新入り2人…
B6へ着くと、机にあったパソコンに準備完了の文字が2つ出ていた。
「私もあんな感じだったの?変なものの中に入っていて、準備完了ってパソコンに出たの?」
「まあね」
俺は鉄のドアを開けるとドアの近くにあった入力盤に002#003と押して、ENTERボタンを押した。その部屋の中にあったアームが動き始めて、手前の2つの卵をつかみ、前まで真菜が乗っていた手術台が横に伸び、そこに2つの卵が乗せられた。卵の下にあるバルブにアームがホースを取り付け中の水を吸い込み始めた。すると、卵は徐々に縮みある程度小さくなると真上から縦に破れた。少しずつ外の殻が縮み始め、中の人が少しずつ露わになってきた。
「ちょっちょっと、変態!」
「何、急に」
「この中の子どっちも裸じゃない。何ガン見してるのよ。私のだってみたんでしょ!」
「タオル用意してるから、ちょっと待って…」
「私がかけるからあなたは目をつぶって後ろ向いてて!」
「はいはい。はいこれタオル。完全に出てきてからじゃなきゃタオルかけちゃダメだから」
「分かってる」
俺は真菜の言う通り目をつぶり、後ろを向いた。
「もういいわよ」
俺は後ろを振り向いてみると、そこには綺麗な顔で死んだように横になっている女の子が2人寝ていた。外側の殻は背中の下へもう入っていっていた。
「で、いつ起きるの?こっちはみこだけど、こっちは誰?」
「九十九里みこと、こっちは芳乃牧英利羽…」
「エリハ?珍しい名前ね…」
「まあ、確かにね…起きるまで時間がかかるから、外で座ってよう」
「うん…」
ガラスの外で俺と真菜は座っていた。すると、みこの方が体を少し動かした。
「動いた…みこ!」
「とりあえず、いってみるか」
近寄ってみるとみこは徐々に目を開けていた。
「みこ!…」
「…えっ…えっと…」
「真菜よ…」
「…ん?」
「覚えてるわよね…」
「ちょっと待ってやれ、今起きたばかりだから、まだ意識がはっきりしてないんだよ…」
「私は…」
「みこ?」
「あっ…真菜…ここは…」
「大変なのよ、この男に拉致されたのよ」
「えっ?…ちょっ、真菜、警察呼んで!」
「家の番号に繋がらなかったから、寝てて未来に来たとかたわごとをこの人が言ってるんだけど…通じないんだよ…」
110は変わってないからかけられたら困るんだけど、なんかかけない方向に行ってよかった…。そんなことを俺が考えていると、英利羽が目を覚ました。
「この隣の子は…」
「エリハとか言う人らしい…」
「というか、私、裸じゃない!この子と何を…」
「何もしてないわよ。今、起きたばかりだし…」
「私の服は?どこよ。この変態に剥がされたの?」
「どうなの?ほんとは私のも…」
いきなりこっちに話を振られても…。第一お前ら元から服なんて…とは言えないから言葉に詰まった。
「図星なのかしら?」
「いや…」
何を言おうか焦って考えている時、英利羽がちょうど起きてくれた。
「ん…?」
「あら、起きたようね」
「ここは?…あなたは?」
「私は真菜。ここはよくわからないわ。この人が言うには長野県らしいよ」
「…私…裸じゃない?」
「みこと同じ反応ね…」
「隣に…裸の女の子が寝ている?…わっ私百合百合エ…」
英利羽はこんなところで何を言おうとしてるのか…俺が止めなかったら…
「#%*}^%^%」
「えっ?」
(ガブ)
「こいつ、俺の手を…」
「離しなさいよ!まさか、このまま押し倒して、無理やり私を…」
「この妄想女をなんとかしなさい、変態」
「みこ、俺にも誠司っていう名前があるんだから、変態はやめろ」
そうは言いながらも俺はこの日常を楽しんで行くんだろう、新しい生活の始まりにどこか浮かれたような心地で、この一時を過ごすのだった。