰囲気から抜け出したかった。気持ちを落ち着けるためにミスを犯してがっくりとうなだれるミヤナカに話しかける。

「多分大丈夫。降着にはならないから。もう一度勝負できるから」

ミヤナカは知らなかった。このレースの四着までの入着馬には次の大一番、オークスの優先出走権が与えれることを。オシタニはもう一度勝負しようと言っているのだがミヤナカにはその意味が伝わらない。地方競馬の夢を潰してしまったと嘆くばかりであった。

長い長い審議が終わりようやく結果がでた。写真判定の結果、キタイの言った通りシバヤマの勝ちであった。ミヤナカの斜行は被害にあった馬が先着していたことから降着はなく四着入線となった。ルールを確認した地方競馬関係者からオークスに出走できることを知らされたミヤナカは次があることを素直に喜んだ。関係者共々夢が繋がったと早くも気持ちを切り替えるのだった。


表彰台にあがったシバヤマは照れ臭そうな症状を浮かべながら恩恵にあずかった数少ない観客の声援に応えていた。最低人気の馬を優勝させたことで観客の記憶の中に彼の名は深く刻まれたことだろう。その事を勝利者インタビューで質問されてシバヤマは思わず胸の内を語り出した。

「こんな大舞台にまったく縁がなかった俺がいまここにいるのはなんか変な感じがする。本当はもう引退しようと思っていたけど……、。まだやっていてもいいかな。次も勝ちたいと思ってしまった」

こんなことを話しているシバヤマをずっと見やりながらキタイやミヤナカは次は自分があそこに立ちたいな、とひそかに闘志をたぎらすのであった。そしてそのレースを一部始終見ていた彼にも影響を及ぼしていた。翌週に出走を控えた彼ら、マドロームやシュプリーム、プレセンシアといった面々に

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