奥の卵のability
真菜の時より、真菜が先にいたおかげか幾分か楽に事が済んだ。みこと英利羽が出てきてから一日たった日のこと、俺がB1を訪ねると、三人が楽しそうに話していた。
「よかった。楽しそうに暮らしているようだね」
「まだみこと英利羽は1日しか暮らしてないけど」
「まあ、確かに…」
「そう言えば、この2人の卵の奥にも、もう少しあったけどその子達はいつ出てくるの?」
「そんなにすぐは出てこれないよ。一番奥とかは20年ぐらいかかるかもね」
「そんなに?」
「少し魔法が使えるようになるまで時間がかかるからね」
「魔法?そんなものとっくに信じてなんかいないわよ。非科学的にもほどがあるわ。ここは何世紀よ」
「21世紀だけど」
「そういうことを聞きたいんじゃなくて!」
「君たち、2010年代はそうだね。だけど、20年近く経ったんだよ。」
「まさか魔法が見つかったなんていうわけないでしょうね」
「そゆこと。歴史上の魔術師はほとんど偽物ってされているけど、ホントに数人は魔法が使えたと言われてるよ。使えたといえどもほんの少しだけどね。'26年にマジカル…ダークマターの一部がわかったんだよ。そして、どうやら数百年に1人ぐらい少しそのマジカルを扱える人がいることもわかってるんだ。ツチノコっているでしょ?」
「うん、空想だけど」
「マジカルが使える人はそのツチノコを"みる"ことができるんだよ。どんな風に見えるか知らないけど、俺はマジカルが使える人が友達にいるんだよ。マジカルが扱える人は国連の研究機関にほぼ軟禁状態にされて実験されるって噂が立ってるから、公表はしてないけど…。このことは誰にも言わないでね」
「はあ…」
「マジカル光子の受容体があれば俺も見えるのにな…。そこで、俺はその友達にツチノコの皮膚片を採取してもらってあれの体にその遺伝子を組み込んだ。」
「でもダークマターって電荷がないんじゃ?」
「そうだよ。でもマジカルは比較的にノーマル…いわゆる普通の物質に近いからあんまり解明されてないんだけど、どうにか結合してるらしくてそれを見つけて集めればいいんだよ」
「ちょっと!私たちのこと忘れてない?」
「焦らしプレイとは…」
「は?」
「マジカルが何だとベラベラとこのツリ目と話してるけど、みこにわかるように話しなさいよ」
「そうよ」
「何だよ2人して…」
「簡単にいえば、魔法が使える人だと言ってるわ」
「さすが頭がいい真菜」
「むっ」
その時、みこが俺の後ろを見ていた。おいおい、なんか見えちゃうような人なのか…
「誠司、後ろに誰かいるわよ…」
「後ろ?」
俺は振り返るが誰もいなかった…
「頭でもおかしくなったんじゃないか?」
「後ろに誰もいないわよ」
「確かに、私さっきぼやっとした人影を見たのよ。誠司の真後ろに…」
幻覚を見てしまうとは少し調整した方がいいのか…こっ怖がってなんて…いるわけ…そうそうないないんだ!