地方競馬にて②
中央の関係者はそんな状態でも余裕だった。地方競馬は中央よりもレベルが低い。いかに強豪であってもそれは地方競馬だけの話、我々が負ける訳がないと。しかし、そんな感じの中央勢においてタカダ調教師はイラついていた。
「あなた方はどういう気持ちでここにいるのか?出るからには勝つという気持ちが足りないように思える。油断は最大の敵だと言うことをもう一度考えてもらいたい」す
そう訴えるがどこかお遊び気分が抜けていないようである。その事がタカダ調教師をさらにイラつかせる。
「そうイライラしなさんな。今はここにいることを楽しんでいるだけだから。お前も楽しめ。レースが近づけば皆真剣になるさ」
タカダよりも経験のあるベテラン調教師に宥められてタカダはようやく落ち着く。ふと周りを見渡すと騎手たちは皆馬場を眺めており、そこを走る馬の様子をじっくりと見ている。軽口を叩いていても皆やることはやっていた。タカダは自分の行いを反省するのだった。
「雨が降ればこっちはだいぶ不利だな。当日は良馬場になることを期待しよう」
「いや、うちのは不良でもいける。あとは相手関係だな。あの二頭以外はどうだ」
「とにかく警戒するのはあの二頭かな。他のは大丈夫ですそうだ」
騎手たちは色々と感想を述べあっていた。なかでもエンドロールとレコンキスタとやりあった経験のあるウラタとオシタニは質問攻めにあっていた。ウラタは
「とにかく自分たちはできることをやるだけ、相手は関係無い」
と答えになっていない受け答えをしていた。
ウラタは悩んでいた。今回は乗り代わりで初めてコンビを組む。勝手を知らない舞台と相方のことで精一杯で余裕がなかった。オシタニも同様で初めてコンビを組む相方のことで精一杯だった。
「まあ、明日実際に走らせてから考えよう。今さら悩んでも仕方ない」
そう考えて競馬場を後にする。とはいっても敷地の外には出られないのだが。
翌日、ウラタはタカダとともに馬場入りする。
「ひとまず軽く走ってみてくれ。まずは感覚をつかもう」
実は新しい相方には今日初めて乗る。タカダがそう言うのは当然だった。
「こいつならここでもいい勝負できるだろう。期待している」
そう言って送り出す。ウラタは軽く追い出し調子を確かめようとする。が、ウラタの指示に必要以上に反応を示し本気で走っていると周りが思うほどのやる気を見せた。
「これは調教だ。そんなに気合いいれなくてもいい」
ウラタは優しく声をかける。その声が届いたのかペースが落ちる。
「なかなか優秀だ。こちらの指示を素直に受け入れている。反応もいい。あとは乗り手がちゃんと乗りこなせるかだな」
ウラタはこの馬に好印象を持った。思っている以上の戦いができると




