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異世界競馬  作者: y-ohsaka
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なんでそうなる

(「最終コーナーを回ってゴールへ向かって各馬スパート、向け出したのは三頭、さあこの三頭で決まるのか、ここで後ろからすごい足で追いかけてくる、ここから届くのか、しかしこの先心臓破りの坂、果たして届くのか」)





今日もダメか、と男はうなだれている。うだつの上がらさなそうな気配を出しながらトボトボと歩く。仕事も私生活もうまくいかずにいっぱつ逆転を狙って競馬に手を出した。が、そう簡単に奇跡が起きるわけなく余計にどつぼにはまってしまった。

人生の落伍者として生きていく他なくなった男の今後は惨めなものだろう。何もかもやる気をなくした男は何にも考えられなくなり、ボーッとしていた。

「兄ちゃん、危ないぞ」

そんな周りの声ももう聞こえない。気がつけばそこは車道、お約束のように男は車に轢かれてこの世を去ったのだ。


「ここはどこだ、俺は一体?」

「気がついたようじゃのう、全くしょうもない死に方をしよって」

男の問いに答えたのはそばにいた老人。

「お主が周りにもくだらない人生の終わり方をしたので哀れに思ってな。再チャレンジの機会を与えることにしたのだよ」

「俺は死んだのか?まあいいや、確かにくだらない人生だった。」

男はいかにも誰もが神様ってこうだよなとイメージしがちな格好をした老人に答える。

「でも、再チャレンジって、人生をやり直すってこと」

「お主がイメージしているのとは違うがな、簡単に言えば異世界でやり直すということじゃ、さらに言えば人間ではない」

「人間じゃないってどういう事」

「人間として生きていくのに失敗したんじゃ、違う生き物になるのは当然じゃろう。お前の好きな馬として生まれ代わるのじゃ。競走馬なら一生かかっても得られない賞金も1レースでかせげるぞ」

「ちょっと待って、それは話が違う」

「やかましい、お主に選択肢はない。せいぜい懸命に生きることじゃ」

それが人間として交わした最後の会話になった

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