6.100日目~101日目
とうとう今日で100日目を数える。
修行を開始して43日目にして2度目の転生を終えた僕は、更にここで18日間ボブゴブリンを狩り続けた。
昨日は探索に使い、今日はボス攻略の日。
目星を付けた大部屋へとボブゴブリンを撲殺しながら進んで行く。
そして着いた大部屋の中にいたのは、ボブゴブリンが4体と豚顔で僕より少し大きいか2mほどある大男。これも有名だろうオークではないだろうか、そのオークが2体いた。
僕は後ろに控えている兄貴に帰るように願うと親指を立てて消えていく。
そして別の兄貴を召還する。
【兄貴ソルジャー】:戦闘へと興味を持ち【サイドチェスト】を覚えた兄貴。筋肉で魅せる前衛攻撃型。
そう前衛攻撃型の妖精さんを召還できるようになった。
僕の隣に立つ兄貴ソルジャーは、姿形は基本的に兄貴と同じなのだが、顔に迷彩柄のペイントをしているのが特徴だ。白い歯と100万ドルの笑顔は変わらないが。
僕はソルジャーにさぁ行くぞと目配せをしてボス戦の場へと臨んだ。
ボブゴブリン4体が前に出てくる。オークはそのまま様子を見るようだ。
まず中心右にいるボブゴブリンが杖の先から炎の玉を放つ。
僕はソルジャーの前へ出ると、炎の玉を右拳で殴りつける。
バシュッと音を残し消える炎の玉。ダメージ無し。
次に左から土の玉が来るが左拳で殴りつけて消滅させる。
連続で放たれた水の玉を右拳で殴り消し、同時に放たれた風の玉を左の裏拳で殴り消す。
次の詠唱に入ったボブゴブリン等だったが、その間に距離を詰めるソルジャーが【サイドチェスト】を発動する。
右手で左手首を持ち、左膝を曲げて身体を横にする。左肘を90°曲げ左腋の後ろへ、横を向きドヤ顔。横から見た胸の厚みを強調しつつ、腕の太さや足の太さを強調するポージング、サイドチェストだ。
ポージングがピタッと決まると、身体が光り前方45°へ照射される。光に飲み込まれる右手側2体のボブゴブリン。
光が消えた後にはその姿は消滅していた。
照射できる範囲は前方2mと短いが、威力は未知数の攻撃だ。普段の戦闘では僕の出番が無くなるので、ソルジャーは使っていないが頼りになる奴である。
僕はソルジャーへと向かい、左側2体のボブゴブリンが放った土と風の魔法の玉を殴り消すと、そのボブゴブリンへ向けてソルジャーのサイドチェストが照射された。
これで残るはオーク2体。僕はソルジャーに下がるよう指示を出し、オークの元へ向かった。
走りながら頭のスイッチを切り替える。
殴りかかってくる右側のオークの拳を避けずにくらう。ダメージは1。すぐに回復してHPは満タンになる。
左のオークも殴りかかるが、俺は避けずに受ける。ダメージ1。
「おら、もっと来いよ」
俺は右人差し指でクイクイっと動かして挑発した。
それで憤慨したのか鼻息粗く殴りかかってくる豚男2体。
バシッバシッと当たるが、痛くもない。
「きかねぇよ!おら、もっと力入れろ」
ブモーーーっと叫んで拳を光らせて殴りかかってくる。
ガスッと光る拳が当たるが、ダメージは12だ。もう1体のオークの一発10もくらう。
その後また普通の攻撃に戻ったオークがバシバシ殴ってくるが、回復の方が早い。30秒も殴らせていたが、回復してしまった。
「ちっ、あれが限界かよ。つまんねぇな。オラッ!」
俺はそう言いながら右側のオークへと殴りつけると、オークの胸に突き刺さった。
ブンモーーーーっと叫び消えていくオーク。
「こっちもだ。ッラァッ!」
残りのオークの顔面へと殴りつける。ボシュッと頭が爆発するようにバラバラになると、崩れ落ちた体と一緒に消えていった。
頭のスイッチが切り替わる。
余計な攻撃をくらうという無駄な事もあったけど、親指立ててるソルジャーに帰って良いぞと念を送り、奥のドアを抜けて帰った。
「ステータスオープン」
翌日の朝、日課のステータス確認。
名前:高田 勝 年齢:21歳 種族:日本人☆☆ 所持金:316550
LV 15(_30)
STR 225 AGI 32 DEX 32
VIT 225 INT 1 MND 1
FP 0
HP 15750/15750 MP 2350/2350
ATK 990 MATK 1
DEF 820 MDEF 11
SPD 11 MSPD 1
WEIGHT 14
職業:―
称号:【超越者☆】
信仰:【筋肉の誓い☆☆】
アビリティ:【ワープ】【ゴールドの拳】【ゴールドの肉体】【エレメンタル体】【魔導殺し】【無形種殺戮体】【外道種殺戮体】
アクティブスキル:【妖精召還術☆☆☆☆☆】
パッシブスキル:【鬼の貌☆☆】
状態:―
武器:ゴールドの拳★★★☆☆
防具:ゴールドの肉体☆☆☆☆ 四弦蜘蛛のビキニブリーフ
他:4次元ドックダグ 皮革地下足袋
まず【筋肉の誓い☆☆】になった事で任意で【マッスルハイ】になれるようになった。
そして長く修行をしようと決意した原因となったアビリティこそ【エレメンタル体】である。
【エレメンタル体】:4種の魔法を素肌でくらい続けたため耐性が出来た体。被MATK 1/2
これを手に入れたことで更なる対魔法が手に入るのではと思い、修行の延長が決まったのだ。で、手に入れたアビリティがこれ【魔導殺し】。
【魔導殺し】:魔法を殴り続けた結果、物理が魔法に干渉できるようになった。被MATK-ATK
ATKを超えない限りダメージを全く受ける事が無い。しかもダメージが通ったとしても【エレメンタル体】で1/2されるのだから、対魔法への大きなアドバンテージになる。
最後に【鬼の貌】だが、これは転生の時に出てきた選択肢“物理強化”“魔法強化”“知覚強化”“物理制御”“魔法制御”“知覚制御”“種族特化取得”の中から敢えて“物理強化”ではなく“種族特化取得”を選んだ時に得たパッシブスキルだ。
【鬼の貌】:背中の筋肉が鬼の顔に見える。周囲のマナを取り込みHPを常時回復する鬼族の種族特化。秒間MAXの0.01%回復する。
今現在のMAXHPが15750あるので、秒間約1.5回復するという優れものだ。これで死ぬ確率が更に下がっただろう。
買い物は食事等消耗品以外は買っていないので、お金も貯まり気味だが、将来的にレア素材の上位を買いたいと思っているので貯金だ。武器も防具も必要ないというのは素晴らしく経済的だ。さすが僕の筋肉。
「ステータスクローズ」
ステータスの確認を終えた僕は、これも日課となった柔軟を始める。
体の関節の可動域を広げるのは、ステータスには反映されないのだが、戦闘時での体の動きが全然違う事に気付いた。
ステータスに反映されないが必要な事、というのが多々あるのに気付き、今日から数日休みにして調べてみる事にしている。
その一つが体術スキルとは別に体術を覚える事が可能ではないかと言うこと。まだ体を鍛える事を諦めてなかった中学時代、ボクシング入門という本で真似事レベルだが構えやパンチの仕方を練習した事がある。実はその頃の動きが実際、ダンジョン内での僕の動きに反映されているのだ。物理アクティブスキルがどんな形で使えるのかはわからないが、動きや体捌きなどはスキルとは別に覚えられると考えている。
鍛える事を諦めきれずに一種の趣味となった世界中のマーシャルアーツの本の収集。高校卒業と共に封印したこの本がまだ押し入れに眠っている。
中でも参考にしたいと思っているのが中国武術。中国武術の中でも色々とあるのだが、僕が憧れているのが様々な漫画でも使われていた八極拳。敵に超接近しての武術。これを本でのみだが学んでみようと思う。
功夫(鍛錬の意)を積んでこその中国武術なので、どこまで出来るかわからないが、更に強く生き抜くために必要な事だと思う。うん。シュミジャナイヨ。イキルタメダヨ。
そしてこの時の功夫が、後に意外と面白い形で現れる。それはもう少し先の話。
ちょっと短めですが、新たな妖精さんの登場です。
勇次郎も良いですがオリバも好きです。あの筋肉。
後2か3話くらいでダンジョン編終了の予定です。ダンジョン編が終わりますと、異世界で活躍してもらいます。一応3人称での進行を考えてますが、自分の拙い文章力と相談の上、決めたいと思ってます。