そして戦いは終焉へ
この子がキースの妹イブである。キースとは属性が反対らしく妹の方は炎を自由に操れる能力をもっている。しかし今までどこに行ってたのか
「イブ!!」
キースは妹に抱きつく。兄妹との感動の再開だ。
「私は一旦氷の星に帰還したのよ、兄が心配だったからね」
兄思いの妹、流石我が妹だ、と思ったが今はそれどころじゃない。
「ちょうどいいところに来たな、今炎の属性をもってるやつが1人もいなかったんだ」
グッドタイミングってとこかな、とりあえず熱察知スキルを持ってるか聞かないと
「なあ、熱察知スキルって知ってるか?」
「熱察知?確かどこに敵がいるかわかるやつだっけ、それならもう習得してるよ」
どうやらもうもってるみたいだ。これはちょうどいい
「では、君も一緒に地球に来てくれぬか、今大変なことになっているのは知ってるだろう」
話を聞いてみるとどうやら知ってるみたいだ
「でもあんな危険なとこもう行きたくないわ、いくら私が炎に耐性をもっていたってあれは耐え切れそうにないもの」
まあ確かに地獄のような熱さだったからな、暑いんじゃなくて熱い。溶けてしまいそうに
「まあ無理もないよ、それならキースが氷の魔法を使えば多少は涼しくなるだろう」
それもそうね、と納得してくれるイブは準備を整えるとテーブルに置いてあった魔導具をもってそれを暖炉の中にいれた。
何をしているのかよくわからないが首を傾げて何か考えている。
「ん?どうした」
オーディンが訪ねてみると
「おかしいわね、この暖炉の火、ただの火ではないわね、恐らくモンスターよ」
な、なんだと?!とみんなが騒ぐ。この魔導具は自然の火、魔力の火、火のモンスターの見分けを付けることができる便利なものだ。
魔力の火とは魔法をつかって出した火のこと
「ってことはずっとこの話を聞いていたのか、そういえばカメラみたいのがついてる」
ちっちゃいチップくらいの大きさのカメラが設置してあった。まずい全部話を聞かれたか
キースは窓の外を見てみる。こっからでも地球を見ることができるのだが、中々発見できない
ん?なんで太陽が2つあるのだ…
「あ、あれは…」
声が上手く出なかった。キースが見たものそれは真っ赤に燃えている地球の姿だった。
それを見たみんなは一斉に「あっ」という声がでた、それ以外口に出すものはいなかったのだ。
なんということだ、地球は終わってしまったのか
〝目を覚ましてキース、まだ間に合うはず〟
どこからか声が聞こえた。
〝これを…もって…〟
「いたい!なんか上から…」
落ちてきたのは氷の魔力がついてる剣だった。これで地球を救えといっているのか、いや行くしかない
「みんな!僕についてきて!」
キースは宮殿に鳴り響くぐらいの大きな声でそう叫んだ。みんなは硬直をしていて、その大きな声でみんなは「はっ」と目が覚め我にかえった
「みんないくぞ」
地球
ハヤト視点
お、おい家にまでモンスターが入ってきたぞ、どういうことだ。キースは…
「優那そこか!そこにいるのか!?」
返事はない。家が、いえがこのままだと崩壊してしまう。いや崩壊するのは俺の家だけじゃなく地球までが滅びてしまう。
とにかく俺は…どうすればいいんだ、ずっと考えていた、けどわからない。何がしたいのか、人間パニックになると自分は何したらいいのかわからなくなるというがこれはその状況よりやばい。大体アニメや漫画、小説ならその話はありえるのだが
そうか、これは夢なのか。全てが俺の妄想なのか、きっと悪い夢を見ているんだな。うん
しかし、この現実逃避的な話は通じなかったのか上から隕石みたいのが降ってきた。
これは…何か書いてある。
『この僕守護神が地球を救って見せる』
そして最後に名前キースと…
「キース!いるのか?!」
叫んだが、返事が帰ってこない。でも近くに絶対いると俺は信じている。
さっきまで外は炎の音でうるさかったが今は静寂に包まれている。時計の針が12時を指す
何も起こらない。と思ったが微かに声が聞こえるのだ、小さく何かを囁いている。女の声だ。妹ではないが近くに人がいて安心したせいか俺はその場に倒れた。
キース視点
地球は真っ赤に燃えている。この状態で救えるのか心配になったが行くしかない。それにハヤトやハヤトの妹が待っている。きっと僕が来るって信じている。いかなきゃ
「メテオ!」
ハヤトの家に向かって隕石を投げつけた。僕は何も言わずにそオーディン達のところへ向かった。
向かった先にはダース星の王女リナが待ち構えていた。
「ここから先は通さないわよ!」
僕は手に力をこめ、氷の魔法を相手に唱えた
「きゃあぁあ!…ちょ、ちょっと女の子に向かって何するのよ!」
プライドを傷つけられたのか物凄く怒っている。こいつさえ倒せば…
「なによ、私は地球侵略を辞めないわよ、何をされてもね!」
こいつ口では思いっきり言うやつなのに、身体が震えている。
うん、今なら倒せそうだ。僕は魔剣を取り出そうとしたが、ない。さっきまではあったのに。
もしかして落としてしまったのだろうか、さっき隕石を思いっきり投げつけたときかな。
うーむ、どうするか、冷静に考えよう。まずは落ち着こう。相手だってさっきので精神ダメージとかも喰らっているはずだから
「あれれ?攻撃してこないの?さっきまで私のこと散々魔法でうってたけど」
まずい、どうするか。このまま魔法で一発迎え撃つか。よし魔法を…
ドーン!!と大きな音が鳴り響いた。蒼い眩い光が空まで突き抜けたかと思うとその光はそう彼女の方へと向かっていった。
「危ない!!」
僕はリナの方へ行き、庇うように彼女に抱きついた。その光は僕と彼女のギリギリの所まですり抜け消えていった。
「あ、あの…いつまで抱きついてるんですか」
僕はずっとリナに抱きついていた。暫く動けなかった。いや、動きたくなかったのだ。
やっとのことで立ち上がることができた僕は少しその場を離れ光がきた方向を見た。彼が立っていた。ハヤト…
右手には僕の魔剣がしっかりと握ってあった。そうか、彼が魔法をうったのか
ハヤトは魔剣を地面に投げ、その場に崩れる。恐らく魔力を使い過ぎたのだろう。気がつくと周りにはヴァルハラのメンバーが全員僕のことを見てた。
この戦いは終わったのである。地球はまた平和になっていった。紅く染まっていた空も段々と青くなってきた。
「俺らには帰る場所がある。戻ろう、戦いは無事終わった」
オーディンはみんなにそう言い残し、去っていった。その背中は誰よりもかっこよく見えた。
第一章-end- 約束の場所