#0.prologue
※チャットの会話表現は以下のような形になります。
名前)<「発言した言葉」
名前と書かれた所が発言者の名前、発言した言葉が発言した内容が入ります。
以下例によりチャットの会話を表現すると、
モブ1)<「おーい、モブ2。元気かー?」
モブ2)<「元気なわけあるかボケェ、バナナの皮踏んで転けて頭打ってたんこぶ出来た!!重症だわ!!くっそ!!」
モブ1)<「えぇ…うんこ踏んで転けてついちゃう俺よりマシじゃんよ…」
モブ2)<「……ドンマイ」
のようになります。
尚、この会話例は飽く迄も例なので、この作品には一切関係ありません。
この作品はフィクションです。
小説内に出てくる登場人物は存在する団体、個人などには一切関係ありません。
この小説の二次創作、無断転載など著作権法に触れる行為はご遠慮ください。
ご了承とご理解の上、作品をお楽しみください。
午前零時、私は徐ろにそのサイトを立ち上げた。サイトの名前は「Free Friends Chat」。このサイトの住民は略称して「FFC」と呼ぶ。
簡単にサイトの説明をすると、名前の通りネットでのコミュニティを図ったチャットサイトだ。
サイトには幾つもの部屋がある。
特に大きな部屋の代表として挙げられるのは「話し相手募集」「もう一度会いたい人」「手紙部屋」「独り言部屋」があり、それぞれ多くのアカウントが利用する。
まずそもそも1人のアカウントにはマイボードというボード(話し場所)があるのだが、それだけでは足りないのと他人に見られたくないという名目でボド代というものを作成する。
小部屋の一覧のページを開くと、上の方に「作成する」ボタンがあり、そこに入って新しく作る部屋の名前を入力するだけで出来るのだ。
とまぁ、こんな感じで今日も多くの人と夜中に話す私は社会人2年目の23歳、橘木杏子。
日頃の疲れを癒すため、このサイトに時間があれば立ち寄り色んな人と話すのが趣味である。
早速今日も何件か通知が来ている。
「…ん?」
通知欄を開いて見た時、幾つかの中にある一つの通知に私は終始思考を留めた。いや、視線がその通知に留まった。
「何だろ、これ」
身に覚えのない会話部屋の表示。『碧の牆壁』と書かれている。取り敢えず、確認のためにその通知をクリックして開いてみた。
χ)<「いらっしゃい」
χ(「カイ」と読むのだろうか?)そう表示された名前のアカウントが「いらっしゃい」と話し掛けている。
誰だろう…全く見たことのないアカウント。何故私に話し掛けたのだろうか?それにLINEのようにある特定のアカウントに突然話し掛けるとしても、マイボードから始まる筈なのにこの部屋は違う。先程説明したようなボド代と呼ばれるもの。私が入るにもこの部屋に一度スレを立てなければならない。だから、つまりはこんな通知なんて来る筈が無いのだ。
余りにも唐突で、しかも見知らぬ人からの怪しい招待。私は恐怖でその応答が出来なかった。
いや、もうこれは無視して無かったことにしよう。
私はその部屋を出て違う通知を開いた。