エリハの決断
「一つ目は一生死ぬまでここにいる。二つ目は殺される。三つ目は記憶を全て奪われる。このどれかです。」
この事実がチャッ子の口から飛び出した時、誰もが話を続けられなかった。今まで、勢いがあったエリハさえただ呆然とするしかないようだった。数分間の沈黙をみこが破った。
「つまり、どんなに良くても一生閉じ込められなきゃならないの?」
「そういうことです。」
また四人を重い沈黙が包んだ。周りの空気は淀み、息がしづらいほどだった。締め切った環境で、どこにも換気口はなくただ二酸化炭素が部屋をゆっくりと充満していくのをただ待つように、一向にこの空気は晴れる様子がなかった。チャッ子はそんな三人の様子を見て口を開いた。
「だからです。だからこそ、ここから逃げ出しましょう。私にもあなたたちが本当に殺されないかなんてわかりません。でも、確実に誠司との暮らしに戻れば明らかな自由が手に入ります。殺されることはないです。それでもエリハ、意地を張りますか?」
「意地だなんて……」
エリハは決断を迫られた中、口が選びたくないと固く口を閉ざそうとしていた。頭では分かっていた。こんな風にしても意味ないと。そうチャッ子の言う通り意地なのだ、認めたくはなかったが。しかし、意地を一回張るとなんとしてでも通そうとしてしまうものだ。エリハは悩んで悩んだ。そして、ふと真菜の様子が目に入った。真菜はエリハの告発以来ずっとあんな風にほとんど誰とも口を聞かず、ただずっと地面を見ているだけだった。真菜をあんな風にしたのはエリハ自身であるということを否定するため、誠司を責めてきた。真菜のために責めてきたはずだったが、本当はエリハ自身の責任を逃れたいから責任を押し付けてきたのだった。
「ああ、あんなことを真菜の前で言わなければ…」
エリハは呟いた。自分の罪滅ぼしのため、真菜を救うため、エリハはようやく決断に踏み切った。
「わかった。みんなで、あの誠司の家に戻ろう!」




