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第7賞 中夏・日本友好競馬会

日本で新たな競馬会が催されることとなった。

その競馬会の名称は中夏・日本友好競馬会と言う。

その名の通り中夏権民協調国と日本国とが友好を更に深めるための催しだが、会場の中山競馬場では異様な雰囲気が漂っていた。

競馬会のその日、入場した観客者17万人は、全て胸に中夏と書いてある真っ赤なトレーナーを身に着け、中夏の小さな国旗を皆、振っていた。

日本の競馬ファン達は日本のエース馬のハヤブサイチバンと中夏のエース馬のハオハオメイメイとの一戦を楽しみにしていて、約50万通の応募があったが、何故か当日のチケットは、抽選で公平に決まるはずが、日本人は誰一人当たらなかった。

その上、放映権は中夏の国営放送の1社だけ、それだけでなく日本の報道関係者も競技場から全て締め出されていた。

騎手のペルドも訝しんでいた。

JRA関係者も知らない人ばかり、日本の他の騎手たち4人も、レース前のピリピリ感と違い、後ろめたそうに誰もペルドと目を合わそうとしない・・・おかしい。

その頃、ハヤブサイチバンがパドック(競走馬が周回する場所)へ出ようとした時、JRA関係者のウインドブレーカーを着て、マスクをつけた男がスーと近づき、ハヤブサイチバンの左臀部へ右手を使い何かを刺していた。

ハヤブサイチバンが、臀部に一瞬ちくっとしたため、歩きを止め長い首を後方へと回したが、急いで逃げていく男の姿があった。

脚を止めたハヤブサイチバンに厩務員が、「ハヤブー(サイチバン)、パドックへ行くよ。」と促した。

厩務員はこれから何か起こるか知らなかったが、連絡通路にいた他の男達は皆知っていた。レースが始まったらハヤブサイチバンが狂馬になることを・・・。


ペルドがハヤブーに乗りレース前の試乗を始めたが、明らかにハヤブーの様子が違っていた。

ゆったりと走り出している中、口から多くの涎を流し、長い首を振ると、その涎が騎乗しているペルドの顔にスライムのようにかかっていた。

どうしたハヤブー?調子が悪いのかい。手綱で試乗を止めようとしたが、ハヤブーは走ることを中々止めようとしなかった。そのうち、スタートゲイトへ入る時間となった。

観衆からは、「ハオハオ!ハオハオ!最高の馬!」「李(騎手)、あいつら(ペルドとハヤブサイチバン)を生かして帰るな!」「ペルドを殺せ!殺せ!」「死ね!野蛮な倭人、死ね!」と言う怒声に近い言葉が中夏語で発せられた。

ペルドは思った。ここは、中山競馬場だが日本の治外法権の場所のようにみえるな。

ペルドには、中夏語は知らないが観衆が赤色で埋め尽くしスタンド全体が揺れ動く様は、恐怖でしかなかった。

ハヤブー、荒ぶるな!いつもの通り、冷静、冷静に。

ペルドは、ハヤブーの胴体を撫でながら落ち着かせようとした。


ガシャンという音と共にゲートが開き、10頭が走り出した。

ペルドは、ハヤブーを集団の最後方に着け、レースの状況を見ようとしたが、前後左右隙間なく競走馬で埋め尽くされた。

なんで、日本の馬までも邪魔をするのか。と思った瞬間に、ハヤブーがパニック状態になっていった。

前後左右が塞がれため、麻薬により周りが壁にしか見えず竿立った。

ひひひーん。ハヤブーが大きく横に倒れ、ペルドは、後方へと投げ出された。

どっさっ。ペルドは、運悪く首から地面に叩きつけられた。

その後に馬3頭の蹄がハヤブーやペルドを蹴り踏んでいった。

「ハオハオや日本の騎手達よ、やつら(ペルドやハヤブサイチバン)を踏みつけて殺せ。」李は大声で指示を出したのだった。

ペルドの消え失せていく記憶のなか、観衆からの喜びの拍手や、「死ね!」「死ね!」「やったぁ、死んだ!」と言うおぞましい声が聞こえていた。


と思ったら、自分の目線が5m位高いところへ立っていた。

自分の実体は、地面に横たわっていたが・・。高いところの自分は、さっきまで体中が痛く苦しかったのに、全く痛点がないみたいだった。

もしかして、幽体離脱とはこのことか。

幽体よ私の身体へ戻ってくれ。頼む。ペルドは叫んだが目の前が徐々に暗くなってきた。

死にのは、いやだー。果たしたい夢があるんだぁー。

ペルドには暗黒の闇が待っていた。

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