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異世界競馬  作者: y-ohsaka
24/79

地方競馬にて

あの日の激闘から幾日か過ぎ今はあの時の賑やかさや緊張感から解き放されて皆のんびりとしている。しばらく出番のなかったマドロームは軽く流すようにコースを走っている。年明けからのレースに備えて体力を落とさない程度のキャンター調整を続けている。しかし、年内すべての日程を終えているとはいえあまりにも閑散としている。関係者の大半は地方との交流競走に遠征中である。

地方競馬の二歳王座決定戦、若駒賞が行われる。指定交流競走であるこのレースには中央からも何頭か参戦している。ウラタとタカダもそのために来ていた。

「なんというか、すごいなここは。競馬場とは思えないな」

「競馬場を中心とした総合レジャー施設らしいです。カジノとか劇場とか、ああ、スポーツバーもありますね」

案内図を見ながらウラタは話す。

「遊びに来ているわけではないぞ。それに俺らは関係者だからレースが終わるまでは関係者エリアから出られないぞ」

「わかっています。レースが終わってからのお楽しみといいことで」

「その前にレースのことを考えろ。遊びにきたわけじゃないんだぞ」

まだ若いウラタはついつい施設の目新しさにとらわれていた。タカダはそれに心を奪われてレースに身が入らないことを心配していた。この新しい競馬場は競馬を中心としてその他の公営ギャンブルやカジノ、劇場といった総合レジャー施設として設計されている。そのお披露目として彼らをはじめとして中央の関係者が招待されていた。メインレース、地方版二歳王者決定戦若駒賞の出場者として。

「すまん、どうしても断れなかった」

イソダに謝るエンドロール陣営の関係者。前戦からあまり間隔が空いていなかったのでこのレースには出たくなかったのだがレースを盛り上げるために必要だからと強く懇願され断れなかったのだ。ただ走るだけでいいとはいわれていたが出るからには勝つことだけを考えるのは勝負の世界に生きる者として当然のことである。

不本意ながらも出走を決めたイソダ、その一方で意気揚々としていたのがオオマキ、打倒エンドロールの機会を与えてくれた運営に感謝するとともに闘志を燃やすのであった。

エンドロール、レコンキスタ、中央勢の三つ巴の様相を呈してきた若駒賞、運営が地方競馬復興の起爆剤として建設してきたこの施設のお披露目としては絶好の機会なのだった。

運営の目論見は当たり、連日大いに賑わった。人々は若駒賞の話題で盛り上がっていた。エンドロールとレコンキスタは今回が初対決、中央で勝ち星があり、一戦級と互角の勝負をしたエンドロールと完膚なきまでに叩きのめされたレコンキスタ、勝負付けは終わったと見る向きが大半だが、あれは芝のレース、今回はダートだからレコンキスタにも勝ち目がある、との向きもあった。ともかくレース前からかなり盛り上がっていた。他に出走する中央勢のことなどお構いなしに

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